4/20(水) ䷟ 雷風恆(らいふうこう) 五爻

4/20(水) 雷風恆(らいふうこう) 五爻


【運勢】
段階を踏み進めるのに良い時。
自らの本分を守っていれば、問題は起こらない。
良い関係を築くには、お互いが納得するまで、しっかり話し合う事が大切である。
自然と相手を気遣う事ができれば、日常は更に彩るだろう。


【結果】
䷟◎
雷風恆(らいふうこう) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
恒は亨る。咎めなし。貞に利ろし。往く攸あるに利ろし。彖に曰く。恒は久なり。剛上りて柔下る。雷風相ひ與す。巽にして動き、剛柔皆應ず。恒。恒は亨る。咎めなし。貞によろしとは、その道に久しきなり。天地の道󠄃は恒久にしてやまず。往くところあるによろしとは、終れば則ち始まり有るなり。日月は天を得てよく久しく照らす。四時は変化して、よく久しく成󠄃る。聖人はその道を久しくして天下化成す。その恒とするところをみて、天地萬物の情󠄃見るべし。象に曰く、雷風は、恆なり。君子以て立ちて方を易へず。


《爻辭》
六五。其の德を恆にす、貞なり。婦人は吉、夫子は凶なり。
象に曰く、婦人貞吉とは、一に從ひて終はるなり。夫子は義を制す。婦に從へば凶なるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
恒であり享る。恒の道は通り、咎めなく通る。正しくしていれば良い。常道を修めることが終われば、また始まりがある。行って間違いはない。剛が尊く柔が卑しいの順序が得られる。長く陽で長く陰である。互いに成就する。動いて間違えることなく、よく連れ合い、長く続く。窮まることがない。


《爻辭》
居るに尊位を得、恆の主爲り。義を制すること能はずして、二に在るに係り應ず。心を用て貞を專らにし、從ひて唱ふのみ。婦人の吉、夫子の凶なり。

〔東涯の解釋〕
《卦辭》
恒は常、久しいの意である。卦は変じて咸となる。咸の三爻が上に行き四爻となった。上爻が下って初爻となった。剛が昇り柔が下る。雷も風も共に鼓動する。内外全て応じる。だから久しく続き不易である。咎めなく、正しくしておけば良い。作為や粉飾は恒の道でない。必ず駄目になり、長く続くことはない。正しくなければ恒であっても善でない。恒で善であれば何をしても良い。伊尹が畝の中に居て堯舜の道を楽しんだことは、身を終えたことはまさに恒と言えよう。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
「つね」は常と恒の二つがある。「常」の方は幾万年経っても少しも変わる所が無い。しかし「恒」の方は毎日変わり続けて居るが、幾万年経っても易わらない所が有る。是は日月の象になり、常の字は日、恒の字は月である。太陽は幾万年経っても大小変化せず、何時も変わらない。しかし月は毎日形が変わって居る。この卦は夫婦の卦である。夫婦は一旦婚姻を結んだ上は何処までも全うすべきものである。しかし人の身の上というものは毎日変わって往く。初爻目は下卦の主であり、四爻目は上卦の主である。また初爻目と四爻目は互いに相応じて居る。其処で正しい所が良い。夫婦力を合わせ心を同じくして事を為せば、一家は段々盛んになり先に進んで往く。
[彖傳]
この卦は元は地天泰で、一番下の陽爻が四爻目に上り、また四爻目の陰爻が一番下に下った。其処で陰陽相交わり雷風恆の卦になった。雷が鳴って動けば、風が従って雷を助ける。雷と風は相離れず、互いに相與しめ、万物を生じさせる。初爻目と四爻目、二爻目と五爻目、三爻目と上爻目、皆剛柔応じて居る。男女の道は天地陰陽の道である。
[象傳]
雷が春に起こって風が是を助ける。雷気の滞る所を風が一帯に吹き散らし、能く気が循環して万物が育つ所がある。君子は陽が外、陰が内という在り方を易えない。
《爻辭》

4/19(火) ䷆ 地水師(ちすゐし) 三爻

4/19(火) 地水師(ちすゐし) 三爻


【運勢】
結果が求められる時。
目標に無理がないか、改めて確認すると良い。
口だけで芯の無い者に任せれば、目的は達成出来ず、これまでの成果も無に帰すだろう。
困難な時こそ、皆を正しい道へと導く、志操堅固な者が求められる。


【結果】
䷆◎
地水師(ちすゐし) 三爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 老陰][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[三爻]


【原文】
《卦辭》
師は貞なり。丈人なれば咎なし。彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以て正す。以て王たるべし。剛中にして應ず。險を行ひて順。此れを以て天下を毒し、而して民之に從ふ。吉又何の咎あらんや。象に曰く、地中に水あれば師。君子以て民を容れ衆を畜(たくは)ふ。
《爻辭》六三。師或いは尸を輿(を)ふ。凶。象に曰く、師或いは尸を輿ふとは、大に功なきなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
丈人とは莊󠄂嚴の称である。師の正しいものである。戦争が起こり民を動かす。功罪はない。だから吉。咎めはない。毒は戦争のことである。

