11/10(水) ䷊ 地天泰(ちてんたい) 上爻二爻
【運勢】
上に立つ者と従う者が応じ合う事で、社会の平穏は保たれている。
相手との違いをしっかり認識し、その上で、互いに共感出来る所を協力して進めて行くと良い。
現状に甘んじる事無く、気を引き締める事が大切である。
【結果】䷊◎上⚪︎二
地天泰(ちてんたい) 上爻二爻
《卦辭》
[上爻 老陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 老陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻 優先][二爻]
【原文】
《卦辭》
泰は小往き、大來る。吉にして亨る。
彖に曰はく、泰は小往き大來る。吉にして亨る。則ち是れ天地交はりて、萬物通ずるなり。上下交はりて其の志同じきなり。内陽にして外陰。内健にして外順。内君子にして外小人。君子は道󠄃長じ、小人は道󠄃消するなり。
象に曰はく、天地交はるは泰。后以て天地の道󠄃を財成󠄃し、天地の宜しきを輔相し、以て民を左右す。
《爻辭》
[上爻 優先]
上六。城隍(ほり)に復(かえ)る。師(いくさ)を用ふること勿れ。邑(ゆう)より命を告ぐ。貞なれば吝。象に曰はく、城隍に復るとは、其の命乱れるなり。
[二爻]
九二。荒󠄃を包(か)ぬ。馮河を用う。遐を遺󠄃れず。朋を亡ふときは、中行に尚ぶことを得る。
象に曰はく、荒󠄃を包ぬ。中行に尚ぶことを得るとは、以て光大なるなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
泰は物が大いに通る時である。
上下がよく通じれば、物はその節󠄄を失う。
《爻辭》
[上爻 優先]
泰の上極に居て、各々の応ずる所に反る。泰の道滅びようとしていて、上下交わらない。卑しくして上を承けず、尊くして下に施すことをしない。故に「城隍に復る。」卑の道が崩れるのである。「師を用ふること勿れ」とは、攻めても苦しむだけである。「邑より命を告ぐ、貞なれば吝」とは、否の道に入っていて、命令は行き届かないのである。
[二爻]
健(陽)を体して中に居る。
そして泰に用いる。
よく荒󠄃い穢れを包含できる。
受け容れて川を渡る者である。
心を用いて弘大。
私なく偏りなし。
このようにして中行を尊ぶようになる。
中行とは五爻の事を言う。
〔東涯の解釋〕
《卦辭》
泰は通󠄃るという意味である。
卦は否と逆である。
否の三爻の陰が外卦に行き、三陽が下に来たのである。
陽は大であり、陰は小である。
天気が下降して地気が上昇したのである。
陰陽がよく通じているのである。
人は世の中で、人と交際しながら生きていく。
上は下をおさめ、下のものは上のものを助ける。
君臣上下から親戚や町の仲間にまで言えることである。
そして天下は治まるのである。
よく通るので吉である。
《爻辭》
[上爻 優先]
[二爻]
荒󠄃穢を包容する。
国の君主が清濁併せ呑むようである。
あえて川を渡る。
私党はない。
中行は中道である。
陽剛で中を得る。
上は五爻に応じている。
泰に治める任に当たり、君を得るものである。
だからよく清濁を併せのむことが出来る。
通泰の時に当たり、人情は安穏をむさぼり、引き締めを嫌う。
人は厳しさに堪えられない。
清濁を併せのまなければ人は服さない。
そして世情はゆるんでいる。
泰を治める道は剛中を尊ぶことである。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
泰の字は滑らかという義で、天地陰陽の気が流動して滞らず、能く万物を成長させる。
太、代、世も皆通じる意味である。
外卦が坤で、内卦が乾であるから、小は外の方に往き、大は内の方に来る。
地の底で陽が三つになって、盛んになる。
一ヶ年で考えれば、丁度旧暦の正月にあたる。
旧暦の十一月に一陽来復するため、初爻目が十一月、二爻目が十二月、三爻目が正月となる。
この卦は天の元気が地に十分に充ちて居る所の卦である。
世の中で譬えてみれば、天子の恩沢が人民の間に一杯に溢れて居り、下々の者もそれに随って上の方に事(つか)え、上下相交わる所の卦である。
その為、是より吉なる所の卦は無い。
[彖傳]
天の気が下に降り、地の気が上に昇り、天地の気の交わった所で、万物が発生する。
地の中に陽気が十分に充ちており、陽気に随って陰気が外の方に昇っていく所である。
一人の人にしてみれば、乾は心が十分に剛く、且つ外の行いは順従で人に抵抗しない。
又世の中で譬えてみれば、内に在って事を用いるのは君子、外へ出て君子に使われているのは皆小人である。
又世の道徳上の事にとってみれば、君子たる所の仁義の道が段々と盛んになって行き、小人の方の道は段々と滅びる所となる。
[象傳]
天地が交わり万物の生成が盛んになる。
しかし人間がこれを輔けなければ、天地の造化は昌(さか)んになる様なものではない。
天地があり、人間というものがあって、天地を輔けるから天地人、これを三才という。
即ち君と書かずに后(きみ)の字を書いたのは、天地を承けてこれを相(たす)けるためである。
財の字は裁に通じ、物を計って余計な所は裁り、少ない所はこれを補う。
天子が天下を治め人民を取り扱うのは、我が家に生まれた赤子を養育する様な物で、倒れない様に右からも左からも手を引いて輔ける。
そうして民を左右するのである。
《爻辭》
[上爻 優先]
[二爻]
初爻目は陽爻が陽位に居るから動かない。
二爻目は陽爻を以て陰位に居るから動かなければいけない。
九二は六五に動くので龍徳と云う。
九二の皇太子は五爻目に昇るだけの徳を持っている。
五爻目の陽位に陽爻が往く。
中庸を以て言った辭の通り之を謹んで行う。
心に邪を入れずに虚になって居るならば、天の元気が宿る。
其の神霊なる所の誠を失わないようする。
世の中の習慣風俗の悪い所を、我が徳を以て洗い浄めて善くする。