【運勢】
困難に遭っても、焦らずに、「冷静沈着でいる事」を心掛けると良い。
言葉では無く、「行動で示す事」が信頼に繋がるだろう。
困難な時こそ真価が問われるので、「努力を惜しまない事」が大切である。
【原文】
《卦辭》
困は亨(とほ)る。貞なり。大人は吉にして咎なし。言ふ有り。信ぜられず。
彖に曰はく、困は剛、揜(おほ)はるるなり。險以て說󠄁(よろこ)ぶ。困みてその亨るところを失はず。それただ君子のみか。貞なり。大人は吉。剛中を以てなり。言有り。信ぜられずとは、口を尚(たうと)べば乃ち窮まるなり。
象に曰はく、澤に水なきは困。君子以て命を致して志を遂ぐ。
《爻辭》
九四。來ること徐々。金車(きんしや)に困(くる)しむ。吝(りん)なれども終はり有り。
象に曰はく、來ること徐々とは、志下に在るなり。位に當(あた)らずと雖(いへど)も、與(とも)有るなり。
【解釋】
〔王弼、伊藤東涯の解釋〕
《卦辞》
困は苦しむことである。
しかし、最後は苦しいながらも屈することなく困難から脱出できるだろう。
正しく生きるということは元々困難なものである。
それでも正しいことを続けていかなければならない。
徳のない人にはできないことである。
口で立派なことを言っているだけでは駄目である。
行動が伴わないと信用されない。
《爻辭》
四爻は初爻を志しているが、二爻の金車(堅い車)に邪魔されている。
金車とは二爻である。
陽爻で剛く、物を載せるのによい車である。
気の合う者󠄃がいても、間に障害があってなかなか会えないで困っている。
しかも、初爻と二爻とは相性が良い。
しかし、四爻は初爻と応じており、我慢すれば最終的には初爻と会うことが出來る。
〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
上卦の兌は堤防で水を止めて置く所である。
他方、下卦の坎は流れる水である。
つまり堤防の底から水が流れており、貯えた水が尽きて無くなる。
即ち水不足による困となる。
『説文解字』には、古廬(古き家)とあり、家の用を為さないことが困とある。
しかし人というものは、困難に遭うことで益々奮発し気力が振るう。
其れで大いに亨る所がある。
孟子にも、天が国家の大事を任せ得ると思う人間に対しては、天の方から困難を与えるとある。
九二は剛中で中を得ており大人(たいじん)であるが、初爻と三爻目の二陰=小人(しょうじん)に一陽が挟まれている。
つまり君子が小人の為に苦しめられる所の象である。
もし讒言に罹っても、正しきを弁ずるのはいけない。
ここで君子は争わずに時を待たねばならない。
[彖伝]
「剛弇(おお)はるる」というのは、二爻目が陰爻に挟まれていることである。
「険以説」というのは、困難の中にあって困らず、身が苦しくても心は道を失わず、亨る所となる。
「言あるも信ぜられず」というのは、困難に遭った時に正しい所を弁じてはかえって窮する。
それで言わない方が良いのである。
[象伝]
水が無くなり窮する所となるが、君子は天より享けた命=道徳を行う。
何処までも履(ふ)んで行こうとする志を遂げるのである。
《爻辭》
四爻は初爻と応じており、四爻は陽爻、初爻は陰爻で陰陽も応じていて、非常に相性が良い。
しかし、初爻は小人である。
徳が無い。
その諸初爻が助けを求めるので四爻は助けに向おうとするが、何分初爻は信用できないので、二の足を踏んでいる。
しかも、二爻の賢人が初爻のところに行ってはならないと教え諭す。
初爻を助けたいという気持ちに悩まされるが、二爻の諫めもあって、初爻のところに行かず小人と関わらずに済んだ。
[象傳]
志が下に在るというのは、四爻が初爻を助けようとすることである。
四爻は陰の位に陽でいるが、二爻の賢人の助けを得て、世の中を救うことが出來る。