《爻辭》陰で陽に居て柔で剛に乘る。進んでも応じる者がいない。守るところがない。これで軍隊を用いる。よろしくない。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
師は衆のことである。古は陳では五人を伍とした。それを集めて二千五百人になると師といつた。だから師とは軍のことである。内卦は水で外卦は地である。二爻のみが陽である。衆陰をすべて下卦に居る。丈人は老成した人のこと。二爻は剛中で応じている。主爻である。険難の時にあり、柔順である。天下に戦争の危機があり、人々は従う。老成の優秀な人を得て成功する。古より兵法には二つある。暴徒を誅し、乱を平らげ、民の害を除くのが兵を用いる時の根本である。良將を任じればよく尽くしてくれるので兵の要である。だから先王は戦えば必ず勝利したのである。土地は人民が居るところである。君子は庶民をよく束ねて軍団を維持する。普段は生業を保証し、戦争の時は軍人として招集したのである。


《爻辭》軍が敗れて戦死者を背負って帰る。陰柔の才があり、不中不正。下卦の上位に居て、才がなく志は大きい。人が頼りにすべきものでない。この人に軍を仕切らせたら必ず負ける。國の大事は祭祀と遠征である。才が称賛に値しないものは統治できない。志ばかりが高く自らの才能を客観的に評価できないのであれば、勝利はない。律は法である。行軍の規律である。一時的な勝利をおさめても最終的には敗北する。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
師は師(いく)さの卦である。師さには、軍と師と旅と三つある。軍(いく)さは一万ニ千五百人、その次の師さは二千五百人、その次の旅(いくさ)は五百人である。此処で師と云うのは、軍と旅とを内に兼ねる意味である。師さを用いるには、正当性がなければいけない。丈人は年の長じた人のことである。これは先に生まれたものであり、次男や三男でなく、長子であれば吉である。戦争に勝った上に、正しい師さである故、咎が無い。
[彖傳]
国内の人民を以て兵を組立て、以て無道なる者を討って、之を正しくする。そうして天下に王たるべき徳が成る。二爻目が陽爻であり、剛中を得て居る。中庸の徳があり、天下悉く応じる所がある。毒の字は馬融の解に「毒者治也」とある。毒薬を以て邪を除いて能く治まる所がある。師さに勝って、その正しき所を見れば、之を咎める者も無い。
[象傳]
外卦は坤で地、内卦は坎で水である。其所で地の中に水があるという象である。また坤は国であり、地中に水が含まれているように、国内の男子は皆兵隊である。君子は多くの民を能く畜(やし)なう。


《爻辭》
六三と六四は元帥を補佐する所の大将である。二三四爻目は震の卦であり、之は長子乃ち皇太子の象である。三四爻目の陰爻が二爻目の陽爻に随って居る。此の陽爻は大元帥で、二つの陰爻は左右の翼である。六三は坎の卦として見れば、最も危険な一番上にある。其所で元帥の命を受けずに無理な戦いを仕掛けて、大敗を為した。其所で凶である。
[象傳]
六三は一通りの敗れ方ではない。是迄の功も、此の敗北の為に失ってしまった。

4/18(月) ䷥ 火澤睽(かたくけい) 二爻

4/18(月) 火澤睽(かたくけい) 二爻


【運勢】
大事を行うにはまだ早い。物事の根幹を整えるのに良い時。
現実的な目標を立てると良い。
小事から着実に取り組み、視野を広げて行く事が大切である。
礼節を重んじると良い。
人間関係だけでなく、精神の安定にも繋がる。


【原文】
《卦辭》
睽は小事吉。
彖に曰く、睽(けい)は火動いて上り、澤動いて下り、二女同居して、その志同じく行はれず。說󠄁(よろこ)びて明󠄃に麗(つ)き、柔進みて上行す。中を得て、剛に應ず。是を以て小事吉。天地睽(そむ)いてその事同じきなり。男女睽(そむ)いて其の志通ずるなり。萬物睽(そむ)いて其の事類するなり。睽(けい)の時用大なるかな。
象に曰く、上火下澤は睽(けい)。君子以て同じくして異なり。


《爻辭》
九二。主に巷に遇ふ。咎なし。
象に曰く、主に巷に遇ふとは、未だ道を失はざるなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
睽は背くの意󠄃である。小さな事には吉である。二爻と五爻が相性が良く(応じている)、下の
沢が喜んで火につき従い、五爻が柔(陰)であり、二爻と応じてゐる。よって大きなことには用いるべきでないが、小事には良い。


