2/20(日) ䷷ 火山旅(かざんりょ)→䷾ 水火旣濟(すいかきせい)
【運勢】
自信を持つのは良い事だが、一人で何でも出来ると慢心してはいけない。
謙虚に人と接し、信頼関係を築く事が大切である。
現状に甘んじる事無く、これまでの経験を活かし、次の目標を立てると良い。
【結果】䷷→䷾
本卦:火山旅(かざんりょ)
之卦:水火旣濟(すいかきせい)
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 老陰][四爻 老陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[上爻][五爻][四爻][初爻]
【原文】
《本卦:䷷ 火山旅》
旅は小(すこ)し亨(とほ)る。旅、貞なれば吉。
彖に曰く、旅は小し亨る。柔、中を外に得て、剛に順ふ。止まりて明󠄃に麗(つ)く。是を以て小し亨る。旅、貞なれば吉なり。旅の時義、大なるかな。
象に曰く、山上に火有るは旅。君子以て明󠄃に慎みて、刑を用ゐて、獄を留めず。
《之卦:䷾ 水火旣濟》
旣濟は亨(とほ)る。小、貞に利し。初めには吉、終はりには亂る。
彖に曰く、旣濟は亨るとは、小なる者、亨るなり。貞に利しとは、剛柔正して位當たる。初めは吉とは、柔、中を得るなり。終に止まれば則ち亂る。其の道󠄃窮まるなり。
象に曰く、水、火の上に有るは旣濟。君子以て患を思ひて豫め之を防ぐ。
【解釋】
《本卦:䷷ 火山旅》
〔王弼の解釋〕
貞吉(ていきち)であることには達しておらず、ただ遠くに行くという状況に於いて貞吉なだけである。
だから、特に重ねて「旅貞吉」とあるのである。
物がその主を失うと散る。
柔が剛に乘る。
五爻は剛位に乘り、また外卦の中を得ている。
陰は陽に従って、陽は尊󠄄位を得ていない。
小し亨る。
旅は大いに散る時で、物は元の場所󠄃を失う時である。
〔東涯の解釋〕
旅は旅行である。
五爻は陰で、順の徳がある。
安全な場所で、命を待つ状況にないと言っても、柔順の徳がある。
少しはうまく行くのである。
旅で生き抜くには、ただ正しいだけでなく、智略も必要である。
旅の時には、助けてくれる人も必要である。
信用できない人に頼ってはならない。
〔根本通明の解釋〕
この卦は諸侯でいえば国を失い、大夫でいえば家を失ったものにあたる。
一つ前に䷶雷火豐があるが、これが転倒してしまったのである。
贅沢が過ぎて、身を滅ぼしてしまったのである。
その後、旅に出る。
旅に出ると、威張っていてはどうしようもないので、身を小さくしておくのが良い。
謙遜の態度を守って、正しくしていればうまく行くのである。
[彖傳]
この卦の五爻の陰爻は、元々は䷶雷火豐の時には、内卦にいた。
それが外に出たので、旅をするというのである。
旅に出たはいいが、陰であり独立自尊の気概がない。
そこで、上爻と四爻に依存している。
このようにただ縮こまっていてはいけない。
旅は大変危険なものであるから、ちゃんとした助けが必要で、公明正大な人間についていくべきである。
怪しい人間は避けた方が良い。
[象傳]
山は動かず、火は行き過ぎる。
この二つが同居しているのが旅である。
君子は刑罰を慎まねばならない。
なぜなら、旅に出て、家を離れ、國を離れたものが罪を犯すことがある。
それはその土地の法をよく知らないから、無意識に犯しがちである。
君子は一人一人を大切にしなければならないので、旅人だからと言っていい加減に裁いてはならない。
慎重に刑罰を行うべきである。
《之卦:䷾ 水火旣濟》
〔王弼の解釋〕
旣濟は完全に渡り切ったという意味である。
小は残らず渡り切った。
五爻と二爻が位に当たっているので、邪悪なことは出来ない。
ただ正しければ上手く行くのである。
柔が中を得たら、小はとおるのである。
柔は中を得ていないならば、小はまだ通らない。
小はまだうまく行っていない。
剛で正を得ているといっても、まだ旣に渡り切れていないのである。
だから旣濟の要は柔が中を得るにあるのである。
旣濟を安定となすのは、道󠄃が窮まり進めないからである。
止まるから乱れるのである。
存續している時に亡びることを忘れない。
旣濟は未濟を忘れてはいけない。
〔東涯の解釋〕
濟は交わり作用しあうことである。
火が下に在って炎上し、水は上に在って下を潤す。
陰陽が互いに作用していることである。
陰陽六爻がそれぞれ正しいところにある。
二爻は陰で中を得て、上には坎つまり止がある。
だから始めは吉を得て、終には止まってしまい、衰乱の時代になる。
治乱盛衰は永遠に互いに作用し続ける。
陰陽が交わり互いに作用し、日が南中しているようであり、月󠄃が満月に近い状態である。
よくうまく行くといっても、ただ小のみである。
大吉ではない。
ただ正しさを守るべきである。
そうしなければ始めはうまく行っても、終いには乱れるのである。
易の戒めるところである。
〔根本通明の解釋〕
水火相和して、萬物悉く生育する。
何事も亨り達する。
小なるものの二爻目は、主爻となり、陰爻を以て陰位にある。
よって中を得て居り、小なるものが正しくして居る。
内卦は始まりで、萬物が盛んになって来るが、半ばを過ぎれば衰えが出て来るから、油断をせずに対策しなければならない。
[彖傳]
二爻目は柔で陰位にあり、九五は剛で陽位にあり、正しく剛柔である。
険難が除けて、天下泰平になる。
安楽になれば人は動かず、為すべきことを怠って、乱れが起って来る。
[象傳]
水火相和しているというものの、性質で言えば分かれる所がある。
水は火の上に在れば宜しいが、水の性質は下を好む。
又火の氣が何処までも上がり、互いに反対に為って相害する所が出て来る。
安楽なる内に災の出ない様に之を防がなければならない。