11/21(日) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 三爻初爻

11/21(日) 風雷益(ふうらいえき) 三爻初爻


【運勢】
信頼出来る仲間と一致団結して、大事を行うのにとても良い時である。
中正を守る為には、相手の心情も踏まえた行動をする事が大切である。
常に備えをしておく事で、災害が起こった時に冷静に対処する事が出来る。


【結果】
䷩◎⚪︎
風雷益(ふうらいえき) 三爻初爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 老陰][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[三爻 優先][初爻]


【原文】
《卦辭》
益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。
彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。
往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。
象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。


《爻辭》
[三爻 優先]
六三。之れを益すに凶事を用てす。孚(まこと)有りて中行すれば、公(おほやけ)に吿して圭を用ふ。
象に曰く、「益すに凶事を用てす」とは固く之を有するなり。
[初爻]
初九。大作を爲すに用ふるによろし。元吉。咎なし。
象に曰く、元吉、咎なしとは、下厚事せざるなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
益は増すこと、増やすことである。
否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。
上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。
上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。


《爻辭》
[三爻 優先]
凶事とは『通解』によると戦いや葬式である。
三爻は正しいものとは言えないが、上爻の陽と應爻の関係であるから、上爻の援助をうけて特に問題もなく成功する。
その場合、誠の心を以て中道を守って行動する必要がある。
公とは王に次ぐ存在であり、その者に誠心誠意尽くせば、王に見える恩恵を得る。
[初爻]
益の初めに處り、動の始めに居る。夫の剛德を體して、以て其の事に莅む。而して巽に之き、斯を以て大作すれば、必ず大いなる功を獲る。それ下に居りて事を厚くするの地にあらず、卑に在りて重きを任ずるの地にあらず、大作して小功の濟す所にあらず。故に元いに吉にして、乃ち咎なきを得るなり。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は、前の卦の山沢損と反対である。
山沢損は地天泰より来た。
そして地天泰は天地否から来た。
天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。
坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。
そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。
これで風雷益の卦になる。
これが下を益するという義である。
上卦の震は、農業の卦である。
人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。
それで「利有攸往」である。
こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。
よって「利渉大川」である。
[彖傳]
「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。
そこで民が説(よろこ)ぶ。
陽が段々進んで往けば兌の卦になる。
農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。
出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。
よって「其道光大」となる。
「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。
いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。
「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。
[象傳]
上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。
また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。
つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。
そして過ちがあれば速やかに改める。
震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。
雷山小過は霆(激しい雷)である。
雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。
これは往き過ぎである。
善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。


《爻辭》
[三爻 優先]
「凶事」は飢饉のことである。
震の卦から巽の卦に移る間がちょうど麦の熟する所となる。
三爻目は震の卦の終わりで、春の終わりで夏に移った所となる。
そこへ雷雨が起こり大風が吹けば、麦の方へ害が来る。
すなわち飢饉が起これば、上の方が救わなければいけない。
「有孚」は、二・三・四爻に坤=地があり、これは孚という所がある。
「中行」は過不足の無い中庸の行いで、丁度良い加減で官より米を給わる。
これは国家の大事であり、神前に圭(けい:先端が三角になった玉器)を供えて「公に告ぐ」のである。
[象傳]
官に貯えられた御蔵米は皆人民の方から差上げたもので、固(もと)より人民の有する所の物である。
よって「固有之也」という。
戦争や飢饉に備え、官において九ヵ年分を貯えると定まっている。
[初爻]

11/20(土) ䷇ 水地比(すゐちひ) 二爻

11/20(土) 水地比(すゐちひ) 二爻


【運勢】
大事は一人で進めようとせず、仲間と役割を分担し、成果を共有する事が大切である。
仲間を集める時は、消極的、俗物的な者を避けなければならない。
間違いがあれば直ぐに認め反省する、模範的で柔軟な対応を取ると良い。


【結果】
䷇◎
水地比(すゐちひ) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[二爻]


【原文】
《卦辭》
比は吉なり。原筮(げんぜい)。元永貞(げんえいてい)にして咎(とが)めなし。寧(やす)からざる方(まさ)に來たる。後るる夫は凶。
彖(たん)に曰はく、比は吉なり。比は輔(ほ)なり。下順從するなり。原筮、元永貞にして咎めなしとは、剛中(ごうちう)を以てなり。寧(やす)からざる方(まさ)に來たるとは、上下應ずるなり。
象に曰はく、地の上に水あるは比。先王(せんわう)以て萬國を建て、諸侯を親しむ。