《爻辭》
睽に處り位を失ふ。將に安んずる所なし。然して五もまた位を失ひ、倶にその黨を求む。門を出でて趣を同じくし、期せずして遇ふ。故に主に巷に遇ふと曰ふなり。睽に處りて援くるを得。その位を失ふと雖も、未だ道を失はざるなり。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
睽は互いに相反して和せざる所の卦である。『説文解字』には互いに反目する貌とある。上爻の離の卦は目である。下卦は兌の卦で癸(みずのと)で、この陰の卦が主となっている。陰は小事の方が吉であって、大事は良くない。
[彖傳]
火の性は動けば上がり、水は動けば下方へ流れる。また火は物を焼いて害し、水は物を潤して生じるから、その性質は反対である。人でいえば、家族が別々になって相争う所の卦である。兌の卦は少女で、巧言令色で旨く寵愛を得ており、内の方で権を握って居る。少女を大切にして、年を取っている離の中女を遠ざけて居れば、互いに嫉妬心が起こり、火が熾(さかん)になるように互いに害しあう。兌にも毀折の象がある。しかし反目は何時までも続くのではなく、相和する所の象もある。兌は說(よろこ)んで明らかなる方へ麗(つ)く。五爻目が陰爻で、二爻目は剛で陽爻である。君臣でいえば、君が弱く、臣が強いという卦である。君を輔ける者が少ないから、大事を行うのはいけない。小事が吉である。しかし君臣は国家の為に為すべき所があり、天地は萬物を生じさせ、夫婦は一家を興す。つまり半目し合っていても志は通じており、大いなる仕事を為す所がある。
[象傳]
上る方の火と、下る方の沢とで相背くが如くである。しかし君の為に尽くそうという所は皆同じである。人によって皆長じる所が異なっており、武をもって事(つか)える者がいれば、文をもってする者もいる。君子は是を用いて事を為す。
《爻辭》

4/17(日) ䷫ 天風姤(てんぷうこう) 上爻二爻

4/17(日) 天風姤(てんぷうこう) 上爻二爻


【運勢】
思いがけない所に問題は潜んでいる。些細な事から大事に繋がりやすい時。
慎重に状況を見極め、解決して行く事が最善だが、どうにもならない事も多い。
考え過ぎず、普段より控えめに過ごす事が、良い結果に繋がる。


【結果】
䷫◎上⚪︎二
天風姤(てんぷうこう) 上爻二爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 老陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[上爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
姤は女壮なり。女を取るに用ゐることなかれ。彖に曰く、姤は遇なり。柔剛に遇ふなり。女を取るにもちゐる勿れ。與に長かるべからず。天地相ひ遇(あ)ひて、品物咸(ことごと)く章なり。剛中正に遇ひて、天下大いに行はる。姤の時義大なるかな。象に曰く、天の下に風有るは姤。后以て命を施して四方につぐ。

《爻辭》
[上爻 優先]
上九。その角に姤ふ。吝なれども咎なし。
象に曰く、その角に姤ふとは、上窮りて吝なるなり。
[二爻]
九二。包むに魚あり。咎めなし。賓によろしからず。
象に曰く、包むに魚有りとは、義賓(ひん)に及ばざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
姤は遇うことである。柔が剛に遇う。人でいうと女が男に遇󠄄うのである。一人の女が五人の男に遇󠄄う。大変強靭な女である。取るべきでない。剛が中正であるから天下はあまねく王化󠄃に帰すのである。言義は見えるところを表現しきれない。

《爻辭》
[上爻 優先]
進、之を極に於いて、復た遇ふ所なく、角に遇ふのみ。故にその角に姤ふと曰ふなり。進みて遇ふなく、獨り恨むのみ。物と爭はざれば、その道害れず。故に凶にして咎なきなり。
[二爻]
二爻は初爻の陰爻に一番近いところにある。陰爻は袋や風呂敷に包んでおくのが良く、討伐しようとしてはならない。この包んだ陰爻は魚にたとえられる。客人が来た時にその魚を出してはならない。なぜならその魚には毒があるかもしれないからである。包んだままにしておくのがよい。陰爻を他の人にはあわせてはならず、自らが責任を持って対処すべきである。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
姤は遇󠄄うことである。一陰が下に生じて、五つの陽にあったのである。一陰が五つの陽に対峙する。その大壮はすさまじいが、陽が必ず勝つ。このような陰を用いてはならない。陰陽が互いに對待(たいたい)することは、天地の常経である。陰が盛んであると陽が損なわれる。臣下が君主に背くのも、婦が夫を凌駕するのも皆陰が盛んだからである。姤の卦が戒めるところである。

《爻辭》
[上爻 優先]
[二爻]
魚は陰のものであり、客人には出していけない。初爻と応じている。初爻の陰には害があり、それを包容しており、外人に接させないようにしなければならない。小人の禍を君子に遭わせないようにする必要がある。小人の勢いが強くここで止めなければならない。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は初六の陰爻が主役で、他の陽爻は賓客のような訳になる。陰は長じて、次第に陽を侵食していく。陰爻つまり女の方から、進んで陽爻に遇う所がある。其処で女を娶るという方へ、この卦を用いてはならない。
[彖傳]
「遇」は多いがけない所で遇うと云う義である。柔は剛に遇うと云うのは、女の方から進んで男に遇うという義である。このような女を娶ると、次第に増長して往くから娶ってはならない。剛中に遇うというのは、九五の剛が九二の賢人に遇う所を云う。賢人は朝廷へ出ようとする初六を抑え止める。そのため剛は賢人と相謀って、初六を正しくする。
[象傳]
天の下に風が旋ぐるように、天下に命令を下す。四方に遍く告げ諭して、能く治め斉(ととの)える。旧弊を除きはらって政を以て天下を新たにする。
《爻辭》
[上爻 優先][二爻]

4/16(土) ䷦ 水山蹇(すいさんけん) 五爻

4/16(土) 水山蹇(すいさんけん) 五爻


【運勢】
様々な困難に突き当たり、どの道を進んでも厳しい時。
今は焦らず修身斉家を心掛け、力を蓄えると良い。
最後まで諦めない事が大切である。
信頼する仲間と協力して、一つずつ問題を解決して行けば、自ずと道は開ける。


