7/12(月) ䷺ 風水渙(ふうすいかん) 五爻

【運勢】
正しい生き方をしようと一人一人が努力する事で、足並みを揃える事が出来る。
この機会に難しい問題を集中して取り組むべきである。
問題を先送りにせず、率先して解決にあたる事で、周りから深い信頼を得られるだろう。


【原文】
《卦辭》
渙は、亨る。王有廟に假(いた)る。大川を涉るに利(よろ)し。貞に利(よろ)し。
彖に曰(いは)く、渙は亨(とほ)る。剛來(きた)りて窮(きはまら)ず。柔、位を外に得て上同す。「王有廟に假(いた)る」とは、王乃ち中に在るなり。「大川を涉るに利(よろ)し」とは、木に乘じて功有るなり。
象に曰(いは)く、風、水上を行くは渙。先王以て帝に亨して廟を立つ。
《爻辭》
我が生を観る。君子は咎なし。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辞》
渙とは散ること、問題が解決することである。
王が散らばっている民心をまとめて、混乱を収拾し、宗廟(そうびょう)に先祖を祭り、天下を統一したことを表す。
は木であり、水の上に木があるから、舟が水に浮いている様を表すので、大きな川を渡るによいというのである。
つまり大きな難題を解決できるのである。
その時、常に正しさを守るべきである。
《爻辞》
尊位に居て、正を履んでいる。𢁉の中に居て、汗を多く散らして、險阨を洗い流しているものである。渙の主になり、唯、王に居る。即ち、咎めなく、得ている。


〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
渙は四方の水が散じて往く所の義である。下卦の坎は季節では冬、方位では北にあたり、水は冰(こお)る。氷は陰の固まりである。
二・三・四爻目は震の卦で、春の真ん中(旧暦二月)であり、その時期には雷が鳴り氷が砕ける。
『詩経』には、妻を娶るなら氷の泮(と)けないうちに娶れとある。
妻を娶るのは陰を迎えることだからである。
よって氷の融けた後には妻を迎えない。
これは古からの礼である。氷が砕けて泮けるのは、渙の字と同じ義である。
普通、陽は正しい方に取り、陰は悪い方に取るが、渙は悪い物を融かし砕いて正しい所にする。
小人の悪い物が摧(くじ)けて無くなり、道徳の方が亨る所となる。
[彖伝]
剛は二爻目の陽爻である。
坎=水であり、能く流れて何処までも達する所があるので「不窮」という。
「柔」は四爻目の陰爻であり、これが巽の主爻である。
有廟を假にするとは、廟を大いに盛んにすることである。
天下の人は東西南北から集まり祭りを助ける。
[象伝]
風が水上を吹くのは、ちょうど二月である。氷が融けようとする時に風が吹き、氷は皆砕けて消えてしまう。
これは天下の難が解ける所の象である。
そこで先王は天を祭り、廟を立て、天下の諸侯皆集まって会するのである。
《爻辞》
データ無し

7/11(日) ䷑ 山風蠱(さんぷうこ) 変爻無し

【運勢】
腐は腐敗の意味をもつ卦である。
風通しがわるくなっている。このままでいてはいけない。
行うことは大切だが、意味のない作業では意味なくなってしまう。見直すことが大事。


【原文】
蠱は元いに亨る。大川を渉るに利し。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。
彖に曰はく、蠱は剛上りて柔は下る。巽にして止まるは蠱。蠱は元いに亨る。而して天下治まるなり。大川を渉るに利しとは、往きて事有るなり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日とは、終はる時は則ち始め有り。天の行なり。
象に曰はく、山の下に風有るは蠱。君子以て民を振し、德を育(やしな)ふ。


