6/12(日) ䷰ 澤火革(たくかかく) 四爻

6/12(日) 澤火革(たくかかく) 四爻


【運勢】
物事を根本から改めるのに良い時。
悪い習慣を取り除き、良い習慣を積極的に取り入れる事が大切である。
周りからの意見を蔑ろにしてはいけない。
広い心で受け止め、糧にすると良い。
迷わず正しさを貫く事が大切である。


【結果】
䷰◎
澤火革(たくかかく) 四爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 老陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[四爻]


【原文】
《卦辭》
革は已る日乃ち孚あり。元いに亨る。貞に利し。悔い亡ぶ。
彖に曰く、革は水火相ひ息し。二女同居して、其の志相得ざるを革と曰ふ。已る日にして乃ち孚あり。革めて之れを信にす。文明にして以て說󠄁(よろこ)ぶ。大いに亨るに正を以てす。革(あらた)めて當る。其の悔い乃ち亡ぶ。天地革りて四時成る。湯武革命。天に順ひて人に應ず。革の時大なるかな。
象に曰く、澤中に火有るは革。君子以て歷を治めて時を明󠄃にす。


《爻辭》
九四。悔い亡ぶ。改命を孚(まこと)とすること有り。吉。
象に曰く、改命の吉は、志を信ずるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
民は常識を学ぶことを共にすることが可能であるが、変動に共に適応していくことは難しい。共に成功を喜ぶことは出来るが、共に事業を始めることを考えるのは難しい。だから革の道は、即日は誠なく、日が終わる時には誠がある。誠があって元亨利貞で悔いが滅ぶのである。日が終わるころに誠が無ければ革に当たらない。後悔が生じるのである。変動を生じるものである。革めて其の悔いに当たれば、悔いを無くせる。不合に變が生じ、変が生じるところに不合が生じる。だから不合は革である。息とは變を生じることである。火は上に昇ろうとし、澤は下に降りようとする。水と火が戦い、その後に變が生じる。二女が同居している。水と火が近くにあって互いに適合しない。革めるところとなり信があれば、文明の喜びである。正しいことを履み行う。そして改める。天に應じ民に遵う。大成功する正しいものである。革めて大成功する。必ず正しさを失ってはいけない。


《爻辭》
初爻は下卦の最下位に居て四爻は上卦の最下位に居る。だからよく變ずることができる。応じるものなく悔い亡ぶ。水と火の際に居て、変動を体験するはじめである。後悔はなく、下を疑わない。志を信じて命を改める。大願を失わないので吉である。正直であれば信じられる。信じられるので命を改められるのである。さうすれば安んじて間違いはない。上卦の初めに居てはじめて命を宣言できる。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
革は変革である。已日は事を終える日のことである。澤は水である。火と水が互いに消しあっている。中女が下に居て、少女が上に居る。同居して志を一緒にしない。変革の兆候である。内は明るく外は喜びである。智があってよく和す。其れで革のはじめに居て、疑いを免れないが、最後まで達成できる。よく互いを信じることが出來、妨害や滞りがない。その正しさを失わない。革めて当を得ている。悔いは亡くなろう。非常の初めに在り、革の初めである。人々は旧習に安んじ、疑いや讒謗が生じる。非常の事をして、人心を察せず、軽挙妄動してはいけない。初めは疑われるが最後には信を得て悔いはなくなる。


《爻辭》
四爻は革にあり、不中不正である。君主の傍に居て下に味方がいない。悔いがあろう。しかし陽で改革の際に居る。その弊害を救うことができる。下も改まった命に従う。その後に吉となる。悪弊を改める才があり、悪弊を改める時に居て、二爻はまだ弱く、改まった暁には四爻は位を得る。誠の心を大切にすべきである。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
己は十干の土の弟で、五行の半ばを過ぎた所である。其所で、最早革命を行わなければならない勢いになって居る。また己は五行に於いて、仁義礼智信の信に当たる。即ち己日は、天下の人の信用が出て来た所でもある。其所で後悔も亡びる。
[彖傳]
革は水と火の卦で、互いに相害する所である。此の卦は丁度、水火既済の相和する所と反対である。同じ家に女が二人一所に居る。兌は何処迄も下へ下がり、離は何処迄も上に上る。其所で互いに衝突する。革命は殷の湯武に始まる。之は止むを得ずして行ったものであるが、併し逆賊と云うのが正しい所である。天下一同の求める所に従うのが、人に応じる所である。併し革命に当たっては、真に大いなる目的を以て行うべきである。
[象傳]
沢の中に火が有り、火気の動く所に依って色々なものが変わって来る。火の字には、物の変化する所の義がある。君子は暦を第一に治め、春夏秋冬の時を間違わない様にしなければいけない。
《爻辭》