【結果】
䷦◎
水山蹇(すいさんけん) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陽][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
蹇(けん)は西南によろし。東北によろしからず。大人を見るによろし。貞にして吉。彖に曰く、蹇は難󠄄なり。險(けん)前に在る。險を見てよく止まる。知なるかな。「蹇は西南によろし」とは、往きて中を得る。「東北によろしからず」とは、その道窮(きは)まるなり。「大人を見るによろし」とは、往きて功あるなり。蹇の時用大なるかな。象に曰く、山上に水あるは蹇。君子以て身に反して德を修(をさ)む。


《爻辭》
九五。大に蹇めば朋來る。
象に曰く、大に蹇めば朋來るとは、中節を以てなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
西南は地であり、東北は山である。難󠄄しい平地を行けば解決は難しい。難󠄄しい山地を行けば道󠄃が窮まる。爻は全部位に当たっている。正しきを履んでいるのが、邦を正す道である。ただし、難に遇うと正を失う。それは良くない。小人には対処できない。難󠄄を除くには德を高めるしかない。


《爻辭》
難の時に處り、獨り險の中に在り。難の大なる者なり。故に大に蹇むと曰ふ。然れども居るに正を失はず、履むに中を失はず、德の長ずるを執り、その節を改めず。此の如くなれば則ち志を同じくする者、集まりて至るなり。故に朋來ると曰ふなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
蹇は難である。進むことができない。前に難があり進めず、険難があるので止まる。蹇が変わると解になる。解の二爻が外卦の五爻に行って中を得る。だから、西南がよく、止まりて進まない。東北に利なし。五爻は位に当たって中正。君を得て、國を正すことが出來る。だから賢人に遇う時であるという。世が乱れているので、蹇に遇えば身を滅ぼす。時を待って行動せよ。我が身を反省して、德を修めよ。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
蹇は歩行が難󠄄しい状況である。西南がよい、上卦が
であるが、上に在る時は月󠄃である。二三四爻の互卦にもがある。これは三日月を表す。旧暦の三日に西南から現れ、東北になくなる。又西南は坤である。草莽にいてどこまでも学問をして學藝を磨くのかよい。何の能力もなく朝廷に出ようとしてはならない。艮は朝󠄃廷を表す。学問を修めたのなら、賢人に遇って、天下を経営するのに良い。
[彖傳]
の卦は大水であり、行けばおぼれてしまう。は止まるであるから、大水に行かずにとどまった。目の前に大水があるので、進めない。止まるべきところで止まるのが知である。西南に於いて学問を修めから、東北に行けば賢人に遇って、明君を得ることになる。今は無学であるから、進んでも利なし。険難の時代に生まれても大いに活躍できるのである。
[象傳]
君子は険難の時代には、良いことをしようとしてもうまく行かない。そこで、己を正しくして、だんだんと德を修めると二爻から上爻までは正しい位にいるが、初爻だけは陽の位に陰でいる。始めが正しくないといけない。だから君子はまず自分の修身から始めるのである。
《爻辭》

4/15(金) ䷴ 風山漸(ふうざんぜん) 上爻四爻

4/15(金) 風山漸(ふうざんぜん) 上爻四爻


【運勢】
細かく目標を立て、堅実に進めるのに良い時である。
向上心を持ち成功者に倣うと良い。
功を焦らず、地道に正しさを守り続ける事が大切である。
鳥が空へ飛び立つ様に、自然体で進めれば、何事も上手く行くだろう。


【結果】
䷴◎上⚪︎四
風山漸(ふうざんぜん) 上爻四爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陽][四爻 老陰]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[上爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
漸は女歸いで吉。貞によろし。
彖に曰く、漸は進󠄃むなり。女歸いで吉なり。進みて位を得るは往きて功あるなり。進󠄃むに正を以てす。以て邦を正すべきなり。その位剛。中をえる。止りて巽。動いて窮まらず。
象に曰く、山上に木あるは漸。君子以て賢德にをりて風俗を善くす。


《爻辭》
[上爻 優先]
上九。鴻陸に漸む。その羽用ひて儀と爲すべし。吉。
象に曰く、其の羽用ひて儀と爲すべし、吉とは、亂るべからざるなり。
[四爻]
六四。鴻木に漸む。或はその桷(えだ)を得る。咎なし。
象に曰く、或はその桷(えだ)を得るとは順にして以て巽(したが)ふなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
漸は漸進の卦である。止まりて巽。だから適度に進む。巽に留まるから進󠄃む。だから女嫁いで吉なのである。進んで正しいものを用いる。進んで位を得るとは五爻を指す。この卦は進むことを主る。漸進して位を得る。
漸はようやく済むことや、順序良く進むことを言う。上卦は木德であり、下卦は山であるから山の上に木があり、順序正しい。また上卦は長女であり、下卦は小男であり、やはり順序が守られている。人生で最も重要な儀礼の一つが婚姻であり、順序正しく進めていくことが極めて重要である。秩序正しくあることが吉である。


