7/10(土) ䷻ 水澤節󠄄(すいたくせつ) 変爻無し

【運勢】
節は節度や節約の意味がある。
物事には節度が必要である。無理な事に固執してはならない。
節度とは、楽しいこと、大変なことどちらにも必要だといっているのは、まさしくバランスが必要だと言うことだ。


【原文】
《卦辭》
節󠄄は亨(とほ)る。苦節貞(てい)すべからず。
彖(たん)に曰はく、節󠄄は亨(とほ)る。剛柔(ごうじゅう)分かれて、剛中を得る。「苦節は貞すべからず」とは、その道窮(きは)まるなり。よろこびて以て險(けん)を行き、位にあたりて以て節󠄄(せつ)す。中正にして以て通ず。天地節󠄄して四時成り、節󠄄して以て度を制すれば財を傷(そこな)はず、民を害せず。
象に曰はく、澤上に水あるは節󠄄。君子以て數度(すうど)を制し、德行を議(ぎ)す。


【解釋】
《卦辞》
〔王弼の解釋〕
坎は陽で兌は陰である。陽が上で陰が下である。
剛柔が分かれている。剛柔が分かれて乱れない。剛が中を得て制となる。主節󠄄の義である。節󠄄で最大は剛柔が分かれている時である。節󠄄で苦を過ぎれば堪えられない。それでは正に復せない。喜んで險を冒さず、中を過ぎて節󠄄となれば道󠄃が窮まる。
〔伊藤東涯の解釋〕
節󠄄は分かれて度がある。竹の節のことである。陰陽が均等である。二爻と五爻が剛中である。節󠄄があれば通り、及ばないという弊害がない。上爻は陰柔で正を得て窮まれば、節󠄄を過ぎて窮まる。君子の道は中に適うを貴しとする。人は剛で折れず、柔で撓まなければよろしい。又偏ることがない。うまく行く。及ばないことを恐れるのでなく、行き過ぎることに注意すべきである。

7/9(金) ䷧ 雷水解(らいすいかい) 変爻無し

【運勢】
解は、解決や解けるという意味がある。
状態としては、いままでの難題が解けるときである。
迅速に動くことで困難を解決できる時であり、今がチャンスである。


【原文】
《卦辭》
解は西南によろし。往くところなし。それ來たり復すれば吉。往くところあれば、夙(つと)にして吉。
彖(たん)に曰(い)はく、解は險(けん)以て動く。動いて險より免(まぬが)るるは解。「解は西南によろし」とは、往(い)きて衆を得るなり。「それ來たり復して吉」とは、乃(すなは)ち中を得るなり。「往くところ有れば夙にして吉」とは、往きて功あるなり。天地解(ひら)けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百果艸木(ひゃくかそうもく)皆甲拆(こうたく)す。解の時大なるかな。
象に曰はく、雷雨作るは解。君子以て過ちを赦(ゆる)し、罪を宥(ゆる)す。


【解釋】
《卦辞》
〔王弼の解釋〕
西南は衆である。難を解決し、危険を整える。利を衆に施す。また東北に困まらない。故に東北に利がないとは言わないのである。まだ、困難を解決するによくない。安に処する迷う。解とは困難を解決し、厄を除くことである。中を失わない。
難があっても行けば、迅速であれば吉。難が無ければよく中に復す。難があれば厄を除く。
〔東涯の解釈〕
解は解散の意󠄃である。危険に居てよく動けば、険難を回避できる。卦は変じて蹇となる。二爻が蹇の外卦に行き、五爻が西南坤の方に行く。坤には地の象がある。險の中でよく動ける才でよく進み、よく止まる。どこでも通用する。君子は陰陽を和し、過失であれば赦して問わず、罪悪があれば、寛大にこれを宥す。仁政の至りである。解の道である。

7/8(木) ䷇ 水地比(すいちひ) 初爻

【運勢】
社会の一員として、周りに対して親しみを持ち、助け合いの精神を持つ事が大切である。己の熱意、或いは賢さを内に秘め、何事にも従順な者を志すと良い。誠実に努力を惜しまなければ、思いがけない幸運を引き寄せるだろう。


