6/1日 ䷫ 天風姤 二爻

姤は女壮なり。女を取るに用ゐることなかれ。彖に曰はく、姤は遇なり。柔剛に遇ふなり。女を取るにもちゐる勿れ。與に長かるべからず。天地相ひ遇(あ)ひて、品物咸(ことごと)く章なり。剛中正に遇ひて、天下大いに行はる。姤の時義大なるかな。象に曰はく、天の下に風有るは姤。后以て命を施して四方につぐ。九二。包むに魚あり。咎めなし。賓によろしからず。象に曰はく、包むに魚有りとは、義賓(ひん)に及ばざるなり。

姤は遇ふことである。

乾䷀がようやく初爻から陰爻に成り始めたところであり、陰がはじめて陽にあう時である。

女壮とは、とても増長した女性のことで、陽ばかりのところに一人入っていく度胸のある陰である。

ここまで强い女性を妻にするのは要注意である。

また、このような臣下(陰)も登用すべきでない。

この卦は陰陽の気が交わるはじめである。

二爻は初爻の陰爻に一番近いところにある。

陰爻は袋や風呂敷に包んでおくのが良く、討伐しようとしてはならない。

この包んだ陰爻は魚にたとえられる。

客人が来た時にその魚を出してはならない。

なぜならその魚には毒があるかもしれないからである。

包んだままにしておくのがよい。

自分の興味を惹く物事がある。

そう言った時、其れを得ようと考えるのではなく、一度考え直した方が良い。

思いがけぬ所に、問題が存在する。

5/31日 ䷎ 地山謙 初爻

謙は亨(とほ)る。君子は終はり有り。彖に曰はく、謙はとほる。天道下濟して光明。地道卑(ひく)くして上行す。天道は盈(えい)を虧(か)きて、謙に益す。地道󠄃は盈を變じて謙に流る。鬼神は盈を害して謙に福す。人道は盈を惡(にく)みて謙を好む。謙は尊くして光り、卑(ひく)くして踰ゆべからず。君子の終はりなり。初六。謙謙す。君子大川を涉るに用ゐれば吉。象に曰はく、「謙謙す。君子」とは卑くして以て自ら牧するなり。

謙は謙譲や謙遜の意󠄃味である。

平面な地卦の下に高いはずの山卦がある様が謙遜を表す。

謙譲の徳を持っている者は、どんなところでも歓迎されるし、尊敬される。

しかし、謙譲の美徳は昇進するにつれて失いがちである。

謙譲の美徳を持ち続けて、人の上に立つことは難しい。

君子とは最後まで謙譲の美徳を全うすることができる人のことである。

謙譲の美徳を有する者が上にいると、下の者を大切にするので、下の者は自分の実力を活かすことができる。

また、謙譲の美徳を有する者が下にいると、周りの人がその徳を慕って昇進を求める。

初爻は謙の卦の中の最下位であり、しかも陰爻なので徹底している。

謙の中の謙といえる。

このような人物を登用すれば、大事業も上手く行くであろう。

君子は下にいる時に、謙譲の美徳を大切にして人間形成に努めるのである。

謙虚さを常に持ち、どの様な立場にあっても、学びの姿勢を忘れない。

そういった姿勢であるから人望を集め、大事を成すことができる。