12/2(木) ䷏ 雷地豫(らいちよ) 変爻無し

12/2(木) 雷地豫(らいちよ) 変爻無し


【運勢】
志を同じくする仲間が協力してくれるので、物事は順調に進むだろう。
気を緩め過ぎると、正しい判断が出来なくなるので危険である。
順調に進んでいる時ほど、焦らず状況を整理し正確な選択をする、慎重さが求められる。


【結果】

雷地豫(らいちよ) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
豫は侯を建て師を行るによろし。
彖に曰はく、豫は剛應ぜられて、志行はる。順以て動くは豫。豫は順にして以て動く。故に天地も之の如し。而るを況んや侯を建て師を行るをや。天地順を以て動く。故に日月過(あやま)らずして、四時忒(たが)はず。聖人順を以て動く。則ち刑罰清くして民服す。豫の時義大なるかな。
象に曰はく、雷地を出でて、奮ふは豫。先王以て樂を作り、德を崇(たうと)び、之を上帝に殷薦して、以て祖󠄃考を配す。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
豫はあらかじめすることや、楽しいことを意味する。
四爻のみが陽爻で、その周りを陰爻が囲んで仲良くしている。
上卦は諸侯を表し、下卦は村を表すので、兵を率いる時である。
統率するには、下の者が楽しみ喜んで馳せ参じる状況でなければならない。
そして、順調に行動すれば、罰を与えることも少なくて、民はよく治まるのである。


〔根本通明の解釋〕
豫は象の中の最も大きなものをいう。
豫は舒(ゆる)やかという意味の舒、叙、序と同じで、物を急がず順序を踐(ふ)んで往く。
そこで必ず成功することから、悦び楽しむという義がある。
一方で、豫(あらかじ)めという義があるのは、十年も後の事を考えて今日から行動して往き、早計であることによる。
上卦の雷が下卦の地の上に出た象で、萬物が盛んになっていく。
天下が治まり安楽になるには、侯を建てるのが良い。
[彖傳]
四爻目は剛で震の主爻であり、天子である。
また長子でもあり、大臣にもなる。
この四爻目の剛に天下悉く応じる。
震は行くの義で、豫は順を以て動くの義であるから、天道天理に順って動いて行き、必ず悦びを得る所となる。
日月の運行、春夏秋冬の巡りに間違う所は無い。
三・四・五爻目の坎は法律の義がある。
法は備わっているが、用いずに民は服す所となる。
国家安楽であり、学問道徳を正しくする所があるから、義は大いなるかな、と言う。
[象傳]
豫は萬物皆悦ぶという義である。
この象を用いて作ったのは音楽である。
歌は最も古く、道徳功労を詩にして、詩を謡って天に誥(つ)げる。
そうしてその人の徳は愈々高く尊くなるのである。
殷薦というのは、有るだけの音楽を悉く奏することである。
黄帝、堯、舜、夏、殷、周を六代の楽という。
上帝を本にして祖考を合わせて祭り、音楽を殷(さか)んに奏す。

12/1(水) ䷎ 地山謙(ちさんけん) 五爻

12/1(水) 地山謙(ちさんけん) 五爻


【運勢】
何事も謙虚堅実な姿勢で望み、相手の気持ちに寄り添う事が大切である。
始めてみるまで結果は分からない、思い悩まず流れに身を任せると良い。
謙譲の美徳を蔑ろにする者は集団の不和を生むので、厳しく対処すべきである。


【結果】
䷎◎
地山謙(ちさんけん) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
謙は亨(とほ)る。君子は終はり有り。彖に曰はく、謙はとほる。天道下濟して光明。地道卑(ひく)くして上行す。天道は盈(えい)を虧(か)きて、謙に益す。地道󠄃は盈を變じて謙に流る。鬼神は盈を害して謙に福す。人道は盈を惡(にく)みて謙を好む。謙は尊くして光り、卑(ひく)くして踰ゆべからず。君子の終はりなり。


《爻辭》
六五。富まずその鄰を以てす。侵伐に用ゐるによろし。よろしからざることなし。
象に曰はく、「侵伐に用ゐるよろし」とは、服せざるを征するなり。


【解釋】
〔王弼、通解の解釋〕
《卦辭》
謙は謙譲や謙遜の意󠄃味である。
平面な地卦の下に高いはずの山卦がある様が謙遜を表す。
謙譲の徳を持っている者は、どんなところでも歓迎されるし、尊敬される。
しかし、謙譲の美徳は昇進するにつれて失いがちである。
謙譲の美徳を持ち続けて、人の上に立つことは難しい。
君子とは最後まで謙譲の美徳を全うすることができる人のことである。
これを有終の美という。
謙譲の美徳を有する者が上にいると、下の者を大切にするので、下の者は自分の実力を活かすことができる。
また、謙譲の美徳を有する者が下にいると、周りの人がその徳を慕って昇進を求める。


《爻辭》
五爻は王位であるが、富を持たないので、人を使役できず、仲間である二爻から上爻までの陰爻と共に行動するしかないとする。
遠方の服従しないものを討つのに好機である。
なぜなら、味方はその謙譲の美徳に従ってくれ、敵は服するからである。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
謙は「へりくだる」と言われるが、本当は「小さい」という意味である。
我が身が小さくなって人の下に降って居る。
古くは言偏の無い「兼」の字であった。
小さいために一つで足らず合わせるという義である。
他に口偏を附けた「嗛」の字もあり、子夏伝はそう書いている。
口の中に入るだけの小さな物を含んでおり、嗛嗛之食という言葉は僅かの食物のことである。
小さいというのが本来の義である。
卦の象では地の下に山があり、人民の下に我が身を引き下げて小さくなって居る。
二・三・四爻目に坎がある。
水には功労があるが、低い所に居るので、謙遜の義がある。
これなら何処へ行っても尊ばれ亨ることになる。
しかし真実の謙虚さでなく、人望を得るために拵えて行うのは長く亨らない。
[彖傳]
天道下済とあるのは、上に在る天の陽気が降って来て地の徳を成すことである。
元は乾の一番上にあった陽爻が下に降って九三となったのである。
光明は三爻目に降りて来た陽爻である。
また元は三爻目にあった陰爻が一番上に上がったから上行という。
元の乾の卦が陽爻ばかりで剛に過ぎるので盈(えい)に虧(か)く。
上に居るべき人が小さく為って、人の下に降るのが謙である。
我が身を下しても人が侮って其の上を踰(こ)えて往くことは出来ない。
卑い所に居れば居るほど人が尊んでくる。
そうして君子は終を遂げる所となる。
[象傳]
上卦が地で下卦が山である。
地の広い方から見れば山が小さい。
天地の道理は何でも盈ちる所があり、それを虧かなければいけない。
そこで多い方から取って、少ない方へ益す。
政でも米を多い所から寡(すく)ない所に益すようにする。
政は物の多少を量り、平らかにしなければいけない。


《爻辭》
富まずというのは、天子が己を空虚にして邪の無いことである。
其の鄰を以ゆというのは、九三の賢人をはじめ周囲の人を能く用いることである。
侵伐は容易に出来るものでなく、謙遜の徳に天下皆服しているから勝利を得られる。
しかし是は外国を討つことが本義ではない。
[象傳]
若し国内に服することがなく、乱を起こす様な者があれば之を討つのが良い。