【原文】
比は吉なり。原筮(げんぜい)。元永貞(げんえいてい)にして咎(とが)めなし。寧(やす)からざる方(まさ)に來たる。後るる夫は凶。
彖(たん)に曰はく、比は吉なり。比は輔(ほ)なり。下順從するなり。原筮、元永貞にして咎めなしとは、剛中(ごうちう)を以てなり。寧(やす)からざる方(まさ)に來たるとは、上下應ずるなり。
象に曰はく、地の上に水あるは比。先王(せんわう)以て萬國を建て、諸侯を親しむ。

[初爻]

孚有りて之れに比す。咎なし。孚有りて缶に盈つれば、終に来たりて他の吉あり


【伊藤東涯の解釋】
比は親しむ、たすけるの意󠄃である。五爻の王だけが陽であり、他はすべて陰爻で王にしたがっている。筮に基づいて大変長く正しさを守っている人を選べば問題ない。五爻に親しむ機会を失ったものはよくない。人と親しもうとすべきである。


【根本通明の解釋】
比は親密なる所である。比は密であり、密は物と物とが密着して間に隙間の無いことである。上卦は水、下卦は地である。水は地の中に浸み込んでくるから、水と土は離れることが無く、密着した状態である。五爻目は陽爻で天子にあたる。天子は人民と密着しており離れることが無い。ちょうど水と土の関係のようである。これは吉である。「筮」は神に吉凶を問い訊ねることで、「原」は再びという意で三度問うことである。つまり天子は神に吉凶を訪ねるのと同じように、諸々の人民へ何事も懇ろに問い訊ねて事を謀るのである。「元永貞」とは元徳を持つ人が、永く怠らず、貞しい所を守っていることである。これは堯舜(古代中国で徳をもって天下を治めた聖天子である堯(ぎょう)と舜(しゅん)。転じて、賢明なる天子の称のようなものである。「後夫凶」は、四方の国が名君に服しているのに、後に残って服せずに居る男が禍を受けることである。


[彖伝]
比は吉である。また互いに相輔けることである。「下順従」の「下」は下卦の坤=人民のことである。そして「順従」は坤の卦の象であり、人民が皆九五の天子のもとに集まってくることである。「不寧方来」は上から下まで残らず天子に応じて服して来ることをいう。「後夫凶」は名君に服さない者が、自ずから往くべき所がなくなり、その道に窮することをいう。


[象伝]
地の上に水があるのが比である。地に悉く浸み込んで来る水は、名君の徳性が深く人民の方へ浸み込んでいく例えである。君と民は親密な関係であり、離れようもない。こうした君民一体の関係に、皇統一系の象が含まれているのである。

【爻辞解釈

データ無し

7/7 (水) ䷖ 山地剥(さんちはく) 変更無し

【運勢】
脅威が刻々と差し迫る卦である。
熱海の土砂災害が起きた日は、剝の初爻であった。梅雨が未だ開けていない、強い雨が降る可能性は大いにあり、どこでも同じようなことが起こり得る。
慎重に注意して行動することが大事である。


【原文】
剝は往く攸有るに利しからず。
彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。
往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。
象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。


【解釋】
〔王弼、伊藤東涯の解釋〕
剝は割くの意󠄃である。
下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。
これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。
このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。

9/16 (水) ䷻ 水澤節󠄄(すいたくせつ) 変爻無し

【運勢】

時代の節目は、世の中が不安定になり易い。

不安定な時は、正しい事でも、自分の意見を押し通そうとしてはいけない。

節度を弁える事が、不安定な世の中の安定に繋がるのである。

【結果】 ䷻
水澤節󠄄(すいたくせつ) 変爻無し

《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 少陽]

《爻辭》
[変爻無し]

【原文】
《卦辭》
節󠄄は亨(とほ)る。苦節貞(てい)すべからず。

彖(たん)に曰はく、節󠄄は亨(とほ)る。剛柔(ごうじゅう)分かれて、剛中を得る。「苦節は貞すべからず」とは、その道窮(きは)まるなり。よろこびて以て險(けん)を行き、位にあたりて以て節󠄄(せつ)す。中正にして以て通ず。天地節󠄄して四時成り、節󠄄して以て度を制すれば財を傷(そこな)はず、民を害せず。

象に曰はく、澤上に水あるは節󠄄。君子以て數度(すうど)を制し、德行を議(ぎ)す。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辞》
坎は陽で兌は陰である。

