8/14(日) ䷆ 地水師(ちすゐし) 初爻

8/14(日) 地水師(ちすゐし) 初爻


【運勢】
結果が求められる時。
皆を正しい道へ導く志操堅固な者が必要とされる。
何事も最初が肝心である。
気を引き締め目標を明確にし、迅速に行動する事が大切である。
初志貫徹。一度決めたら最後までやり遂げる事が大切である。


【結果】
䷆◎
地水師(ちすゐし) 初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 老陰]
《爻辭》
[初爻]


【原文】
《卦辭》
師は貞なり。丈人なれば咎なし。
彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以て正す。以て王たるべし。剛中にして應ず。險を行ひて順。此れを以て天下を毒し、而して民之に從ふ。吉又何の咎あらんや。
象に曰く、地中に水あれば師。君子以て民を容れ衆を畜(たくは)ふ。


《爻辭》
初六。師出づるに律を以てす。否なれば臧きも凶。
象に曰く、師出づるに律を以てす、律を失へば凶なり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
丈人とは莊󠄂嚴の称である。師の正しいものである。戦争が起こり民を動かす。功罪はない。だから吉。咎めはない。毒は戦争のことである。


《爻辭》
師の始め爲り。師を齊ふる者なり。衆を齊ふるに律を以てす。律を失へば則ち散る。故に師出づるに律を以てす。律、失ふべからず。律を失ひて臧ければ、何ぞ否に異ならん。令を失ひて功有るは、法の赦さざる所なり。故に師出づるに律を以てせざれば。臧からずして皆凶。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
師は衆のことである。古は陳では五人を伍とした。それを集めて二千五百人になると師といつた。だから師とは軍のことである。内卦は水で外卦は地である。二爻のみが陽である。衆陰をすべて下卦に居る。丈人は老成した人のこと。二爻は剛中で応じている。主爻である。険難の時にあり、柔順である。天下に戦争の危機があり、人々は従う。老成の優秀な人を得て成功する。古より兵法には二つある。暴徒を誅し、乱を平らげ、民の害を除くのが兵を用いる時の根本である。良將を任じればよく尽くしてくれるので兵の要である。だから先王は戦えば必ず勝利したのである。土地は人民が居るところである。君子は庶民をよく束ねて軍団を維持する。普段は生業を保証し、戦争の時は軍人として招集したのである。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
師は師(いく)さの卦である。師さには、軍と師と旅と三つある。軍(いく)さは一万ニ千五百人、その次の師さは二千五百人、その次の旅(いくさ)は五百人である。此処で師と云うのは、軍と旅とを内に兼ねる意味である。師さを用いるには、正当性がなければいけない。丈人は年の長じた人のことである。これは先に生まれたものであり、次男や三男でなく、長子であれば吉である。戦争に勝った上に、正しい師さである故、咎が無い。
[彖傳]
国内の人民を以て兵を組立て、以て無道なる者を討って、之を正しくする。そうして天下に王たるべき徳が成る。二爻目が陽爻であり、剛中を得て居る。中庸の徳があり、天下悉く応じる所がある。毒の字は馬融の解に「毒者治也」とある。毒薬を以て邪を除いて能く治まる所がある。師さに勝って、その正しき所を見れば、之を咎める者も無い。
[象傳]
外卦は坤で地、内卦は坎で水である。其所で地の中に水があるという象である。また坤は国であり、地中に水が含まれているように、国内の男子は皆兵隊である。君子は多くの民を能く畜(やし)なう。
《爻辭》

8/13(土) ䷅ 天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻

8/13(土) 天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻


【運勢】
道理に従い物事を整理できる時。
複雑な問題は、大局的な視点から中正を守り解決すると良い。
負の感情に流されてはいけない。争いに執着すれば禍根が残るだろう。
志を改め、前向きな視点を持つ事が大切である。


【結果】
䷅◎五⚪︎四
天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陽][四爻 老陽]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
訟は孚有り。窒がる。惕(おそ)れ中するは吉。終はれば凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利しからず。
彖に曰く、訟は上剛下險。險にして、健なるは訟。訟は孚有り窒り、惕(おそ)れて中すれば吉とは、剛來たりて中を得るなり。終はれば凶とは、訟、成すべからざるなり。大人を見るに利しとは、中正を尚(たうと)ぶなり。大川を涉るに利しからずとは、淵に入るなり。
象に曰く、天と水と違ひ行くは訟。君子以て事を作(な)すに始を謀(はか)る。


《爻辭》
[五爻 優先]
九五。訟、元吉。
象に曰く、訟、元吉とは、中正を以てなり。
[四爻]
九四。訟を克くせず。復りて命に卽き、渝へて安貞なれば吉。
象に曰く、復りて命に卽く、渝へて安貞とは、失はざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
訟は訴える、訴訟の意󠄃味である。外は剛健で、内は陰険である徳の無い人は訴訟を好む。結局のところ、訴訟に勝つことは出来ない。


《爻辭》
[五爻 優先]
尊󠄄位であり、訟の卦の主爻である。中正の考えに基づいて曲直を判断すれば、誤ることはない。公正であれば偏ることなく、邪になることもない。だから、大いに吉である。強すぎれば過酷過ぎ、弱すぎればいい加減になる。中正が第一である。
[四爻]
上に處りて下と訟ひ、以て改變するべき者なり。故に其の咎大ならず。若し能く反りて本の理に從ひ、前の命を變ふれば、貞に安んじて犯されず、其の道を不失はず。仁を爲すは己に由る。故に吉にして之に從ふ。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
五爻は王の位であるが、この王は物事の是非を弁えた裁判が出來る。大川とは内卦の
を表す。訴訟の結果、原告も被告も最終的には損をする。やらない方が良い。
《爻辭》
[五爻 優先][四爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
天水訟の前の卦の需は飲食の道である。飲食の次に生じるのは、慾による争いである。そこで訟の卦となる。『説文解字』によれば、訟は争である。鄭玄の解には「辨財曰訟」とあり、金から争いが生じ、裁判するのが訟である。訟は容易に起こすべきでなく、誰もが尤もと頷く所が必要である。つまり孚(まこと)が無ければならない。孚は坎の象で水である。水の潮汐は正確で間違いが無いことに由来する。また水は危険なものという象でもある。窒は塞ぐの義で、自分の争いの心を引きとめることである。一旦訟えても仲裁の流れが出て来たなら、中頃で止めるのが良い。剛情にして遂げ終えるのは凶である。
[彖傳]
訟の大なる所では上と下との争いになり、上は何処までも剛にして、下を圧制したり税を課したりする。三・四・五爻目の巽の卦は、利益を志向する象である。そうなれば下は抵抗し、危険で険悪なる心が生じてくる。一旦訟を持ち出すも、上から仲裁の諭しがあれば、中頃で訟を取り下げ止めるのが良い。五爻目は中を得ている陽爻で明君であるから、必ず喜んで服する所となるだろう。
[象傳]
天と水は本は分かれて反対になる所があるが、元来は同じものである。訟をするにも何事においても、抑々の始まりを考えてみなければいけない。


《爻辭》
[五爻 優先]
この五爻の天子は中正である。大いに吉。
[象傳]
天子がどこまでも中世の正しき所を以てするのである。それで中正なりという。
[四爻]