《爻辭》
六二。之れを比するに内よりす。貞吉。
象に曰く、之れを比するに内よりすとは、自ら失はざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
比の時にあり、筮によって咎なきを求めようとしている。
元永貞であろうか。
人が群れて互いに親しみ、元永貞で無ければ、凶邪の道である。
もし主に遇わなければ、永貞といえども咎を免れることが出来ない。
永貞で咎なき者は、ただ五爻のみであろう。
上下に五爻以外に陽がない。
すべて五爻に帰す。
親しみ安心する。
後れるものは凶である。


《爻辭》
比の時に處り、中に居りて位を得る。而して五、在るに繋ぎ應ず。他より來たること能はず。故にそれ内よりす、貞吉を得るのみ。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
比は相附き比することである。
九五が位を得ている。
そしてほかの五陰がつき従う。
多くのものが一人を助けている。
吉である。
元永貞の後に郡陰に当たれば咎めがない。
まだ安住の地に居ないものがいる。
どんな剛強の者でも咎を免れない。
柔弱󠄃であれば猶更である。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
比は親密なる所である。
比は密であり、密は物と物とが密着して間に隙間の無いことである。
上卦は水、下卦は地である。
水は地の中に浸み込んでくるから、水と土は離れることが無く、密着した状態である。
五爻目は陽爻で天子にあたる。
天子は人民と密着しており離れることが無い。
ちょうど水と土の関係のようである。
これは吉である。
「筮」は神に吉凶を問い訊ねることで、「原」は再びという意で三度問うことである。
つまり天子は神に吉凶を訪ねるのと同じように、諸々の人民へ何事も懇ろに問い訊ねて事を謀るのである。
「元永貞」とは元徳を持つ人が、永く怠らず、貞しい所を守っていることである。
これは堯舜(古代中国で徳をもって天下を治めた聖天子である堯(ぎょう)と舜(しゅん)。
転じて、賢明なる天子の称のようなものである。
「後夫凶」は、四方の国が名君に服しているのに、後に残って服せずに居る男が禍を受けることである。
[彖傳]
比は吉である。
また互いに相輔けることである。
「下順従」の「下」は下卦の坤=人民のことである。
そして「順従」は坤の卦の象であり、人民が皆九五の天子のもとに集まってくることである。
「不寧方来」は上から下まで残らず天子に応じて服して来ることをいう。
「後夫凶」は名君に服さない者が、自ずから往くべき所がなくなり、その道に窮することをいう。
[象傳]
地の上に水があるのが比である。
地に悉く浸み込んで来る水は、名君の徳性が深く人民の方へ浸み込んでいく例えである。
君と民は親密な関係であり、離れようもない。
こうした君民一体の関係に、皇統一系の象が含まれているのである。
《爻辭》

11/19(金) ䷕ 山火賁(さんかひ) 五爻四爻

11/19(金) 山火賁(さんかひ) 五爻四爻


【運勢】
外面ばかり気にして、内実が伴わない様ではいけない。
何事も迅速に対応し、誠実さ力強さを全面に出す事が大切である。
相手に感謝を伝える時は簡素で良い、率直な気持ちが伝わるだろう。


【結果】
䷕◎⚪︎
山火賁(さんかひ) 五爻四爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 老陰]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[五爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
賁は、亨る。小しく往く攸有るに利あり。
彖に曰はく、賁は亨る。柔來たりて剛を文る。故に亨る。剛を分かちて上りて柔を文る。故に小しく往く攸有るに利あり。天文なり。文明にして以て止まるは、人文なり。天文を觀て以て時變を察し、人文を觀て以て天下を化成す。
象に曰はく、山の下に火有るは、賁なり。君子以て庶政を明らかにし、敢へて獄を折むること无し。


《爻辭》
[五爻 優先]
六五。丘園を賁る。束帛戔戔たり。吝なれども終に吉。
象に曰く、六五の吉は、喜び有るなり。
[四爻]
六四。賁如、皤如す。白馬翰如す。寇するに匪ず、婚媾す。
象に曰く、六四。位に當りて疑ふなり。寇するに匪ず、婚媾すとは、終に尤なきなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
剛柔分かたざれば、文何に由りてか生ず。故に坤の上六、來たりて二の位に居る。柔來たりて剛を文るの義也。柔來たりて剛を文り、位に居りて中を得。是を以て亨る。乾の九二、分かちて上位に居る。剛を分かちて上りて柔を文るの義也。剛上りて柔を文り、中の位を得ず、柔來たりて剛を文るの若くならず。故に小しく往く攸有るに利あり。


