9/9 (水) ䷾ 水火旣濟(すいかきせい) 三爻初爻


【運勢】

困難な時が終わりを迎える。

これからの成果が自身に大きく影響するので、中正を守り、進み続けると良い。

初心を忘れず、平安な時も常に注意深くいる事が大切である。

【結果】 ䷾◎三⚪︎初

水火旣濟(すいかきせい) 三爻初爻

《卦辭》

[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]

[三爻 老陽][二爻 少陰][初爻 老陽]

《爻辭》

[三爻 優先][初爻]

【原文】

《卦辭》

旣濟は亨(とほ)る。小、貞に利し。初めには吉、終はりには亂る。

彖に曰はく、旣濟は亨るとは、小なる者、亨るなり。貞に利しとは、剛柔正して位當たる。初めは吉とは、柔、中を得るなり。終に止まれば則ち亂る。其の道󠄃窮まるなり。

象に曰はく、水、火の上に有るは旣濟。君子以て患を思ひて豫め之を防ぐ。

《爻辭》

[三爻 優先]

九三。高宗、鬼方を伐つ。三年にして之に克(か)つ。小人は用うること勿(なか)れ。

象に曰はく、三年にして之に克つとは、憊(つか)れたるなり。

[初爻]

初九。其の輪を曳く。其の尾を濡す。咎无し。

象に曰はく、其の輪を曳くとは、義咎无きなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辭》

旣濟は完全に渡り切ったという意味である。

小は残らず渡り切った。

五爻と二爻が位に当たっているので、邪悪なことは出来ない。

ただ正しければ上手く行くのである。

柔が中を得たら、小はとおるのである。

柔は中を得ていないならば、小はまだ通らない。

小はまだうまく行っていない。

剛で正を得ているといっても、まだ旣に渡り切れていないのである。

だから旣濟の要は柔が中を得るにあるのである。

旣濟を安定となすのは、道󠄃が窮まり進めないからである。

止まるから乱れるのである。

存續している時に亡びることを忘れない。

旣濟は未濟を忘れてはいけない。

《爻辭》

[三爻 優先]

旣に渡りきった時、文明の終わりに居る。

衰えの末に居てよく渡り切ることができる。

君子はここに居て、よく挽回することができる。

小人であったら国を失うだろう。

[初爻]

初爻は旣濟の最初にあたり、初めて川を渡り切ったものである。

まだ川から上がったばかりで、乾いていない。

だから車輪を曳くのに、尾が濡れているのである。

まだ替えを作っていないけれども、心に未練なく、志は難を放棄している。

その義に於いては問題ない。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

濟は交わり作用しあうことである。

火が下に在って炎上し、水は上に在って下を潤す。

陰陽が互いに作用していることである。

陰陽六爻がそれぞれ正しいところにある。

二爻は陰で中を得て、上には坎つまり止がある。

だから始めは吉を得て、終には止まってしまい、衰乱の時代になる。

治乱盛衰は永遠に互いに作用し続ける。

陰陽が交わり互いに作用し、日が南中しているようであり、月󠄃が満月に近い状態である。

よくうまく行くといっても、ただ小のみである。

大吉ではない。

ただ正しさを守るべきである。

そうしなければ始めはうまく行っても、終いには乱れるのである。

易の戒めるところである。

《爻辭》

[三爻 優先]

高宗とは殷王の武丁である。

廟は高宗といふ。

鬼方とは夷のいる方である。

陽で陽に居る。

剛を作用させる至りである。

天下が旣に定まり、遠方の異民族を伐つ時代である。

まだよい成果がない。

戦争が三年続き、漸く勝利した。

徳の無い者を用いると、いたずらに略奪行為などをして侵略の害が甚だしい。

決して小人を用いてはならない。

國内に憂えが無くなり、遠征するが、なかなか勝てないものである。

国に勢いがあるからと言って武力で周りを脅してはならない。

武力行使は極力避けるべきで、秦の始皇帝や漢󠄃の武帝はこの戒めを忘れてしまい、國に災いをもたらした。

易が強く戒めるところである。

[初爻]

初爻は陽であって下に居る。

上に良く応じるものがあり、其の志は鋭く上昇志向である。

しかし初爻であり、大きなことが出來る立場ではない。

大願は遂󠄅には達成できない。

その車輪は曳かれ、馬は尻尾を濡らす。

そして進むことができない。

過ちはないので咎はない。

時勢には通塞がある。

時は悪くないが、遅れることは免れない。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

水火相和して、萬物悉く生育する。

何事も亨り達する。

小なるものの二爻目は、主爻となり、陰爻を以て陰位にある。

よって中を得て居り、小なるものが正しくして居る。

内卦は始まりで、萬物が盛んになって来るが、半ばを過ぎれば衰えが出て来るから、油断をせずに対策しなければならない。

[彖伝]

二爻目は柔で陰位にあり、九五は剛で陽位にあり、正しく剛柔である。

険難が除けて、天下泰平になる。

安楽になれば人は動かず、為すべきことを怠って、乱れが起って来る。

[象伝]

水火相和しているというものの、性質で言えば分かれる所がある。

水は火の上に在れば宜しいが、水の性質は下を好む。

又火の氣が何処までも上がり、互いに反対に為って相害する所が出て来る。

安楽なる内に災の出ない様に之を防がなければならない。

《爻辞》

[三爻 優先]

九三は険難を飛び越えて天下太平に為った。

其の熾んなる勢いに乗じて、鬼方を討つため、遠方へ兵を挙げて用いる。

鬼方は北方の蛮夷だが兵力が強く、三年掛かって漸く克った。

併し是れは事を好む小人が起こしたものである。

天子はこのような一仕事を望む小人を用いてはいけない。

[象伝]

三年掛って克ったのは、克っても負けた道理である。

三年もの間遠方へ往って戦った結果、国は極めて憊れてしまって居る。

之は戒むべき事である。

[初爻]

車の輪を曳いて、既に危険なる所を渉り越えて居る。

速やかに陸へ上ぼる事を急がなければいけない。

車を曳く牛が未だ水の中に這入って居るので、尾が濡れて居る内に、人が手伝って早く引き揚げなければならない。

心が緩まなければ、義に於いて咎は無し。

[象伝]

世の中の険難なる所を平げて天下を定めるには、賢人を用いなければいけない。

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