陽が上で陰が下である。

剛柔が分かれている。

剛柔が分かれて乱れない。

剛が中を得て制となる。

主節󠄄の義である。

節󠄄で最大は剛柔が分かれている時である。

節󠄄で苦を過ぎれば堪えられない。

それでは正に復せない。

喜んで險を冒さず、中を過ぎて節󠄄となれば道󠄃が窮まる。

〔伊藤東涯の解釋〕
《卦辞》
節󠄄は分かれて度がある。

竹の節のことである。

陰陽が均等である。

二爻と五爻が剛中である。

節󠄄があれば通り、及ばないという弊害がない。

上爻は陰柔で正を得て窮まれば、節󠄄を過ぎて窮まる。

君子の道は中に適うを貴しとする。

人は剛で折れず、柔で撓まなければよろしい。

又偏ることがない。

うまく行く。

及ばないことを恐れるのでなく、行き過ぎることに注意すべきである。

〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
節は竹の節に由来する。

中が空洞で通っているが、所々に節があり止まって堅く動かない。

上卦は坎で水が流れて通じるが、下卦は兌で水が止まり、節の象がある。

総ての事は竹の節の様に分限がある。

天地の間にも、君と臣の間にも、一家の中にも各々身分に応じて為す所がある。

しかし己の分を守るということも、度を越せば苦節となる。

孟子に陳仲子という人物がおり、節義を守ることを徹底する余り、無道の君から受ける禄を穢れると言って嫌悪する。

しかしそれでは生きていくことは出来ない。

我が身を苦しめ無理をしてまで節を守ろうとしてはいけない。

[彖伝]
下卦が陰=柔で、上卦が陽=剛である。

上卦の主爻は五爻目で、下卦の主爻は三爻目である。

剛と柔が上下に分かれ、陽爻は皆中を得ている。

「苦節不可貞」は行う所の道が窮して行えなくなることである。

陳仲子の様に窮することになる。

[象伝]
沢の上に水が流れる。

沢は四方に堤防があって水を溜めている。

これが節である。

程好い所に止まっている。

君子は節に則って政を行う。

9/15 (火) ䷳ 艮爲山(ごんいさん) 変爻無し

【運勢】

物事を進める過程において、一度止まる必要があるが、進む気持ちを忘れてはいけない。

先ずは、自分一人で出来る事を行い、正しく生きる事を心掛けると良い。

何事も、堂々とした態度が大切である。

【結果】 ䷳

艮爲山(ごんいさん) 変爻無し

《卦辭》

[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陰]

[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陰]

《爻辭》

[変爻無し]

【原文】

《卦辭》

その背に艮(とどま)り、その身を獲(え)ず。その庭に行きてその人を見ず。咎めなし。

彖に曰はく、艮は止まるなり。時止まるときは則ち止まり、時行くときは、則ち行く。動靜(どうせい)その時を失はず。その道光明なり。その止まるに艮(とどま)るはその所に止まるなり。上下敵應(てきわう)して相ひ與(くみ)せず。ここを以て、その身を獲ず。その庭に行きてその人を見ず。咎めなきなり。

象に曰はく、兼󠄄ねたる山は艮。君子以て思ふことその位を出ず。

【原文解釋】

〔王弼と東涯の解釋〕

《卦辭》

艮はとどまる意󠄃である。

山である。

山が二つ重なるので兼山ともいう。

應爻が一つもなく、互いに反発して人の顔をみようとしないので、背中しか見ないのである。

どこかに向おうとすることなく、その地位にとどまるだけである。

〔根本通明の解釋〕

《卦辭》

『説卦伝』にあるように、艮は止まるのが宜しい。

しかし止まると云っても、進むべき時に止まっては弊害が生じるので、注意しなければならない。

艮は人の身体でいえば背中に相当する。

動くものは前にあり、背中は動かないからである。

また欲は前の方から起こり、背中には欲が生じない。

かつ世の中は欲の世界だが、背を向けていれば無欲でいられる。

無欲であれば、我が身は無いのと同じである。

我が身が無ければ、世間から訪ねて来る人もいない。

荘子も「斉物論」で同様のことを言っている。

人と交わらずに一人道を楽しんで居れば、何所からも咎を受けることはないのである。

[彖伝]