6/11(土) ䷲ 震爲雷(しんゐらい) 五爻

6/11(土) 震爲雷(しんゐらい) 五爻


【運勢】
勢いだけではどうにもならない時。
一難去ってまた一難、最後まで気を抜かずに進める事が大切である。
冷静に状況を分析して、問題点を見つけると良い。
望んだ成果が得られなくても、最後まで継続する事に意味がある。


【結果】
䷲◎
震爲雷(しんゐらい) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
震は亨(とほ)る。震の來たるとき虩虩(げきげき)たり。笑言啞啞(ああ)たり。震百里を驚かす。匕鬯(ひちょう)を喪はず。
彖に曰く、「震は亨(とほ)る。震の來たるとき虩虩(げきげき)たり」とは、恐れて福を致すなり。「笑言(しょうげん)啞啞(ああ)たり。」とは、後に則あるなり。「震百里を驚かす」とは、遠きを驚かして邇(ちかき)を懼(おそ)れしむるなり。出でて以て宗廟社稷を守りて、以て祭主と爲すべきなり。
象に曰く、しきりに雷するは震。君子以て恐懼(きょうく)脩省(しゅうせい)す。


《爻辭》
六五。震して往來す。厲し、億りて事有るを喪ふことなかれ。
象に曰く、震して往來す、厲しとは、行ひを危ぶむなり。其の事中に在り、喪ふことなきを大なりとす。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
震は雷鳴を表す。上下両方とも震であり、雷鳴が轟くときは傲慢になった人々も恐れ、敬意を取り戻す。人々が恐れ敬いの心を取り戻せば、規則が守られ、幸福になる。雷鳴は遠方まで轟きわたり、人々を驚かせるが、そんな中でも先祖を祭り、神々を祭る人は重い責任にたえられる人である。


《爻辭》
往けば則ち應なく、來れば則ち剛に乘る。恐れて往來し、危ふきを免れず。それ震の時に處りて、尊位を得れば、それすなはち事有るの機なり。而して懼れて往來し、將に其の事を喪はんとす。故に億、事有るを喪ふことなれと曰ふなり。
大いなれば則ち喪ふなし。往來すれば則ち危きなり。

〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
前の卦は火風鼎である。鼎(かなえ)は天子の宝器のことで、日本では三種の神器にあたる。皇統一系は天道であって万世不易のものであるから、革命が起こっても必ず皇統一系に引き戻さなければならない。そのため火風鼎が示すように、皇后に子が無ければ、妾の子であっても皇位を嗣がせなければならない。こういう理由で鼎の卦の次に、震の卦を置いたのである。『序卦伝』にも「器を主(つかさ)どる者は長子にしくはなし。故にこれを受くるに震(しん)をもってす」とある。この震は皇太子の象である。皇太子はどのような困難に遭っても、何所までも忍耐して必ず位を嗣がなければならない。震は剛(つよ)いから亨る。また震は雷であり、この卦は雷を以て説く。卦全体の主になるのは初爻目である。虩虩(げきげき)とは恐懼する姿である。激しい雷には聖人といえども恐れ慎む。『論語』にも「迅雷風烈は必ず変ず」と出ている。大いなる災難が来るが、恐れ慎めば後には必ず福を得ることになる。天が天下を委任するに相応しい人だと思えば、禍(わざわい)を降して其の人の心身を苦しめる。艱難辛苦を経ることで忍耐力が養われて、後に大事を為せるのである。「笑言唖唖」とは、はじめ難に遭って苦しむが、後には安楽となり喜び笑う所となることである。「匕鬯(ひちょう)」は、宗廟の祭祀のときに天子自ら使う道具である。匕(ひ)は鼎の中の肉を掬(すく)い取る匙(さじ)である。鬯(ちょう)は鬱金草(うこんそう)という香草を入れて醸した酒のことである。この酒を地に撒くと香気が立ち上り、これによって神を降ろすのである。このように匕と鬯は、祭祀に於いて最も重要であることから、この卦で取り上げられるのである。身を砕くほどの雷が鳴っても、匕鬯を行える忍耐力が無ければいけない。
[彖傳]
「震亨、震来虩虩」と云うのは、災難に見舞われるも、恐れ慎んで徳を修めることで、遂に天の福を招く所となる。「笑言唖唖、後有則也」には、「後」という字が加えてあり、難と福の順序を失わないようになっている。雷により胆力を養い徳を修めた所で、皇太子が御殿から出て天子の位を継ぎ、宗廟社稷を守って祭る所の主人となることが出来る。乾為天四爻目の「或いは躍る」がこれにあたる。つまり天子が健在でも時によって皇太子が出て、宗廟社稷の祭祀を代わりに行えるだけの準備が出来ていることを意味する。
[象傳]
この卦は震が二つある。二度も三度も打ち重なって雷鳴が響く。君子は難に遭うことで、恐れ慎んで徳を修めて、我が身を省みる所が出てくるのである。
《爻辭》

