家人は女の貞によろし。彖に曰はく、家人女位を内に正し、男位を外に正(ただ)す。男女正しきは天地の大義なり。家人に嚴君(げんくん)有りとは、父母の謂(い)ひなり。父は父たり。子は子たり。兄は兄たり。弟は弟なり。夫は夫なり。婦は婦なり。而して家道󠄃正し。家を正しくして、天下定まる。象に曰はく、風火より出づるは家人。君子以て言物有りて行恒あり。九三。家人嗃嗃(こうこう)す。厲(あや)うきを悔(く)ゆるも吉。婦子嬉嬉(きき)たれば、終ひに吝なり。象に曰はく、家人嗃嗃すとは、未だ失はざるなり。婦子嬉嬉すとは、家節󠄄を失ふなり。
家人とは家族のことで、特に婦人を指す。
家族円満、一家の繁栄を示している。
嚴君はとても威厳がある父母のことで、父母は子をいつくしみ、子は父母に孝行し、兄弟は友情を大切にし、夫婦は力を合わせなければならない。
家族それぞれが正しい行いをすれば、家はまとまり、家がまとまれば国が治まり、国が治まれば天下が治まる。
三爻は家主が厳しすぎて、家族の和が乱されているさまである。
それでもまだ治まっているからよい。
逆に寛大にしすぎると、家族の絆が緩み、それぞれの素行が悪くなる。
そして恥ずべきことが起こってしまう。
家や職場などで、決まりを厳格に守る人は、部下や後輩などから疎まれる事がある。
しかし反対に寛容であって、内の人間が、一日中気が緩んでいる様では、最後には恥ずべき事になる。
なので、家や職場を治める時は寛容であるよりも、やや厳しい方が良い。