《爻辭》
[五爻 優先]
尊位を得ている。飾の主である。飾の盛たる者である。物に飾を施せば、其の道害はるる也。丘園に飾を施せば、盛なること焉より大なるは莫し。故に束帛を賁る。丘園乃ち落たり。丘園を賁る、束帛乃ち戔戔たり。用て儉なるを過ぐる莫く、泰んじて能く約やかなり。故に必ず吝なり、乃ち終に吉を得るのである。
[四爻]
初、在るに應ずる有りて、三、閡ざされ己を寇となす。二、志相感ずと雖も、通亨するを獲ず。静を欲すれば則ち初の應ずるを疑ひ、進を欲すれば則ち三の難きを懼る。故に或ひは飾、或ひは素。内には懷疑し懼るるなり。其の馬を鮮潔し、翰如たりて以て待つ。正しき位を履むと雖も、未だ敢へて其の志を果たさざるなり。三、剛猛なりて、未だ輕んじ犯すべからず。寇するに匪ず、乃ち婚すれば、終に尤なきなり。

11/18(木) ䷜ 坎爲水(かんゐすい) 二爻

11/18(木) 坎爲水(かんゐすい) 二爻


【運勢】
一度決意を固めたなら、伴う責任を鑑みて軽はずみな言動は避けなければならない。
失敗は成功のもと、何事も目標に向かって挑戦を続ける事が大切である。
順調でない時は、周りの意見に耳を傾け、広い視野を持つと良い。


【結果】
䷜◎
坎爲水(かんゐすい) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 老陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[二爻]


【原文】
《卦辭》
習坎は、孚(まこと)有り。維(こ)れ心亨(とほ)る。行いて尚ふること有り。彖に曰く、習󠄃坎は重險(じゅうけん)なり。水流れて盈(み)たず。險(けん)を行いて其の信を失はず。維(こ)れ心亨るとは、乃ち剛中を以てなり。行いて尚ふること有りとは、往いて功有るなり。天の儉(けん)は升(のぼ)るべからざるなり。地の險は山川丘陵なり。王公、險を設けて以て其の國を守る。險の時と用と大なるかな。象に曰く、水洊(しきり)に至るは、習󠄃坎。君子以て德行を常にして敎事を習󠄃ふ。


《爻辭》
九二。坎に險に有り。求めて小(すこ)しく得(う)。
象に曰はく、求めて小しく得とは、未だ中を出でざるなり。

【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
坎(水)は險難の卦である。それが二つも重なっているので、道を見失ったような状況である。この状況を脱するには、心に実(じつ)がなければならない。どんな辛い状況でも誠を貫き通せば、最終的には安楽の境地に達し、人に尊ばれることになる。


《爻辭》
[王弼]
履むに其の位を失う。なので坎という。上に応じて助け合う関係にない。故に「險有り」という。坎であって困難である。未だ困難の中を出ることができない。中にいて初爻、三爻と相得ている。なので求めて小しく得ることができる。初爻、三爻は未だ大いに助けてくれるわけではない。故に「求めて小しく得」という。
[東涯]
この爻は坎にあって、坎に陥っていて、二陰の中にいる。故に「險有り。」という。険の地のところに至る。未だ困難から抜け出すことできない。しかし、其の才は剛中である。苟も求める所があるのならば、小しく得ることができる。まさに険難の地にいて、剛中の才があると雖も、未だ平穏にはならない。則ち未だ功有らざるなり。唯君子は戒慎の心あれば、時が至らないことはない。ゆえにその事を全うする。

11/17(水) ䷜ 坎爲水(かんゐすい) 変爻無し

11/17(水) 坎爲水(かんゐすい) 変爻無し


【運勢】
どんなに辛い状況であっても、自らの芯を曲げない事が大切である。
順調でない時は、周りの意見に耳を傾け、広い視野を持つと良い。
立ち止まらずに自ら道を切り拓く、思い切りの良さが成功の秘訣である。