《爻辭》
[上爻 優先]
進みて高潔に處り、位に累せず。以てその心を屈しその志を亂るべくの物なし。峨峨清遠にして、儀貴ぶべきなり。故に其の羽用ひて儀と爲すべし吉と曰ふ。
[四爻]
鴻がようやく進んで木に止まることが出来た。木の枝にとまることは水鳥にとっては安全なことではない。さらに進んで、建物の垂木にとどまれたら問題ない。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
漸は次順番通りに進むことである。巽は長女、進んで上に在る。進めることをゆつくりしなければならないのは、女が嫁ぐ時である。五爻が位を得て、剛が中にある。家を正し、功があるだろう。君子が仕えるときは、進󠄃むに礼を以てし、退󠄃くに義を以てする。五爻剛中の徳がある。
《爻辭》
[上爻 優先][四爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
漸は、小さな木が次第に成長して大木になるように、順序を立てて進んで往く意である。この卦は鴻雁(こうがん)の象を取っている。雁は水鳥で、陰鳥であるから、陽に能く従う。そのため婚礼の時には、雁を以て礼を行う。即ち、女が夫に従う義を取ったのである。また臣たるものは、必ず君に従う。国に生まれた者は、皆君に仕えなければならないと云う義も示している。
[彖傳]
女の嫁入りは、速やかにするものではない。六礼といって、六つの段に分かれており、順次進んで往って婚礼が成る。また天子は天下を治めるのに、先ず我が身を正しくする。正しい所を以て、国家を正しくすることが出来る。
[象傳]
山の上に木がある。君子はこの義を用いて、賢徳ある人物を高い所に据え、賢人の徳を以て社会風俗の悪い所を能く直して行く。
《爻辭》
[上爻 優先][四爻]

4/14(木) ䷷ 火山旅(かざんりょ) 三爻二爻

4/14(木) 火山旅(かざんりょ) 三爻二爻


【運勢】
転換期を迎える。
不安定で問題が起こりやすい時。
何事も充分な注意を払い、謙虚な姿勢で臨むと良い。
意志の弱い者は大成しない。
悩み立ち止まるのでは無く、目標を定め、覚悟を持って歩みを進める事が大切である。


【結果】
䷷◎三⚪︎二
火山旅(かざんりょ) 三爻二爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 老陽][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[三爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
旅は小(すこ)し亨(とほ)る。旅、貞なれば吉。彖に曰く、旅は小し亨る。柔、中を外に得て、剛に順ふ。止まりて明󠄃に麗(つ)く。是を以て小し亨る。旅、貞なれば吉なり。旅の時義、大なるかな。象に曰く、山上に火有るは旅。君子以て明󠄃に慎みて、刑を用ゐて、獄を留めず。


《爻辭》
[三爻 優先]
九三。旅その次を焚き、その童僕を喪ふ。貞なれども厲し。
象に曰く、旅その次を焚くとは、また以て傷しなり。旅を以て下に與す、その義喪ふなり

[二爻]
六二。旅、次󠄄に卽(つ)く。その資を懐き、童僕の貞を得たり。
象に曰く、童僕の貞を得たりとは、終ひに尤なきなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
貞吉(ていきち)であることには達しておらず、ただ遠くに行くという状況に於いて貞吉なだけである。だから、特に重ねて「旅貞吉」とあるのである。物がその主を失うと散る。柔が剛に乘る。五爻は剛位に乘り、また外卦の中を得ている。陰は陽に従って、陽は尊󠄄位を得ていない。小し亨る。旅は大いに散る時で、物は元の場所󠄃を失う時である。


《爻辭》
[三爻 優先]
下體の上に居り、二と相得。寄旅の身を以て、下に施すの道を爲す。侵權の萠與は、主の疑ふ所なり。故に次を焚き僕を喪ふ。而して身危きなり。
[二爻]
次󠄄は旅先で安んずることである。二爻は位にあたっており、旅で必ず宿舎を得る。資金も懐にある。童僕の正しい者を得る。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
旅は旅行である。五爻は陰で、順の徳がある。安全な場所で、命を待つ状況にないと言っても、柔順の徳がある。少しはうまく行くのである。旅で生き抜くには、ただ正しいだけでなく、智略も必要である。旅の時には、助けてくれる人も必要である。信用できない人に頼ってはならない。


《爻辭》
[三爻 優先]
[二爻]
旅の途中、柔順で中正である。必要な資金は懐にあり、さらに心が正しい童僕を得た。両方とも、道中大変ありがたいものである。道中最も安定ているといえる。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は諸侯でいえば国を失い、大夫でいえば家を失ったものにあたる。一つ前に
雷火豐があるが、これが転倒してしまったのである。贅沢が過ぎて、身を滅ぼしてしまったのである。その後、旅に出る。旅に出ると、威張っていてはどうしようもないので、身を小さくしておくのが良い。謙遜の態度を守って、正しくしていればうまく行くのである。
[彖傳]
この卦の五爻の陰爻は、元々は
雷火豐の時には、内卦にいた。それが外に出たので、旅をするというのである。旅に出たはいいが、陰であり独立自尊の気概がない。そこで、上爻と四爻に依存している。このようにただ縮こまっていてはいけない。旅は大変危険なものであるから、ちゃんとした助けが必要で、公明正大な人間についていくべきである。怪しい人間は避けた方が良い。
[象傳]
山は動かず、火は行き過ぎる。この二つが同居しているのが旅である。君子は刑罰を慎まねばならない。なぜなら、旅に出て、家を離れ、國を離れたものが罪を犯すことがある。それはその土地の法をよく知らないから、無意識に犯しがちである。君子は一人一人を大切にしなければならないので、旅人だからと言っていい加減に裁いてはならない。慎重に刑罰を行うべきである。


