大過は棟撓(たわ)む。往く攸(ところ)あるに利ろし。亨る。九三。棟撓む。凶。
大過󠄃は大なることが過󠄃ぎる、または過剰が大であることを意味する。
それだけ、勢力が充満しているので、大きなことをしようとすることにはちょうど良い。
三爻は、特に棟の撓みがひどいので、誰も助けられないから凶である。
棟木(上に立つ人)を支える事が出来ない。
この状況はどうする事も出来ないので、間もなく家は壊れてしまうだろう。
大過の最も大過らしいところ。
東洋文化の維持發展
大過は棟撓(たわ)む。往く攸(ところ)あるに利ろし。亨る。九三。棟撓む。凶。
大過󠄃は大なることが過󠄃ぎる、または過剰が大であることを意味する。
それだけ、勢力が充満しているので、大きなことをしようとすることにはちょうど良い。
三爻は、特に棟の撓みがひどいので、誰も助けられないから凶である。
棟木(上に立つ人)を支える事が出来ない。
この状況はどうする事も出来ないので、間もなく家は壊れてしまうだろう。
大過の最も大過らしいところ。
同人は野に于(おい)てす。亨る。大川を渉るに利ろし。君子の貞に利ろし。九三。戎を莽に伏せ、其の高陵に升る。三歳興らず。
同人は同志の意󠄃である。
天も火も火德で同じである。
ただ狭い付き合いに終わらせず、多くの人と交わることを良しとする。
常に人に対して公明正大に接していれば、どんな難事業も一緒に乗り越えられるとする。
三爻は強敵が待ち構えているので、草むらから様子をうかがっている状況である。
高い丘の上に登って敵情を視察してみると、相手の手強さを再確認した。
三年は兵を起こすことができないであろう。
泣き寝入りするしかない。
このまま進めても成果が得られないので、計画を変更するべきである。
欲がとても強く、満たす為にあれこれと画策をする。
しかし、この行動は不純な動機から来ている為、無理に遂げようとするならば、最後には非難されてしまうだろう。
明夷は艱貞に利し。彖に曰はく、明󠄃地中に入るは明󠄃夷。内文明にして外柔順。以て大難を蒙る。文王之を以てす。艱貞に利しとは、その明りをくらますなり。内難󠄄にしてよくその志を正す。箕子(きし)を以てす。六二。明󠄃夷。左股をやぶる。用て拯(すく)ふ。馬壮なり。吉。
明󠄃夷は光明がくらまされることである。
明徳ある人が外面に柔順であるので、徳のないものに傷つけられてしまったのである。
昔、殷代の末期、暴君の紂王が聖人の文王を羑里(ゆうり)というところに幽閉したのと同じである。
また殷の名臣であった箕子(きし)は、紂王の暴政に、心中多くの辛いことを抱えながらも、志を正し続けたのである。
二爻は左の股を傷つけたとある。
これはまだ軽傷であり、幸い馬は元気なので、困難を克服できるとする。
大きな障害を受けて、自力ではどうする事も出来無い。
けれど心配は要らない。
志を同じくする仲間に協力してもらい、最後には報われるだろう。
訟は孚有り。窒がる。惕れて中すれば吉。終はれば凶。大人を見るに利ろし。大川を渉るに利ろしからず。九二。訟を克くせず。歸りて逋る。其の邑人(むらびと)三百戸、眚(わざはひ)无(な)し。
訟は訴訟などの言い争いを表す。
いくら言い分があろうとも、不利に働き、最後は凶となる。
有徳者に仲介してもらい、あまり大事にすべきでない。
二爻は、言い争いを途中でやめるが、それが結果的に良いとする。
小さな集団でのことあるから、そこまで揉め事を引きずろうとはしないのである。
自分の正しいと思う事が、必ずしも皆に認めてもらえるとは限らない。
相手に伝わらない、理解してもらえない時は対立をして事を荒立てるのではなく、相手の意見を聞く度量が大切である。
節は、亨る。苦節は貞にすべからず。戸庭を出でず。咎なし。
節󠄄は節目、節制、節約などを表す。
初爻は節度をわきまえ、家の外にむやみに出ようとしないので、問題ない。
三爻四爻五爻は☶(艮)である。
艮(うしとら)は鬼門であり、それを二爻が戸となってふさいでいる。
これをくぐるのは良くない。
自分のよく知る範囲で、物事を進める事が大切。
物事の通塞(タイミング)をよく理解すれば、間違いは犯さないだろう。
謙は亨る。君子終り有り。吉。富まず。其の鄰を以てす。侵伐に用うるに利(よ)ろし。利ろしからざるなし。
謙は謙譲ということである。五爻は陰なので、富み栄えることは出来ないとする。
しかし、とても親しい人と共に、事をなせば上手くいく。
謙譲の徳を大切にすれば、敵もその徳を尊び、自ずから降伏する。
謙遜の美徳はあるけれど、すべてにおいて当てはまるわけでは無い。
皆に相談する事は大切だが、そればかりでは
周りから「自分で決められ無いのか」と侮られることもあるだろう。
しかし心配は要らない。
謙遜の美徳を貫く人は、必ず周りの期待や信頼を得られる。
豫は侯を建て、師を行(もちゐ)るによろし。由りて豫しむ。大いに得ることあり。疑ふ勿れ。朋盍簪(あつま)る。
皆の中心に立つという事は、妬み嫉みを持たれやすい。
しかし、それに振り回されず、周りを疑わず、正しい志を貫く事が大事。
そうする事で友がその徳を慕って集まり、助けてくれるだろう。
雉を射て一矢失ふ。終ひに以て譽命あり。
はじめは機会を逃すが、最後には名誉を得る。
苦節󠄄は、貞なれば凶。悔ひ亡ぶ
嚴しい苦節󠄄が長く續いて終はりを迎へる。
それ以上に苦節󠄄に固執すれば誰もついて来ず凶。
君子豹変す。小人面を革む。征けば凶。貞に居れば吉
既に改革で成果が得られた。満足してこれ以上進んではならない。
これ以上、改革を進める事を
強く戒めている。