【結果】

坎爲水(かんゐすい) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
習坎は、孚(まこと)有り。維(こ)れ心亨(とほ)る。行いて尚ふること有り。
彖に曰く、習󠄃坎は重險(じゅうけん)なり。水流れて盈(み)たず。險(けん)を行いて其の信を失はず。維(こ)れ心亨るとは、乃ち剛中を以てなり。行いて尚ふること有りとは、往いて功有るなり。天の儉(けん)は升(のぼ)るべからざるなり。地の險は山川丘陵なり。王公、險を設けて以て其の國を守る。險の時と用と大なるかな。
象に曰く、水洊(しきり)に至るは、習󠄃坎。君子以て德行を常にして敎事を習󠄃ふ。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
坎(水)は險難の卦である。それが二つも重なっているので、道を見失ったような状況である。この状況を脱するには、心に実(じつ)がなければならない。どんな辛い状況でも誠を貫き通せば、最終的には安楽の境地に達し、人に尊ばれることになる。

11/16(火) ䷐ 澤雷隨(たくらいずゐ)→䷧ 雷水解(らいすいかい)


11/16(火)
澤雷隨(たくらいずゐ)→ 雷水解(らいすいかい)


【運勢】
盲目的でないか、考えが偏っていないか、冷静に自らを客観視すると良い。
ただ立ち止まり悩むのでは無く、先ずは力強く行動する事が大切である。
言行一致を心がければ、何事も上手く行くだろう。


【結果】

本卦:澤雷隨(たくらいずゐ)
之卦:雷水解(らいすいかい)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陽][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 老陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[五爻][二爻][初爻]


【原文】
《本卦:
澤雷隨》
隨(ずゐ)は元(おほ)いに亨(とほ)る。
貞(てい)によろし。咎めなし。彖(たん)に曰(い)はく、隨は剛に來たりて柔に下る。動いて說󠄁(よろこ)ぶは隨(ずゐ)。元(おほ)いに亨(とほ)り、貞。咎めなし。しかして天下時に隨(したが)ふ。時に隨(したが)ふの義、大なるかな。象に曰はく、澤中に雷あるは隨。君子以て晦(みそか)に嚮(むか)ひて入りて宴息(えんそく)す。


《之卦:
雷水解》
解は西南によろし。往くところなし。それ來たり復すれば吉。往くところあれば、夙(つと)にして吉。彖(たん)に曰(い)はく、解は險(けん)以て動く。動いて險より免(まぬが)るるは解。「解は西南によろし」とは、往(い)きて衆を得るなり。「それ來たり復して吉」とは、乃(すなは)ち中を得るなり。「往くところ有れば夙にして吉」とは、往きて功あるなり。天地解(ひら)けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百果艸木(ひゃくかそうもく)皆甲拆(こうたく)す。解の時大なるかな。象に曰はく、雷雨作るは解。君子以て過ちを赦(ゆる)し、罪を宥(ゆる)す。


【解釋】
《本卦:
澤雷隨》
〔王弼、通解の解釋〕
隨はしたがうの意󠄃味である。
内卦は震で動き、外卦は兌であり、よろこぶの意󠄃である。
君主が行動するとき、人々はよく協力してくれ、思い通りにできる。
人々は時機にしたがい行動する。


〔根本通明の解釋〕
随は後ろに随って行く義である。
同じ「したがう」でも、従の字は左に付いても右に付いても従うだが、随の字は後ろに附いて行くという義である。
初九はニに随う。
二は三に随う。
三は四に随い、四は五に随い、五は六に随う。
先の方に随うという象があるが、何でも随へば良いわけではない。
仁義礼智に外れないようにすれば咎が無い。
[彖傳]
初九の陽爻が二・三爻目に随っているので、剛柔に随う。
下卦の震は雷なので動く。
動いた先の兌が說ぶ。
随うには正しき所をもってすれば、必ず大いに亨る。
二・三・四爻目の艮は時の象がある。
時は重要で、必ず随わなければならない。
[象傳]
兌は秋、雷は春である。
春に雷が出で、秋に沢中に潜む。
これは時に随うの義である。
君子は晦に嚮(むか)う。
晦は日の暮れる所である。


《之卦:
雷水解》
〔王弼の解釋〕
西南は衆である。難を解決し、危険を整える。利を衆に施す。また東北に困まらない。故に東北に利がないとは言わないのである。まだ、困難を解決するによくない。安に処する迷う。解とは困難を解決し、厄を除くことである。中を失わない。難があっても行けば、迅速であれば吉。難が無ければよく中に復す。難があれば厄を除く。


〔東涯の解釋〕
解は解散の意󠄃である。危険に居てよく動けば、険難を回避できる。卦は変じて蹇となる。二爻が蹇の外卦に行き、五爻が西南坤の方に行く。坤には地の象がある。險の中でよく動ける才でよく進み、よく止まる。どこでも通用する。君子は陰陽を和し、過失であれば赦して問わず、罪悪があれば、寛大にこれを宥す。仁政の至りである。解の道である。


