【運勢】
先を見据え、物事を迅速に行う事で、長く続いた困難が解決し、終わりを迎える。
解決した後は、流れに従う事が大切になる。
自然に歩みを進める事で、変化を受け入れ、中道を守る事が出来る。
【結果】 ䷧◎四⚪︎二
雷水解(らいすいかい) 四爻二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 老陽]
[三爻 少陰][二爻 老陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[四爻 優先][二爻]
【原文】
《卦辭》
解は西南によろし。往くところなし。それ來たり復すれば吉。往くところあれば、夙(つと)にして吉。
彖(たん)に曰(い)はく、解は險(けん)以て動く。動いて險より免(まぬが)るるは解。「解は西南によろし」とは、往(い)きて衆を得るなり。「それ來たり復して吉」とは、乃(すなは)ち中を得るなり。「往くところ有れば夙にして吉」とは、往きて功あるなり。天地解(ひら)けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百果艸木(ひゃくかそうもく)皆甲拆(こうたく)す。解の時大なるかな。
象に曰はく、雷雨作るは解。君子以て過ちを赦(ゆる)し、罪を宥(ゆる)す。
《爻辭》
[四爻 優先]
九四。而(なんぢ)の拇を解く。朋至りて斯に孚あり。
象に曰はく、而の拇を解くとは、未だ位に當たらざるなり。
[二爻]
九二。田して三狐を獲る。黄矢を得れば貞にして吉。
象に曰はく、九二の貞吉は中道を得るなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
西南は衆である。
難を解決し、危険を整える。
利を衆に施す。
また東北に困まらない。
故に東北に利がないとは言わないのである。
まだ、困難を解決するによくない。
安に処する迷う。
解とは困難を解決し、厄を除くことである。
中を失わない。
難があっても行けば、迅速であれば吉。
難が無ければよく中に復す。
難があれば厄を除く。
《爻辭》
[四爻 優先]
位を失い、正しくない。
三爻と比の関係であり、三爻は親指である。
三爻を重んずると初爻の應を失う。
だから親指を解けば、友である初爻が來るのである。
[二爻]
狐は隠れ潜むものである。
剛中で応じている。
五爻に任じられ、大変な時に居る。
危険の情勢を知っている。
物分かりが良く、潜伏したものを見つける。
黄色は中を表し、矢は直を表す。
枉直の實を失わない。よく正しくできる。
〔伊藤東涯の解釋〕
《卦辭》
解は解散の意󠄃である。
危険に居てよく動けば、険難を回避できる。
卦は変じて蹇となる。
二爻が蹇の外卦に行き、五爻が西南坤の方に行く。
坤には地の象がある。
險の中でよく動ける才でよく進み、よく止まる。
どこでも通用する。
君子は陰陽を和し、過失であれば赦して問わず、罪悪があれば、寛大にこれを宥す。
仁政の至りである。
解の道である。
《爻辭》
[四爻 優先]
拇は足の親指である。
初爻を指す。陽剛で外卦にいる。
下は初爻と応じ、兩方とも位を得ない。
これは交わりを道によってしないものである。
陽で動に居り、よく私情を抑え公義に從う。
そうすれば道を同じくする君子が集まってきて共に信じあえる。
自分の過ちを悟り、改めないことはよくない。
四爻ははじめは小人でも、それが良くないことが分かり、そこから解放される。
難しいことであるが、そうすることで善人が自然に集まってくるのである。
[二爻]
狐は人を惑わす動物である。
三匹の狐は二爻より上の三つの陰をさす。
黄色の矢は中直を表す。
剛中の才があり、五爻に応じ、三つの陰が上に在る。
よく三陰の小人を除くことが出來る。
智術を用いて政治をしてはならず、正直が大切である。
〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
前の卦の水山蹇(䷦、天下の険難なる所の卦)が解けた所の卦である。
長い大乱で農業が廃れ、人民は衰えてしまっている。
西南は坤の卦で、地の象である。
地に五穀を植立てて、以て人民を養う。
天下が平らいだなら、進んで事を為す所の仕事は無い。
漸次人民を養えば宜しい。
若し大乱が平らいでいても、進んで往く所の事柄があるならば、速やかに往ってこれを治めるのが宜しい。
[彖伝]
険難に屈せずに踏み越えて外へ出ることで、険難を免れた。
西南は坤の卦で、衆口衆口という象がある。
大勢の人民を我が方へ撫で育てるようにしなければいけない。
既に大難は解けているから、多く仕事をし過ぎず、程良い所に止(とど)まるのが宜しい。
往くべき所があるなら、往けば必ず功が出て来る。
[象伝]
天地に於いては万物を生じ育(やしな)う時である。
君子に於いては仁を行う時であるから、人を殺めるのは良くない。
其所で過ちを赦し、罪人を宥(なだ)める。
善い事を為す心で行った悪事を過ちと云い、それならば無罪になる。
しかし意あって悪事を為したのは、赦すわけにはいかないので流刑などに処す。
《爻辞》
[四爻 優先]
九四は大臣で、六三に屈っ接いている。
而(なんじ)の母は親指の事で、九四を指す。上卦は震の卦で足の象である。
その下に屈っ接いている陰爻は足の指にあたり、小人の首である。
其所で親指を切り断って棄てよと云う事である。
即ち六三を取り除くのが宜しい。
初六は六三の朋である。
この同類の者が来たならば、道徳を以て悪を悛(あらた)める様にするのが宜しい。
[象伝]
九四は六三の小人に取り付かれて、是を引き挙げたが宜しくない。
大臣の位に見合った者ではない。
[二爻]
九二は賢人で、六五の賢人を輔ける。二・三・四爻目に離の卦がある。
離は狩りで、田で狐を狩る。
三匹の狐は、初六・六三・上六の三つである。
黄矢は黄金を以て飾り立てる矢で、黄と云う色は中庸の譬えである。
悪を除くのに遣り過ぎては、却って小人の激する所がある。
丁度程良い所を得ており、正しくして吉である。
[象伝]
九二は小人を悪む事が甚だしくない。
其の処分が如何にも中庸の道を得ており、小人においても感服する所があり、能く治まる。