《爻辭》
[三爻 優先]
[二爻]
二爻は旅の卦の中で一番安定している。次とは宿のことで、旅人が宿を得たということである。そればかりではなく、懐には資金があり、童僕もいる。童僕とは若い召使と年を取った召使である。二人とも忠誠心があり、旅の友としては最適である。お金をたくさん持っていても安心である。
[象傳]
童僕が良く尽くしてくれるので、憂えが無くなるのである。

4/13(水) ䷶ 雷火豐(らいかほう) 上爻四爻

4/13(水) 雷火豐(らいかほう) 上爻四爻


【運勢】
勢いがあり努力が実を結ぶ時。
悠長にしてはいられない。怠ければ勢いを失い、衰退の道を辿る。
次なる目標を定め、前進すると良い。
自分本位に行動せず、仲間と協力して取り組めば、如何なる困難も乗り越えられる。


【結果】
䷶◎上⚪︎四
雷火豐(らいかほう) 上爻四爻
《卦辭》
[上爻 老陰][五爻 少陰][四爻 老陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
豐は亨る。王、之に假る。憂ふる勿れ。日中に宜し。彖に曰く、豐は大なり。明󠄃以て動く。故に豐なり。王、之に假るとは、大を尚ぶなり。憂ふる勿れ。日中に宜しとは、天下を照らす宜しきなり。日中するときは則ち昃(かたむ)き、月󠄃盈(み)つるときは、則ち食󠄃す。天地の盈虚、時とともに消息す。而るを況や人に於いてをや。況や鬼神に於いてをや。象に曰く、雷電皆至るは豐。君子以て獄を折し刑を致す。


《爻辭》
[上爻 優先]
上六。その屋を豐にす。その家に蔀す。その戸を闚ふに、闃としてそれ人なし。三歳覿ず。凶。
象に曰く、その屋を豐にすとは、天際に翔るなり。その戸を闚ふに、闃としてそれ人なしとは、自藏するなり。
[四爻]
九四。其の蔀を豐にす。日中斗を見る。其の夷主に遇ふ、吉。象に曰く、其の蔀を豐にすとは、位當らざるなり。日中斗を見るとは、幽にして明ならざるなり。其の夷主に遇ふとは、吉の行なり。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
豐の義はひろめる、ひらく、微細にするである。隠れ滞っているものを通して天下の主となって、微隱にはうまく行かない。憂えは未だに収まっていない。だから、豐は亨に至るのである。そして憂えが無くなる。豐亨憂えなきの德を用い、天中に居るべきである。そして天下を照らす。


《爻辭》
[上爻 優先]
屋は藏蔭の物。陰を以て極に處りて、最も外に在り。位を履まずして、深くして自ら幽隱す。迹を絶え深く藏るる者なり。既にその屋を豐にして、又たその家に蔀す。屋厚くして家覆はる、闇きの甚しきなり。その戸を闚ふと雖も、闃としてそれ人なし。その處る所を棄てて、自ら深く藏るるなり。明動にして大いなるを尚ぶの時に處りて、深くして自ら幽隱し、以てその行ひを高くす。大道既に濟りて、猶ほ見ず。隱れて賢を爲さず、更に道に反するを爲す。凶なることそれ宜なるなり。三年にして豐道成り、治道未だ濟らざれば、隱るるも猶ほ可なり。旣に濟りて隱る。是を以て治、亂を爲すなり。
光を翳ふこと最も甚しき者なり。
以て出るべくして出ず、自藏の謂なり。爲す有るして藏るるに非ざるすら、戸庭を出でず、時を失ひ凶に致る。況んや自藏や。凶なることそれ宜なるなり。
[四爻]
陽を以て陰に居り、其の蔀を豐にするなり。初を得て以て發し、夷主たれば吉なり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
豐は盛大である。知有りて動く。よくうまく行く。王者が大事業を起こす時である。火を日とし、下に在る。その徳の光明、あまねく四方を照らせば、憂うことなく、自然と豊大である。人は明󠄃がなければ物を照らすことできない。動かなければ事業は出来ない。明にしてよく動く。昔は湯王の徳を慕っていった。天が王に勇智を錫(たま)う。
《爻辭》
[上爻 優先]
[四爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
「豊」は腆(あつ)いと云う義で、物が厚く充ち満ちて居ることである。世の中で云えば、天子が名君で政事が能く行き届いて居り、天下が盛んで富んでいることである。しかしながらどれだけ盛んであっても、衰える所も出て来る。下卦の離は日である。東に在る時は未だ日が低いが、日中になれば遍く東西南北を照らし届かない所は無い。ただし日が昃(かたむ)くといけない。
[彖傳]
天子の明徳は宜しく四海天下を照らすべきで、暗い所が出て来てはいけない。しかしながら日が南中すれば、やがては傾いて往く所がある。月も満ちれば、欠けて来る。天地の道は斯くの如きもので、いつまでも保つことは難しい。人間の主でなって居る所の鬼神と雖も、神明なることもあれば、時には神明ならざることもある。自然の勢いと云うものは、力を以て動かすことは出来ない。
[象傳]
雷と電が一書に来るのが豊の卦である。天下が皆富んで、上下安楽の時である。しかし安楽であると、自然と人の心には奢りが出て来るようになる。其処で刑罰を厳重にしなければいけない。


