11/2(火) ䷑ 山風蠱(さんぷうこ) 五爻三爻
【運勢】
風が山に阻まれて淀んでしまう様に、進まず留まれば、何事も腐敗が進んでしまう。
取り返しの付かなくなる前に、悪しき習慣を改め、良い習慣を取り入れる事が大切である。
信頼する相手と協力して物事を進めると良い。
【結果】䷑◎五⚪︎三
山風蠱(さんぷうこ) 五爻三爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 少陰]
[三爻 老陽][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻 優先][三爻]
【原文】
《卦辭》
蠱は元いに亨る。大川を渉るに利し。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。
彖に曰はく、蠱は剛上りて柔は下る。巽にして止まるは蠱。蠱は元いに亨る。而して天下治まるなり。大川を渉るに利しとは、往きて事有るなり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日とは、終はる時は則ち始め有り。天の行なり。
象に曰はく、山の下に風有るは蠱。君子以て民を振し、德を育(やしな)ふ。
《爻辭》
[五爻 優先]
六五。父の蠱を幹す。用ゐて譽(ほまれ)あり。
象に曰はく、父に幹す、用ゐて譽ありとは、承くるに德を以てするなり。
[三爻]
九三。父の蠱を幹す。小しく悔有り。大なる咎なし。
象に曰く、父の蠱を幹すとは、終に咎なきなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
下の剛は制を断じ、上の柔は令を施すべし。
旣に巽また止まり、競争しない。
事有りて競争の煩いがない。
だから為すことがある。
為すことがあれば大いにうまく行く。
天下を治める。
蠱は事有りて、能力のあるものを待つ時である。物は喜び従う。
德を進めて業を修めればうまく行く。
甲とは創制の令である。
古いものを以てしてはならない。
甲に先立つこと三日、甲に後れること三日、治めさせて後、誅するのである。
事によって令を述べる。
終われば始まる。
天の運行は四季のようである。
《爻辭》
[五爻 優先]
柔が尊󠄄位に居る。
中を用いて應ず。
先代を承けるのに中を用いれば譽を受ける。
柔が中にあるので威力を用いない。
[三爻]
剛を以て事を幹す、其れ應ずるなし。故に悔有るなり。其の位を得るを履み、正を以て父に幹す。小しく悔有りと雖も、終に大なる咎なし。
〔東涯の解釋〕
《卦辭》
蠱は壊、腐敗のことである。
この卦は變じて隨となる。
隨の初爻が上って上爻となり、隨の上爻が下って初爻となる。
だから、剛が上って柔が下るというのである。
強者が弱者をしのぎ、衆寡敵せず、終に蠱壊を招く。
内は巽順であり、よく物を止める。
天に十日有り。
甲に始まり癸で終わる。
甲は事の始めである。
甲に先んじるとは辛壬癸であり、統治が極まり乱れる。
前󠄃の事が終わろうとする。
腐敗を致す道である。
甲に後れるとは乙丙丁である。
乱が極まり治まるころである。
腐敗を治める道である。
治乱盛衰何度も反復するものであり、日が昇り暮れ、月󠄃が満ち欠け、寒暑が往来するようなものである。
上下がうまく意思疎通しないと腐敗するので、巽順の道がこれを防がねばならない。
そうすればうまく行くのである。
《爻辭》
[五爻 優先]
腐敗がある時に柔であり、尊󠄄位にある。
二爻と応じてゐる。
柔中の君は、剛陽の臣下を任命することが出来る。
そしてその祖業を輝かせる。
自分自身の才能が腐敗を治めるに足らないならば、良く治めることが出来るものに頼るべきである。
君は衆と力を合わせて腐敗に対応すべきである。
[三爻]
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
政が大いに乱れた状態で天子が崩御し、位に即いた太子はこれを悉く一新し、天下を新たにするという卦である。
蠱は器物の様な物や米などが、古くなって壊れて来る所を云う。
三・四・五爻目に震の卦がある。
これは長子、即ち皇太子である。
上爻が父親で、初六は子であり、即ち父親は終わり子が始まるの象である。
[彖傳]
陽爻が一番上になって居るのを剛上る、陰爻が一番下になって居るのを柔下ると云う。
巽は弱く姑息で敗れる。
晩年の天子の周りでは、大臣の悪人が天下を紊し、朝廷には小人ばかりで、手の付けようが無い。
そこで姑息にして放置して居り敗れたのが蠱である。
元亨而治まるとは、新たに始めることで震の卦の象である。
皇太子が即位して政を改め天下を治める。
先甲は旧いものが終わり新しく始まって往くことである。
後甲は辛壬癸が終わり、甲乙丙で始まっていくことである。
[象傳]
旧いものを悉く洗い除く。
ニ・三・四爻目に兌の卦がある。
兌は秋で、枯れた葉が山下からの風で吹き落される。
これは旧弊の政事を除く義である。
三・四・五爻目は震の卦である。
震は春で、新しい芽がまた出てくる。
《爻辭》
[五爻 優先]
皇太子が天子の位に即いて政を改める所である。
これは重大な事であるから、一人で行えない。
五爻目に応じるのは二爻目で、九二の賢人を用いる。
そうして天下を斉へた所から誉を得る。
[象傳]
親の後を承け継ぎ、道徳に則った政を行う。
[三爻]