【解釋】
〔王弼の解釈〕
下の剛は制を断じ、上の柔は令を施すべし。旣に巽また止まり、競争しない。事有りて競争の煩いがない。だから為すことがある。為すことがあれば大いにうまく行く。天下を治める。蠱は事有りて、能力のあるものを待つ時である。物は喜び従う。德を進めて業を修めればうまく行く。甲とは創制の令である。古いものを以てしてはならない。甲に先立つこと三日、甲に後れること三日、治めさせて後、誅するのである。事によって令を述べる。終われば始まる。天の運行は四季のようである。
〔伊藤東涯の解釋〕
蠱は壊、腐敗のことである。この卦は變じて隨となる。隨の初爻が上って上爻となり、隨の上爻が下って初爻となる。だから、剛が上って柔が下るというのである。強者が弱者をしのぎ、衆寡敵せず、終に蠱壊を招く。内は巽順であり、よく物を止める。天に十日有り。甲に始まり癸で終わる。
甲は事の始めである。甲に先んじるとは辛壬癸であり、統治が極まり乱れる。前󠄃の事が終わろうとする。腐敗を致す道である。甲に後れるとは乙丙丁である。乱が極まり治まるころである。腐敗を治める道である。治乱盛衰何度も反復するものであり、日が昇り暮れ、月󠄃が満ち欠け、寒暑が往来するようなものである。上下がうまく意思疎通しないと腐敗するので、巽順の道がこれを防がねばならない。そうすればうまく行くのである。

7/10(土) ䷻ 水澤節󠄄(すいたくせつ) 変爻無し

【運勢】
節は節度や節約の意味がある。
物事には節度が必要である。無理な事に固執してはならない。
節度とは、楽しいこと、大変なことどちらにも必要だといっているのは、まさしくバランスが必要だと言うことだ。


【原文】
《卦辭》
節󠄄は亨(とほ)る。苦節貞(てい)すべからず。
彖(たん)に曰はく、節󠄄は亨(とほ)る。剛柔(ごうじゅう)分かれて、剛中を得る。「苦節は貞すべからず」とは、その道窮(きは)まるなり。よろこびて以て險(けん)を行き、位にあたりて以て節󠄄(せつ)す。中正にして以て通ず。天地節󠄄して四時成り、節󠄄して以て度を制すれば財を傷(そこな)はず、民を害せず。
象に曰はく、澤上に水あるは節󠄄。君子以て數度(すうど)を制し、德行を議(ぎ)す。


【解釋】
《卦辞》
〔王弼の解釋〕
坎は陽で兌は陰である。陽が上で陰が下である。
剛柔が分かれている。剛柔が分かれて乱れない。剛が中を得て制となる。主節󠄄の義である。節󠄄で最大は剛柔が分かれている時である。節󠄄で苦を過ぎれば堪えられない。それでは正に復せない。喜んで險を冒さず、中を過ぎて節󠄄となれば道󠄃が窮まる。
〔伊藤東涯の解釋〕
節󠄄は分かれて度がある。竹の節のことである。陰陽が均等である。二爻と五爻が剛中である。節󠄄があれば通り、及ばないという弊害がない。上爻は陰柔で正を得て窮まれば、節󠄄を過ぎて窮まる。君子の道は中に適うを貴しとする。人は剛で折れず、柔で撓まなければよろしい。又偏ることがない。うまく行く。及ばないことを恐れるのでなく、行き過ぎることに注意すべきである。

7/9(金) ䷧ 雷水解(らいすいかい) 変爻無し

【運勢】
解は、解決や解けるという意味がある。
状態としては、いままでの難題が解けるときである。
迅速に動くことで困難を解決できる時であり、今がチャンスである。


【原文】
《卦辭》
解は西南によろし。往くところなし。それ來たり復すれば吉。往くところあれば、夙(つと)にして吉。
彖(たん)に曰(い)はく、解は險(けん)以て動く。動いて險より免(まぬが)るるは解。「解は西南によろし」とは、往(い)きて衆を得るなり。「それ來たり復して吉」とは、乃(すなは)ち中を得るなり。「往くところ有れば夙にして吉」とは、往きて功あるなり。天地解(ひら)けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百果艸木(ひゃくかそうもく)皆甲拆(こうたく)す。解の時大なるかな。
象に曰はく、雷雨作るは解。君子以て過ちを赦(ゆる)し、罪を宥(ゆる)す。