6/10(金) ䷰ 澤火革(たくかかく) 五爻

6/10(金) 澤火革(たくかかく) 五爻


【運勢】
取り巻く環境が変化する時。
迷わず正しさを貫く事が大切である。
相手を頭ごなしに否定してはいけない。
何事も広い心で受け止めて、自らの糧にすると良い。
先を見通す力を養い、不足の事態に備える事が大切である。


【結果】
䷰◎
澤火革(たくかかく) 五爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陽][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[五爻]


【原文】
《卦辭》
革は已る日乃ち孚あり。元いに亨る。貞に利し。悔い亡ぶ。
彖に曰く、革は水火相ひ息し。二女同居して、其の志相得ざるを革と曰ふ。已る日にして乃ち孚あり。革めて之れを信にす。文明にして以て說󠄁(よろこ)ぶ。大いに亨るに正を以てす。革(あらた)めて當る。其の悔い乃ち亡ぶ。天地革りて四時成る。湯武革命。天に順ひて人に應ず。革の時大なるかな。
象に曰く、澤中に火有るは革。君子以て歷を治めて時を明󠄃にす。


《爻辭》
九五。大人は虎變ず。未だ占はずして孚有り。
象に曰く、大人は虎變ずとは、其の文炳なるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
民は常識を学ぶことを共にすることが可能であるが、変動に共に適応していくことは難しい。共に成功を喜ぶことは出来るが、共に事業を始めることを考えるのは難しい。だから革の道は、即日は誠なく、日が終わる時には誠がある。誠があって元亨利貞で悔いが滅ぶのである。日が終わるころに誠が無ければ革に当たらない。後悔が生じるのである。変動を生じるものである。革めて其の悔いに当たれば、悔いを無くせる。不合に變が生じ、変が生じるところに不合が生じる。だから不合は革である。息とは變を生じることである。火は上に昇ろうとし、澤は下に降りようとする。水と火が戦い、その後に變が生じる。二女が同居している。水と火が近くにあって互いに適合しない。革めるところとなり信があれば、文明の喜びである。正しいことを履み行う。そして改める。天に應じ民に遵う。大成功する正しいものである。革めて大成功する。必ず正しさを失ってはいけない。