《爻辭》
[上爻 優先]
[四爻]
此れもどこ迄も君を惑はすのである。日中に大ひなる星を見る其處で之に誨へる言ばである。此九四は矢張大臣で居る。大臣たる者は飽迄君の明を蔽ふと云ふでは可けない。其所で其夷主に遇へば吉なり。夷主と云ふのは此初九を指して言ふ。其所で之に誨へる辭ばには兎角我身を全ふするには大臣の官を拗ちて其下賤なる所の我主とする其物に就て能く初九の賢人と親む様にしたならば吉であると云ふ所は速かに位を去れと云ふ事を諷諌するのである。其夷主に遇ふたならば吉である。
[象傳]
其蔀を豊にするは位當らざるなり。我身分は大臣の位に坐つて居る。其大臣の位は我が身に不相當である。小人の身を以て永く其所に居るべき譯のもので無い、其れを日中に斗を見ると云ふものは今の世の中が暗くなつて明かで無いと云ふものは此大臣が君を晦ますからである。其所で我れは大臣の地位を去つて其夷主に遇へば吉であると云ふものは行るなり、我が是迄居る所の位を去る所を言ふのである、行ると云ふは此位を棄て。去つて行く、然うすれば免れる。何時迄も富貴を貪つて居れば可けない。

4/12(火) ䷝ 離爲火(りゐか) 五爻三爻

4/12(火) 離爲火(りゐか) 五爻三爻


【運勢】
調和を大切にすべき時である。
軽率に行動してはいけない。
辛い思いをした時は、同時に己の弱さを知る良い機会でもある。
前向きに捉えると良い。
皆が正しさを共有すれば、自然と秩序は守られ、何事も上手く行くだろう。


【結果】
䷝◎五⚪︎三
離爲火(りゐか) 五爻三爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 老陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[五爻 優先][三爻]


【原文】
《卦辭》
離は貞に利(よろ)し。亨(とほ)る。牝牛を畜(やしな)へば吉。
彖に曰く、離は麗なり。日月は天に麗(つ)き、百穀草木は地に麗き、重明󠄃以て正に麗く。乃(すなは)ち天下を化成す。柔、中正に麗く。故に亨る。是を以て牝牛を畜へば吉なり。
象に曰く、明󠄃兩たび作るは離。大人以て明󠄃を繼ぎ、四方を照らす。


《爻辭》
[五爻 優先]
六五。涕を出すこと沱若たり。戚嗟若たり。吉。象に曰く、六五の吉は、王公に離けばなり。
[三爻]
九三。日昃の離。缶を皷して歌はざれば、則ち大耋(だいてつ)の嗟あり。凶。象に曰く、日昃の離は何ぞ久かるべけんや。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
離は柔であることが正しい。だから、必ず正しくして後にうまく行く。陰爻が卦の真ん中にある。牝の善いものである。外は強くて内は柔らかい。牛の善いものである。柔順を良しとする。凶暴な動物を飼ってはならない。牝牛を飼うのが良い。それぞれのものが、あるべき場所にあるのが良い。陰爻が真ん中に在ればうまく行く。吉。強暴な動物を飼うべきでない。


《爻辭》
[五爻 優先]
履むに其の位に非ず、履む所に勝へず。柔を以て剛に乘り、下を制すること能はず。下は剛にして進み、將に來りて己を害はんとす。憂ひ傷むの深きなり。沱し嗟くに至るなり。然るに麗く所尊に在り、四、逆に首となる。憂ひ傷むこと至深なり。衆の助くる所なり。故に乃ち沱し嗟きて、吉を獲るなり。
[三爻]
嗟は憂い嘆くことである。下卦の終わりに位置し、明はまさに没しようとしている。明がまさに終わろうとしている。もし人で委縮せず志を養い、為すことが出来なかったら、年老いて嗟嘆するばかりである。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
離は附くということである。一陰が二陽の間についている。火であり、日であり、電気であり、德としては明󠄃である。皆柔順であることを知っている。明󠄃は正しくあるのに良い。世の中で明󠄃を用いれば、正を失いがちである。明󠄃が二つ重なる状態で正を忘れなければ、天下を化成することが可能である。坤では牝馬の貞によいとあったが、この離では牝牛である。柔順の徳というより、柔順な人に服するのが良い。智の至りである。明󠄃とは日のことである。前の日が没しても、次の日の出がある。君子はこれを体現し、前の王の明徳を継いでいくのである。


