8/4 (火) ䷃ 山水蒙(さんすいもう) 四爻

【運勢】

誠の心はあるが、未だ内面に未熟な所があるので、気をつけなければいけない。

物事の指針を決めるには、良識が必要である。

良識を得るには、すぐれた人から教えを受け、学びを深めると良い。

【原文】

《卦辭》

蒙は亨る。我れ童蒙に求むるにあらず。童蒙、我に求む。初筮すれば吿ぐ。再三すれば瀆(けが)る。瀆るるときは則ち吿ず。貞に利あり。

彖に曰はく、蒙は山の下に險あり。險にして止まるは蒙。蒙は亨る。亨を以て行く。時に中するなり。我れ童蒙に求むるにあらず。童蒙、我に求むとは、志、應ずるなり。初筮するときは吿ぐとは、剛中を以てなり。再三するときは瀆る。瀆るるときは則ち吿げずとは、蒙を瀆すなり。蒙以て正を養ふとは聖の功なり。

象に曰はく、山下に出づる泉あるは蒙。君子以て行を果たし德を育(やしな)ふ。

《爻辭》

六四。蒙に困(くるし)む。吝なり。

象に曰はく、蒙に困(くるし)むの吝は、獨り實に遠ざかるなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辞》

筮は疑うところを決めるためにある。

童蒙が来て、我に教えを求める。

疑うところを決断するためである。

一つに定まらないと、何に従ってよいか分からない。

そうなればまた惑う。

だから初筮は告げるが、二三回とやると冒涜である。

蒙は、正しいことをしておけばよい。

明るいことは聖以上はない。

昧いことは蒙以上はない。

蒙が正しさを養うのは、聖の功である。

だから正を養うには明るさを以てする。

二爻は澤山の陰の主である。

剛が中でも決断できない。

《爻辭》

四爻は陽から遠い場所にいる。

二つの陰の間に居るので、暗闇を晴らせない。

だから蒙に苦しむというのである。

賢人と近づくことが出来ない。

だから吝というのである。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

蒙は子供や愚か者の意󠄃味である。

山の下に泉があるが、山のせいで流れない。

どんな子供でも継続して学べば大成できる。

我とは二爻、童蒙は五爻である。

五爻が二爻に学びを求めている。

二爻と五爻とは応じていて、よく学べる。

筮は最初には良く告げてくれるが、二回三回と繰り返せばそれは冒瀆であり、ちゃんとした答えは返ってこなくなる。

《爻辭》

四爻は陽爻に一番遠いところにあり、啓蒙の恩恵を受けられない。

陰に挟まれていて、進󠄃むには勇気がいるが、四爻は陰柔であり弱い。

なかなか陽(實、賢者)に会えないでいる。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

蒙は未だ智慧が無い状態のため、師を建てるという義である。

善良なるものが外から覆われており、それを取り除くには学問をもってするしかない。

また教えるという象もある。

天子が皇太子を教えるのが主となっている。

能く教えて道徳を十分に発達させる必要がある。

しかし、皇太子の方から教えを受けたいと求めなければいけないのであり、我が方から求めるのではない。

先生は二爻で、童蒙は五爻である。

筮は神に誠を以て物を伺い問うのであり、二度三度と占えば、初めの心が穢れてしまうため、正しい所は告げられない。

[彖伝]

山の下に河があり、進んで往けず止まる。

また学問が無ければ世の中に出ることは出来ない。

しかし元来亨るだけのものがあるので、覆っている包みを取り除けば良い。

童蒙の方に志があり求める所があれば、それに応じて教える。

もし志が穢れていれば告げない。

心が潔く誠が無ければいけない。

[象伝]

山は内側に水を蓄えている。

堀り鑿(うが)てば中から水が湧いてくる。

人の善性は、学問を以て外側の覆いを取ることで発達してくる。

これが蒙の卦である。

二・三・四爻は震で、善き行いであり、遂げるという義がある。

《爻辞》

一生蒙に困(くる)しむ。

九二の師から離れ、陰爻に挟まれてもいる。

故に蒙に困しむ。

[象伝]

陰爻の真ん中に居り、真正が無い。

陰は佞人(ねいじん)の象があり、虚であるから、朋友として居るのは誠実な者でない。

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