【解釋】
《卦辞》
〔王弼の解釋〕
西南は衆である。難を解決し、危険を整える。利を衆に施す。また東北に困まらない。故に東北に利がないとは言わないのである。まだ、困難を解決するによくない。安に処する迷う。解とは困難を解決し、厄を除くことである。中を失わない。
難があっても行けば、迅速であれば吉。難が無ければよく中に復す。難があれば厄を除く。
〔東涯の解釈〕
解は解散の意󠄃である。危険に居てよく動けば、険難を回避できる。卦は変じて蹇となる。二爻が蹇の外卦に行き、五爻が西南坤の方に行く。坤には地の象がある。險の中でよく動ける才でよく進み、よく止まる。どこでも通用する。君子は陰陽を和し、過失であれば赦して問わず、罪悪があれば、寛大にこれを宥す。仁政の至りである。解の道である。

7/8(木) ䷇ 水地比(すいちひ) 初爻

【運勢】
社会の一員として、周りに対して親しみを持ち、助け合いの精神を持つ事が大切である。己の熱意、或いは賢さを内に秘め、何事にも従順な者を志すと良い。誠実に努力を惜しまなければ、思いがけない幸運を引き寄せるだろう。


【原文】
比は吉なり。原筮(げんぜい)。元永貞(げんえいてい)にして咎(とが)めなし。寧(やす)からざる方(まさ)に來たる。後るる夫は凶。
彖(たん)に曰はく、比は吉なり。比は輔(ほ)なり。下順從するなり。原筮、元永貞にして咎めなしとは、剛中(ごうちう)を以てなり。寧(やす)からざる方(まさ)に來たるとは、上下應ずるなり。
象に曰はく、地の上に水あるは比。先王(せんわう)以て萬國を建て、諸侯を親しむ。

[初爻]

孚有りて之れに比す。咎なし。孚有りて缶に盈つれば、終に来たりて他の吉あり


【伊藤東涯の解釋】
比は親しむ、たすけるの意󠄃である。五爻の王だけが陽であり、他はすべて陰爻で王にしたがっている。筮に基づいて大変長く正しさを守っている人を選べば問題ない。五爻に親しむ機会を失ったものはよくない。人と親しもうとすべきである。


【根本通明の解釋】
比は親密なる所である。比は密であり、密は物と物とが密着して間に隙間の無いことである。上卦は水、下卦は地である。水は地の中に浸み込んでくるから、水と土は離れることが無く、密着した状態である。五爻目は陽爻で天子にあたる。天子は人民と密着しており離れることが無い。ちょうど水と土の関係のようである。これは吉である。「筮」は神に吉凶を問い訊ねることで、「原」は再びという意で三度問うことである。つまり天子は神に吉凶を訪ねるのと同じように、諸々の人民へ何事も懇ろに問い訊ねて事を謀るのである。「元永貞」とは元徳を持つ人が、永く怠らず、貞しい所を守っていることである。これは堯舜(古代中国で徳をもって天下を治めた聖天子である堯(ぎょう)と舜(しゅん)。転じて、賢明なる天子の称のようなものである。「後夫凶」は、四方の国が名君に服しているのに、後に残って服せずに居る男が禍を受けることである。


[彖伝]
比は吉である。また互いに相輔けることである。「下順従」の「下」は下卦の坤=人民のことである。そして「順従」は坤の卦の象であり、人民が皆九五の天子のもとに集まってくることである。「不寧方来」は上から下まで残らず天子に応じて服して来ることをいう。「後夫凶」は名君に服さない者が、自ずから往くべき所がなくなり、その道に窮することをいう。


[象伝]
地の上に水があるのが比である。地に悉く浸み込んで来る水は、名君の徳性が深く人民の方へ浸み込んでいく例えである。君と民は親密な関係であり、離れようもない。こうした君民一体の関係に、皇統一系の象が含まれているのである。

【爻辞解釈

データ無し

7/7 (水) ䷖ 山地剥(さんちはく) 変更無し

【運勢】
脅威が刻々と差し迫る卦である。
熱海の土砂災害が起きた日は、剝の初爻であった。梅雨が未だ開けていない、強い雨が降る可能性は大いにあり、どこでも同じようなことが起こり得る。
慎重に注意して行動することが大事である。


【原文】
剝は往く攸有るに利しからず。
彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。
往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。
象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。


【解釋】
〔王弼、伊藤東涯の解釋〕
剝は割くの意󠄃である。
下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。
これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。
このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。