〔根本通明の解釋〕
前の卦の水山蹇(
、天下の険難なる所の卦)が解けた所の卦である。
長い大乱で農業が廃れ、人民は衰えてしまっている。
西南は坤の卦で、地の象である。
地に五穀を植立てて、以て人民を養う。
天下が平らいだなら、進んで事を為す所の仕事は無い。
漸次人民を養えば宜しい。
若し大乱が平らいでいても、進んで往く所の事柄があるならば、速やかに往ってこれを治めるのが宜しい。
[彖傳]
険難に屈せずに踏み越えて外へ出ることで、険難を免れた。
西南は坤の卦で、衆口衆口という象がある。
大勢の人民を我が方へ撫で育てるようにしなければいけない。
既に大難は解けているから、多く仕事をし過ぎず、程良い所に止(とど)まるのが宜しい。
往くべき所があるなら、往けば必ず功が出て来る。
[象傳]
天地に於いては万物を生じ育(やしな)う時である。
君子に於いては仁を行う時であるから、人を殺めるのは良くない。
其所で過ちを赦し、罪人を宥(なだ)める。
善い事を為す心で行った悪事を過ちと云い、それならば無罪になる。
しかし意あって悪事を為したのは、赦すわけにはいかないので流刑などに処す。

11/15(月) ䷾ 水火旣濟(すいかきせい)→䷁ 坤爲地(こんゐち)

11/15(月) 水火旣濟(すいかきせい)→ 坤爲地(こんゐち)


【運勢】
堅実に成功を求めるなら、明確な目標を持って行動し、その上で今ある環境を最大限活用する事が大切である。
何気ない積み重ねが大きな力となる。
頼まれた事は素直に引き受け、信頼を得ると良い。


【結果】

本卦:水火旣濟(すいかきせい)
之卦:坤爲地(こんゐち)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陽][四爻 少陰]
[三爻 老陽][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[五爻][三爻][初爻]


【原文】
《本卦:
水火旣濟》
旣濟は亨(とほ)る。小、貞に利し。初めには吉、終はりには亂る。
彖に曰はく、旣濟は亨るとは、小なる者、亨るなり。貞に利しとは、剛柔正して位當たる。初めは吉とは、柔、中を得るなり。終に止まれば則ち亂る。其の道󠄃窮まるなり。
象に曰はく、水、火の上に有るは旣濟。君子以て患を思ひて豫め之を防ぐ。


《之卦:
坤爲地》
坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。彖に曰はく、至れるかな坤元。萬物、資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤、厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物、咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。象に曰はく、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。


【解釋】
《本卦:
水火旣濟》
〔王弼の解釋〕
旣濟は完全に渡り切ったという意味である。
小は残らず渡り切った。五爻と二爻が位に当たっているので、邪悪なことは出来ない。ただ正しければ上手く行くのである。柔が中を得たら、小はとおるのである。柔は中を得ていないならば、小はまだ通らない。小はまだうまく行っていない。剛で正を得ているといっても、まだ旣に渡り切れていないのである。だから旣濟の要は柔が中を得るにあるのである。旣濟を安定となすのは、道󠄃が窮まり進めないからである。止まるから乱れるのである。存續している時に亡びることを忘れない。旣濟は未濟を忘れてはいけない。


〔東涯の解釋〕
濟は交わり作用しあうことである。火が下に在って炎上し、水は上に在って下を潤す。陰陽が互いに作用していることである。陰陽六爻がそれぞれ正しいところにある。二爻は陰で中を得て、上には坎つまり止がある。だから始めは吉を得て、終には止まってしまい、衰乱の時代になる。治乱盛衰は永遠に互いに作用し続ける。陰陽が交わり互いに作用し、日が南中しているようであり、月󠄃が満月に近い状態である。よくうまく行くといっても、ただ小のみである。大吉ではない。ただ正しさを守るべきである。そうしなければ始めはうまく行っても、終いには乱れるのである。易の戒めるところである。


〔根本通明の解釋〕
水火相和して、萬物悉く生育する。
何事も亨り達する。
小なるものの二爻目は、主爻となり、陰爻を以て陰位にある。
よって中を得て居り、小なるものが正しくして居る。
内卦は始まりで、萬物が盛んになって来るが、半ばを過ぎれば衰えが出て来るから、油断をせずに対策しなければならない。
[彖傳]
二爻目は柔で陰位にあり、九五は剛で陽位にあり、正しく剛柔である。
険難が除けて、天下泰平になる。
安楽になれば人は動かず、為すべきことを怠って、乱れが起って来る。
[象傳]
水火相和しているというものの、性質で言えば分かれる所がある。
水は火の上に在れば宜しいが、水の性質は下を好む。
又火の氣が何処までも上がり、互いに反対に為って相害する所が出て来る。
安楽なる内に災の出ない様に之を防がなければならない。