《爻辭》
[五爻 優先]
[三爻]
錯然とは交錯したさまをいう。剛で下に居る。上に応じるものが無い。志は上を目指すが、進むことができない。慎んで敢えて進むべきでない。人は下に居ると上を目指してしまうものであるが、上に応援する人が居ない場合は成功しない。却って恥をかく。まずは慎むことである。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
離はつくの意󠄃味である。正しくあればどこまでもよい。陰が陽爻二つの間についている。この陰爻は坤からきた。牝牛は柔順であり、温厚である。二爻と五爻が牝牛であるから、柔順の徳をやしなうべきである。
[彖傳]
乾の卦の二爻と五爻に陰爻がついたのである。日月は天について天下をあまねく照らす。また百穀草木は地に附いて盛んである。明󠄃の上に明󠄃が重なっているので、重明󠄃という。それが皆正しい位置についている。日月が天下を照らすように、君主も今日も明日も正しさを失わずにいれば、あまねく天下を化すことが出来る。中正なる所󠄃に居るのは二爻である。牝牛というのは二爻のことである。天子は每日明徳を以て政治をしなければならない。


《爻辭》
[五爻 優先]
[三爻]
昃は日が下ること。缶は瓦器である。素朴なものである。耋は八十歳。下卦の最上であり、中頃を過ぎて日没に達する。革易の時である。素朴に甘んじ満足すべきである。そうしないと嗟嘆することとなり、後悔する。中に及ばない場合はまだ望みがあるが、中を過ぎてしまうと衰退に向かう。

4/11(月) ䷙ 山天大畜(さんてんたいちく) 四爻

4/11(月) 山天大畜(さんてんたいちく) 四爻


【運勢】
実力を磨くのに良い時である。
堅実に目標を立てて、知識を蓄えると良い。
健全な社会の枠組みに感謝し、謙虚に過ごす事が大切である。
成功者は私利私欲に走らず、次の世代に道を作り、成長を後押しすると良い。


【結果】
䷙◎
山天大畜(さんてんたいちく) 四爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 老陰]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[四爻]


【原文】
《卦辭》
大畜は貞に利(よろ)し。家食󠄃せざる吉。大川を渉るによろし。
彖に曰く。大畜は剛健篤實輝光。日にその德を新たにす。剛上りて賢を尚ぶ。能く健を止むるは大正なり。家食󠄃せずして吉。賢を養ふなり。大川を渉るによろしとは、天に應ずるなり。
象に曰く、天山中に在るは大畜。君子以て多く前言往行(わうこう)を識して、以てその德を畜(やしな)ふ。


《爻辭》
六四。童牛の牿(こく)。元吉。
象に曰く、六四の元吉は喜(よろこび)有るなり。

【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
大畜は大きく蓄へる、とどむることである。剛健篤実でますます徳が高くなることを表す卦である。剛い者が最上位に登り、賢者を尊んで賢者を養う。賢者は家から出て朝廷に仕えはじめた。吉である。大事業をするのに良い時である。


《爻辭》
童牛とはまだ角が生えきっていない牛のことである。初爻が童牛である。四爻は初爻と相性が良い(応じている)。牿(こく)は牛の角を抑える横木のことで、牛がまだ若いので抑えることはたやすい。よくとどめておくことができるので、喜びがあるのである。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
大畜は、君が臣を止めて畜(やしな)う卦である。大は君のことである。大畜とは反対に小畜という卦がある。小畜は、臣の方が君を止めるという卦である。小は臣のことである。上卦の艮は身体である。三・四・五爻目の震は仁である。また二・三・四爻目に兌は義である。つまり仁義の徳を身の内に具えていることになる。畜の字は、止めるというだけでなく、之を育てて善くするという義がある。徳を十分に養はねばならない。君は、臣の早く出世を求める心を抑えて、十分に学問を以て徳を養わせるのである。また養われる側も、貞所を守るのが良いので、「利貞」という。「不家食吉」とは、学問道徳のある人物は君に用いられ、禄を以て養われる所となる。そのため賢人は家に居って食することは無い。朝廷に招かれた賢人は、危険なことがあっても之を踏み越えて往くのが良い。そこで「利渉大川」という。
[彖傳]
天子に剛健なる徳が具わっている。政務を執っても疲れることがなく、篤実である。篤実は艮の卦の象である。また艮の陽爻が上にあり、光輝く所がある。「日新」というのは、乾の卦で象で、日々昇り沈んでいく太陽である。「其徳剛上」は、上九を指していう。上九は剛にして一番上に居る。
[象傳]
上卦の艮は山、其の山の中に天がある。山中には天の元気が十分に満ちている。火気と水気の働きで草木が良く生じ、禽獣も繁殖する。これが大畜である。「前言」は震の象である。また震は行くという事もある。


《爻辭》
六四は大臣の位で、陰を以て陰に居る。この正しい所の大臣が、賢人を留めて養う。「童牛之告」は、牛が角を人に突き立てることが無い様に、体が小さな頃から角に木を結んで物に当たるのを防ぐのをいう。下卦の乾は陽の卦であるから、強くて剛である。その剛なる所を以て人へ突きあてるようではいけないので、子供の内からこれを引き留めて程よくする。そこで「元吉」である。
[象傳]
大臣たるものは、人材を養うにあたりその人の剛なる所を程よく引きとめる。後に、その人は立派な賢人になって国家の用を為すことになる。そこで喜ぶ所となり、喜びは後に出てくるのである。