艮は止まるとある。

三爻目、四爻目、五爻目に震の卦があるが、これは進み行くことを意味する。

止まる方にばかり偏ってはいけない。

また艮の卦には時の象があるが、これは止まるべき所に於いて止まるという意味である。

動と静の双方を含んでいることになる。

つまり自身に相応(ふさわ)しい所で止まり、行けば良い時になれば動いていくのである。

初爻目と四爻目は陰爻同士、また二爻目と五爻目も陰爻同士、そして三爻目と上爻も陽爻同士であるから、いずれも相応じず親しまない。

よって「其ノ身ヲ獲」ない。

我が身に欲が無く、世間に望みを持たず、室から庭に出て行っても訪問者も見えず、従って咎を受けることもないのである。

[象伝]

「兼山ハ艮」とある。

山が二つ重なっており、対立しているから、互いに動いて交わることがない。

君子は自分の居所から外へ出ず、我が身を守っているので、外への考えが及ばないのである。

9/14 (月) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 五爻

【運勢】

誠意が有れば、周りから信頼を得られるので、協力して成果を上げる事が出来る。

大事を行うのにとても良い時である。

中正を守る為には、相手の心情も踏まえて行動する事が大切である。

【結果】 ䷩◎五

風雷益(ふうらいえき) 五爻

《卦辭》

[上爻 少陽][五爻 老陽][四爻 少陰]

[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]

《爻辭》

[五爻]

【原文】

《卦辭》

益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。

彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。

往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。

象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。

《爻辭》

九五。孚有りて惠心。問ふこと勿くして元吉。孚有りて我が德を惠とす。

象に曰はく、孚有りて惠心とは、之を問ふこと勿(な)し。我が德を惠とすとは、大いに志を得るなり。

【解釋】

〔王弼と東涯の解釋〕

《卦辞》

益は増すこと、増やすことである。

䷋否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。

上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。

上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。

《爻辞》

[王弼の爻辞]

位を得て尊󠄄位にある。

益の主爻である。

益の大で、信より大なるものはない。

惠の大で、心より大なるものはない。

民の利する所󠄃によって、これを利す。

恵んで費やさない。

惠の心である。

信は惠の心を以てする。

願いを尽くす。

だから問う前に元吉。

誠があって我が德を恵む。

誠を以て恵む。

そしてこれに応じる。

[伊藤東涯の爻辞]

惠の心は仁恵の心である。

この爻は益があって、陽剛中正である。

尊󠄄位にある。

下の二爻の賢者が応じ、明君が賢臣をえる。

民を利する。

誠の心があり、愛を下に恵む。

至善大吉である。

問うまでもない。

下もまた誠の心があって上に感じる。

その德を以て、恩恵とする。

徳で仁を行うものが王であり、力を以て仁を借りるのが覇である。

仁政を民に及ぼす。

もし至誠の心があれば、天下を益せば、天下の人敬服する。

親は父母を超え、尊󠄄神明を超える。

その心が固まり解けない。

いたずらにそのことがあり、内に誠が無ければ、暫くは服従しても、実は離れる。

五爻にはまことの惠があり、物に及ぼす。

君臣が出合い、天下を益す。

大変な吉である。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

この卦は、前の卦の山沢損と反対である。

山沢損は地天泰より来た。

そして地天泰は天地否から来た。

天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。

坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。

そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。

これで風雷益の卦になる。

これが下を益するという義である。

上卦の震は、農業の卦である。

人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。

それで「利有攸往」である。

こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。

よって「利渉大川」である。

[彖伝]

「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。

そこで民が説(よろこ)ぶ。

陽が段々進んで往けば兌の卦になる。

農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。

出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。

よって「其道光大」となる。

「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。

いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。

「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。

[象伝]

上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。

また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。

つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。

そして過ちがあれば速やかに改める。

震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。

雷山小過は霆(激しい雷)である。

雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。

これは往き過ぎである。

善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。

《爻辞》

九五の天子は、底からの孚があって、民を恵む志が真に厚い。

これを占いで問うには及ばない。

天子は我が徳を以て普く人民を恵む。

[象伝]

天子は我が徳を以て普く民を恵めば、大いに志を得る事が出来る。