《之卦:
坤爲地》
〔王弼の解釋〕
坤は貞によろしい。牝馬によい。馬下にあって行く。牝馬は柔順の至りである。柔順を尽くして後にうまく行く。牝馬の正しいものによろしい。西南は人を養う地である。坤の方角である。だから友を得る。東北は西南の逆である。友を失う。乾は龍を以て天を御し、坤は馬を以て地を行く。地は形の名である。坤は地を用いるものである。両雄は並び立たない。二人主が居るのは危うい。剛健と對をなす。長く領土を保つことが出来ない。順を致していない、地勢が順わない。その勢は順。


〔東涯の解釋〕
坤の爻はすべて陰。順の至りである。牝馬は柔であり強く行く。この卦は柔にして健である。主に遇うとは、陽に遇うことである。西南は陰、東北は陽。順の至りでうまく行く。君子まず行くところがあれば迷い、後に主を得る。西南に行くと友を得て、東北に行くとその友は離れる。正しいことだけをしていれば吉。天の気を承け萬物を生ず。陽に先んじてはならず、陽の後に行けばよい。


〔根本通明の解釋〕
坤は乾と對であり、乾は天、坤は地である。牝馬の話が出るが、これは乾の方が牡馬であることをも示している。臣たるもの、必ず朝󠄃廷に行って君に仕えなければならない。しかし、無学では全く役に立たないから、そのためには朋(とも)をもって助け合わなければならない。西南は坤である。
巽の卦、離の卦、坤の卦、澤兌の卦は陰の卦である。そこで、西南に陰の友が集まっている。朋は友と違う。一緒に勉強するもののことを朋というのである。友とは朋の中でも特に親しいものである。朋の字は陰で、友の字は陽である。始めのうちは陰の友達が必要である。そこで西南が良いのである。また、東北は朝󠄃廷を意味する。乾の気で萬物は始まり、坤の気で萬物に形が備わる。坤の卦は地の上に地を重ねているから、地盤は盤石である。天の気がどこまでも拡大していくのに、陰の気はどこまでも従うのである。牝馬が牡馬に従うように、臣下は君主に仕えるのである。先に行こうとしてはいけない。常に後ろについていくべきである。臣下は朋友を失うことになるが、君主に仕えることでそれを克服するだけの喜びを得る。慶(ケイ、よろこ)びは高級な臣下の卿(ケイ)に通じる字である。上に鹿の字が附くが、昔は鹿の皮を以て喜びを述べた。人々が集まってくるのである。
[大象傳]
地が二つも重なっているので盤石である。物を載せても耐えられる。つまり様々なことを任されても耐えられる存在なのである。

11/14(日) ䷘ 天雷无妄(てんらいむまう) 変爻無し

11/14(日) 天雷无妄(てんらいむまう) 変爻無し


【運勢】
結果に過度な期待を持たず、あるがままを納得する事が大切である。
自らの役目を良く理解し、我を通さず謙虚堅実に相手と向き合うと良い。
熱意を胸に次なる目標に進めば、積み重ねた努力を活かせるだろう。

【結果】
天雷无妄(てんらいむまう) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[変爻無し]

【原文】
无妄(むまう)は、元(おおい)に亨(とほ)る、貞に利(よろ)し。其れ正に匪(あら)ずんば眚(わざわい)有り。往く攸(ところ)有るに利(よろ)しからず。彖に曰く、无妄は剛外より來(きた)りて、内に主になり、動いて健。剛中にして應(おう)ず。大(おおい)に亨り以て正し。天の命なり。其正に匪ずんば眚有り、往く攸有るに利しからずとは、无妄の往く、何(いずく)にかゆかん。天命、祐(たす)けず、行かんかな。象に曰く、天の下に雷行き、物に无妄を與(あた)う。先王以て茂(さかん)に時に對(たい)して萬物を育す。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
動いて健とは震のことをいう。雷動して乾健である。剛中というのは五爻を言う。剛が外からきて、内卦の主爻となる。動いていよいよ健である。剛中で応じている。私欲が行われない。妄動することはない。无妄の道ができ、大吉。剛が外から来て内の柔邪の道は消失する。動いていよいよ健であれば剛直の道が通る。剛中にして応じれば斉明の德が通る。天の教命である。もし正しくないのであれば、往く攸有るによくない。茂は盛んなことである。物は皆あえて妄でない。その後に萬物はそれぞれその性を全うできる。時に対して物は育つ。是より盛んなことはない。