《爻辭》
未だ占はずして孚あり。時心を合するなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
革は変革である。已日は事を終える日のことである。澤は水である。火と水が互いに消しあっている。中女が下に居て、少女が上に居る。同居して志を一緒にしない。変革の兆候である。内は明るく外は喜びである。智があってよく和す。其れで革のはじめに居て、疑いを免れないが、最後まで達成できる。よく互いを信じることが出來、妨害や滞りがない。その正しさを失わない。革めて当を得ている。悔いは亡くなろう。非常の初めに在り、革の初めである。人々は旧習に安んじ、疑いや讒謗が生じる。非常の事をして、人心を察せず、軽挙妄動してはいけない。初めは疑われるが最後には信を得て悔いはなくなる。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
己は十干の土の弟で、五行の半ばを過ぎた所である。其所で、最早革命を行わなければならない勢いになって居る。また己は五行に於いて、仁義礼智信の信に当たる。即ち己日は、天下の人の信用が出て来た所でもある。其所で後悔も亡びる。
[彖傳]
革は水と火の卦で、互いに相害する所である。此の卦は丁度、水火既済の相和する所と反対である。同じ家に女が二人一所に居る。兌は何処迄も下へ下がり、離は何処迄も上に上る。其所で互いに衝突する。革命は殷の湯武に始まる。之は止むを得ずして行ったものであるが、併し逆賊と云うのが正しい所である。天下一同の求める所に従うのが、人に応じる所である。併し革命に当たっては、真に大いなる目的を以て行うべきである。
[象傳]
沢の中に火が有り、火気の動く所に依って色々なものが変わって来る。火の字には、物の変化する所の義がある。君子は暦を第一に治め、春夏秋冬の時を間違わない様にしなければいけない。
《爻辭》

6/9(木) ䷄ 水天需(すいてんじゆ) 上爻二爻

6/9(木) 水天需(すいてんじゆ) 上爻二爻


【運勢】
着飾ろうとせず、寡黙に努力するのが良い時。
今は冷静に時期を待ち、危険や困難に遭わぬよう注意すると良い。
意志の弱い人間は、待つことができず妄動してしまい不幸を招いてしまう。
心を強く持つ事が大切である。


【結果】
䷄◎上⚪︎二
水天需(すいてんじゆ) 上爻二爻
《卦辭》
[上爻 老陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 老陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻 優先][二爻]


【原文】
《卦辭》
需孚有り。光に亨る。貞にして吉。大川を渉るに利し。
彖に曰く、需は須なり。險前󠄃に在るなり。剛健にして陥らず。其の義、困窮せず。需は孚有り。光に亨る。貞吉とは、天位に位して以て中正なるなり。大川を渉るに利しとは、往きて功有るなり。
象に曰く、雲、天に上るは需。君子以て飲食宴樂す。


《爻辭》
[上爻 優先]
上六。穴に入る。速がざる客三人来る有り。之を敬すれば終に吉。
象に曰く、速がざる客三人来る有り。之を敬すれば終に吉とは、位に当たらざると雖も、未だ大いに失はざるなり。
[二爻]
九二。沙に需つ。小し言有り。終に吉。
象に曰く、沙に需つとは、衍にして中に在るなり。小し言有りと雖も、吉を以て終ふるなり。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
天位に居るとは五爻のことである。中正。そして物を待つ。之が需道である。乾德で進めば亨る。童蒙は旣に德を持つ。


《爻辭》
[上爻 優先]
四爻は穴から出てきたものである。三爻と仲が悪く道を塞ぐ。上爻まで来て道を塞ぐものが無くなる。三爻と応じている。難󠄄も終わりになる。無位に地位に陰で居て三陽の主󠄃となる。
[二爻]
轉じて難に近し。故に沙に需つと曰ふ。寇を致すに至らず、故に小し言有りと曰ふ。近くして難に逼らず、遠くして時に後れず。中に健を履みて居り、以て其の會を待つ。小しく言有りと雖も、吉を以て終はるなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
需は待つべきであるという卦である。下卦の陽は進もうとする。然し前には険難がある。我慢して待てば険難に陥らない。五爻が主爻である。五爻は剛中の才がある。能く待ってから進むことが出來る。心が弱い人は待つことができないで冒険して失敗し困窮する。忍耐は大切である。


