7/31 (金) ䷫ 天風姤(てんぷうこう) 五爻

【運勢】

物事はとても良い常態を維持しているが、志が高く無ければ続かない。

志を同じくする仲間と、考えを共有する事が大切である。

邪な考えは、互いに戒める事で自然と無くなるだろう。

【原文】

《卦辭》

姤は女壮なり。女を取るに用ゐることなかれ。

彖に曰はく、姤は遇なり。柔剛に遇ふなり。女を取るにもちゐる勿れ。與に長かるべからず。天地相ひ遇(あ)ひて、品物咸(ことごと)く章なり。剛中正に遇ひて、天下大いに行はる。姤の時義大なるかな。

象に曰はく、天の下に風有るは姤。后以て命を施して四方につぐ。

《爻辭》

九五。杞(こ)を以て瓜を包む。章を含めば天より隕(お)つることあり。

象に曰はく、九五の章を含むは中正なるなり。天より隕(お)つること有りとは、志、命を舎てざるなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辭》

姤は遇うことである。

柔が剛に遇う。

人でいうと女が男に遇󠄄うのである。

一人の女が五人の男に遇󠄄う。

大変強靭な女である。

取るべきでない。

剛が中正であるから天下はあまねく王化󠄃に帰すのである。

言義は見えるところを表現しきれない。

《爻辭》

杞は木の名である。

肥沃な土地にある。

五爻は尊󠄄位を履んで応じるものがない。

地を得て食べない。

威德を持ちながら、まだ発現していない。

天命が下りていない。

しかし、良い場所に居り、剛で中を得ている。

だから志は天命を諦めていないのである。

傾き落ちていくことはない。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

姤は遇󠄄うことである。

一陰が下に生じて、五つの陽にあったのである。

一陰が五つの陽に対峙する。

その大壮はすさまじいが、陽が必ず勝つ。

このような陰を用いてはならない。

陰陽が互いに對待(たいたい)することは、天地の常経である。

陰が盛んであると陽が損なわれる。

臣下が君主に背くのも、婦が夫を凌駕するのも皆陰が盛んだからである。

姤の卦が戒めるところである。

《爻辭》

杞は高大な木である。

杞梓(きし)のことである。

瓜はおいしい木の実で、下に在るものである。

ここでは初爻を言う。

剛であり中正。

尊󠄄位に居て二爻が応じていない。

賢い君主が良い臣下を得ていない。

そして至誠は賢者󠄃を求めて下に行く。

広大な樹木が下に在るおいしい果実を覆うようなものである。

それは素晴らしいものを秘めているが、まだ表に現れていない。

下は誠に感応して応じて來る。

それは天が授けてことで、人力ではない。

五爻は中正の徳がある。

だから優れたものを持っているという。

至誠の道は鬼神をも感ぜしめるべし。

もし、至誠にして賢人を求めたのであれば、その位を降りて、浮世を離れて静かに暮らしたら、応じるものがない状況が変わり、応じるものが現れる。

予期できないことがある。

昔から聖人が賢臣に遇うときは、みな至誠の道󠄃を履んだのである。

高宗が傅說󠄁を得、文王が太公望を得たのがまさにそれである。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

この卦は初六の陰爻が主役で、他の陽爻は賓客のような訳になる。

陰は長じて、次第に陽を侵食していく。

陰爻つまり女の方から、進んで陽爻に遇う所がある。

其処で女を娶るという方へ、この卦を用いてはならない。

[彖伝]

「遇」は多いがけない所で遇うと云う義である。

柔は剛に遇うと云うのは、女の方から進んで男に遇うという義である。

このような女を娶ると、次第に増長して往くから娶ってはならない。

剛中に遇うというのは、九五の剛が九二の賢人に遇う所を云う。

賢人は朝廷へ出ようとする初六を抑え止める。

そのため剛は賢人と相謀って、初六を正しくする。

[象伝]

天の下に風が旋ぐるように、天下に命令を下す。

四方に遍く告げ諭して、能く治め斉(ととの)える。

旧弊を除きはらって政を以て天下を新たにする。

《爻辞》

瓜は初六の小人、𣏌は柳の大木のことで九二の賢人である。

九五の天子が、九二を以て、初六を包んで外に出さない様にする。

瓜は甘く美しいが、毒がある。

小人はいくら除いても、天から降ってくるように、何時となしに出てくる。

[象伝]

九五は中庸の徳を以て、天下を正しくして往く。

天命で小人が降って来ても、九五の名君は志をもって、これを引っ繰り返す。

人智を以て、世の乱れを抑える。

天命だから仕方が無いということはいけない。

人間の力を以て、天命を回(か)えると云うのが易の教えである。

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