〔東涯の解釋〕
妄(もう)は、望と音に相近し。无妄は、希望することがない。『史記』では无望󠄇とかく。この卦をさかさにすると
山天大畜になる。主爻は初九である。无妄は予期せずに来るものである。卦体は震が動くで、乾が健やかである。五爻と二爻は応じている。まさに天命である。逆に正しくないことをしていれば、どんどん禍いを増す結果となる。舜禹が君で伊傅が臣であるようなものだ。


〔根本通明の解釋〕
无妄は欲がないということである。無望の意味である。『史記』や『戦国策』にも無欲の意味で使われている。ただ誠にのみ志すのである。志が正しくなければ、災いがおこる。
[彖傳]
外卦が天で、内卦が雷である。五爻と二爻が応じており、上下心が通う。天命を受けることを表す。その天命に従うのがよい。それ以外のことをしようとするのは、天命でないことをすることになるので、よろしくない。
[象傳]
天の下に雷があるのが无妄である。人間が无妄であるのは当然であるが、万物も无妄であるべきである。先王はこの无妄の卦を用いて、つとめて万物を育んだ。春夏秋冬、天に従った生き方をした。

11/13(土) ䷆ 地水師(ちすゐし) 五爻二爻

11/13(土) 地水師(ちすゐし) 五爻二爻

【運勢】
志操堅固な者は、理想を語るだけで無く自ら率先して行動し、その意気込みを伝える事が大切である。
相手に思いが伝われば、理想は現実となる。
普段から、皆が道理を弁え行動する事で、非常時にも秩序を保てるだろう。


【結果】
䷆◎⚪︎
地水師(ちすゐし) 五爻二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 老陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
師は貞なり。丈人なれば咎无し。彖に曰はく、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以て正す。以て王たるべし。剛中にして應ず。險を行ひて順。此れを以て天下を毒し、而して民之に從ふ。吉又何の咎あらんや。象に曰はく、地中に水あれば師。君子以て民を容れ衆を畜(たくは)ふ。


《爻辭》
[五爻 優先]
六五。田に禽有り。言を執るによろし。咎なし。長子は師を帥ゆ。弟子は尸を輿ふ。貞なれば凶。
象に曰く、長子は師を帥ゆとは、中行を以てなり。弟子は尸を輿ふとは、使ふこと當らざるなり。
[二爻]
九二。師に在りて中なれば吉。咎なし。王三たび命を錫ふ。
象に曰く、師に在りて中なれば吉とは、天寵を承たるなり。王三たび命を錫ふとは、萬邦を懷くるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
丈人とは莊󠄂嚴の称である。師の正しいものである。戦争が起こり民を動かす。功罪はない。だから吉。咎めはない。毒は戦争のことである。


《爻辭》
[五爻 優先]
師の時に處り、柔は尊位を得る。陰は先づ唱へず、柔は物を犯さず。犯されて後に應じ、往けば必ず直なるを得る。故に田に禽有るなり。物先づ己を犯す。故に以て言を執るべくして咎なきなり。柔は軍帥にあらず、陰は剛武にあらず。故に行ふを窮めず、必ず授を以てするなり。授けて主を得ざれば、則ち衆從はず。故に長子は師を帥いるべきなり。弟子の凶、固より其れ宜なり。
[二爻]
剛を以て中に居り、而して五に應ず。師に在りて其の中を得る者なり。上の寵を承ける。師の主なり。大役を任ずること重なりて、功なければ則ち凶。故に吉にして乃ち咎なきなり。師を行ひて吉を得れども、善く邦を懷くるなし。邦懷けば衆服す。錫ふこと重なることなし。故に乃ち命を成すことを得る。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
師は衆のことである。古は陳では五人を伍とした。それを集めて二千五百人になると師といつた。だから師とは軍のことである。内卦は水で外卦は地である。二爻のみが陽である。衆陰をすべて下卦に居る。丈人は老成した人のこと。二爻は剛中で応じている。主爻である。険難の時にあり、柔順である。天下に戦争の危機があり、人々は従う。老成の優秀な人を得て成功する。古より兵法には二つある。暴徒を誅し、乱を平らげ、民の害を除くのが兵を用いる時の根本である。良將を任じればよく尽くしてくれるので兵の要である。だから先王は戦えば必ず勝利したのである。土地は人民が居るところである。君子は庶民をよく束ねて軍団を維持する。普段は生業を保証し、戦争の時は軍人として招集したのである。


《爻辭》
[五爻 優先][二爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
師は師(いく)さの卦である。師さには、軍と師と旅と三つある。軍(いく)さは一万ニ千五百人、その次の師さは二千五百人、その次の旅(いくさ)は五百人である。此処で師と云うのは、軍と旅とを内に兼ねる意味である。師さを用いるには、正当性がなければいけない。丈人は年の長じた人のことである。これは先に生まれたものであり、次男や三男でなく、長子であれば吉である。戦争に勝った上に、正しい師さである故、咎が無い。
[彖傳]
国内の人民を以て兵を組立て、以て無道なる者を討って、之を正しくする。そうして天下に王たるべき徳が成る。二爻目が陽爻であり、剛中を得て居る。中庸の徳があり、天下悉く応じる所がある。毒の字は馬融の解に「毒者治也」とある。毒薬を以て邪を除いて能く治まる所がある。師さに勝って、その正しき所を見れば、之を咎める者も無い。
[象傳]
外卦は坤で地、内卦は坎で水である。其所で地の中に水があるという象である。また坤は国であり、地中に水が含まれているように、国内の男子は皆兵隊である。君子は多くの民を能く畜(やし)なう。


《爻辭》
[五爻 優先][二爻]

11/12(金) ䷳ 艮爲山(ごんゐさん) 変爻無し

11/12(金) 艮爲山(ごんゐさん) 変爻無し

【運勢】
思う様にいかない事があっても、焦ってあれこれ手を出す様ではいけない。
何事も、堂々とした姿勢で成果が出るまで堅実に続ける事が大切である。
善行を習慣化し、心に余裕を持つ事で、平穏を保つ事が出来るだろう。


【結果】

艮爲山(ごんいさん) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
その背に艮(とどま)り、その身を獲(え)ず。その庭に行きてその人を見ず。咎めなし。彖に曰はく、艮は止まるなり。時止まるときは則ち止まり、時行くときは、則ち行く。動靜(どうせい)その時を失はず。その道光明なり。その止まるに艮(とどま)るはその所に止まるなり。上下敵應(てきわう)して相ひ與(くみ)せず。ここを以て、その身を獲ず。その庭に行きてその人を見ず。咎めなきなり。象に曰はく、兼󠄄ねたる山は艮。君子以て思ふことその位を出ず。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
艮はとどまる意󠄃である。山である。山が二つ重なるので兼山ともいう。應爻が一つもなく、互いに反発して人の顔をみようとしないので、背中しか見ないのである。どこかに向おうとすることなく、その地位にとどまるだけである。


〔根本通明の解釋〕
『説卦伝』にあるように、艮は止まるのが宜しい。しかし止まると云っても、進むべき時に止まっては弊害が生じるので、注意しなければならない。艮は人の身体でいえば背中に相当する。動くものは前にあり、背中は動かないからである。また欲は前の方から起こり、背中には欲が生じない。かつ世の中は欲の世界だが、背を向けていれば無欲でいられる。無欲であれば、我が身は無いのと同じである。我が身が無ければ、世間から訪ねて来る人もいない。荘子も「斉物論」で同様のことを言っている。人と交わらずに一人道を楽しんで居れば、何所からも咎を受けることはないのである。
[彖傳]
艮は止まるとある。三爻目、四爻目、五爻目に震の卦があるが、これは進み行くことを意味する。止まる方にばかり偏ってはいけない。また艮の卦には時の象があるが、これは止まるべき所に於いて止まるという意味である。動と静の双方を含んでいることになる。つまり自身に相応(ふさわ)しい所で止まり、行けば良い時になれば動いていくのである。初爻目と四爻目は陰爻同士、また二爻目と五爻目も陰爻同士、そして三爻目と上爻も陽爻同士であるから、いずれも相応じず親しまない。よって「其ノ身ヲ獲」ない。我が身に欲が無く、世間に望みを持たず、室から庭に出て行っても訪問者も見えず、従って咎を受けることもないのである。
[象傳]
「兼山ハ艮」とある。山が二つ重なっており、対立しているから、互いに動いて交わることがない。君子は自分の居所から外へ出ず、我が身を守っているので、外への考えが及ばないのである。