《爻辭》
[上爻 優先]
険難の極みである。三人の客とは初爻から三爻までの陽である。三陽はよく待っている。慎みをもっていれば最後には吉を得られる。柔でありながらよく忍󠄄ぶ。人と交わり礼があれば、禍󠄃に遇わない。
[二爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
下卦の乾は三爻共に陽爻で賢人の象である。上卦の五爻目は陽爻を以て陽位にあり、明君である。しかしながら上卦の坎は水であり、天下が水に溺れる象がある。これは三四五爻目に離の卦があり、主爻となる六四の大臣が、火が物を害する様に天下の人民を苦しめている象である。其所で此の禍の元凶である大臣を、天下の賢人が撃ち拂わければならない。需と云うのは、須(ま)つと云う事である。上卦では力を盡したいと云う賢人を需(ま)ち、下卦では明君が賢人を求める所を需って居る。天子に孚が有り、賢人が国家の為に盡す時には、危険を冒してでも往く所に宜しき所がある。
[彖傳]
需は「須つ」と訓み、「待つ」とは違って、暫く控えると云う義である。険難を前に大事を行おうと思っても、速やかには行われない。天下の賢人は遠く慮る所があり、無理に川を渉って危険に陥らない。九五の天子は天位に居り、何処迄も正しく中庸である。其所で遂に孚の亨る所がある。
[象傳]
雲が天に上り十分に集まった所で雨が降る。即ち需つの象である。下に居る賢人は、時を需って居る間、飲食を以て身を養い、宴楽を以て心を養う。そして時が到れば雷の如くに進んで往くのである。


《爻辭》
[上爻 優先]
九三は坎の卦に近付いて居り、水が来て泥が深くなって居る。寇(あだ)に逼(せま)って見ると、相手から撃って来る勢いがある。
[象傳]
六四に接近しては居るが、九三迄は内卦である。我より寇を致す事にする。君子は終日乾々とし、油断せず慎んで居るから、決して敗れない。
[二爻]

6/8(水) ䷽ 雷山小過(らいさんしょうか)→䷌ 天火同人(てんかどうじん)

6/8(水) 雷山小過(らいさんしょうか)→ 天火同人(てんかどうじん)


【運勢】
小事を進めるのに良い時。
無理せず控えめに過ごすと良い。
初志貫徹の精神が大切である。地道に経験を積み、視野を広げると良い。
献身的な姿勢で人と関わる事が、好機に繋がるだろう。


【結果】

本卦:雷山小過(らいさんしょうか)
之卦:天火同人(てんかどうじん)
《卦辭》
[上爻 老陰][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[上爻][五爻][初爻]


【原文】
《本卦:
雷山小過》
小過は亨る。貞に利ろし。小事に可にして、大事に可ならず。飛鳥之れが音を遺す。上るに宜しからず、下るに宜し。大吉。
彖に曰く、小過は小なる者󠄃過ぎて亨るなり。過ぎて以て貞に利し。時とともに行ふなり。柔、中を得たり。是を以て小事に吉なり。剛、位を失ひて不中。是を以て大事に可ならざりなり。飛鳥の象有り。飛鳥之が音をのこす。上るに宜しからず、下るに宜し。大吉とは、上るは逆にして下るは順なるなり。
象に曰く、山上に雷有るは小過。君子以て行は恭に過ぎ、喪は哀に過󠄃ぐ。用は儉に過ぐ。


《之卦:
天火同人》
同人野に于てす。亨る。大川を渉るに利ろし。君子の貞に利ろし。
彖に曰く、同人は柔位を得、中を得る。而して乾に應ず。同人といふ。「同人野においてす。亨る。大川を涉るによろし。」とは、乾行くなり。文明にして以て健。中正にして應ず。君子の正なり。
象に曰く、天と火とは同人なり。君子は以て族を類し物を辨す。


【解釋】
《本卦:
雷山小過》
〔王弼の解釋〕
飛ぶ鳥がその声を残して、悲しみながら場所󠄃を求める。上には適当な場所がなく、降れば安住できる。上に行けば行くほど悪くなる。飛ぶ鳥と同じである。小過の小はおよそ小事全般を言う。小事を過ぎて、うまく行く。過ぎれば正しくしていればよい。時宜にかなうのである。恭しく儉約󠄃していればよい。大事をなすは必ず剛がいる。柔で大を犯すのは、剝の道である。上に昇ってはならず、降るのが良い。これは飛ぶ鳥の象である。


〔東涯の解釋〕
陽は大であり、陰は小である。四つの陰が外に在り、二陽が内に在る。陰が陽に勝っているので小過という。陽が陰に勝るのが道理であるが、陰が勝って問題ない時もある。二五は柔が中を得て、三四は剛であり、中でない。卦の形は鳥が翼を広げているようである。上に向って鳴くので、下には聞こえない。下は順調で容易であるが、上昇は逆行するので難しい。任務にも大小があり、位にも上下がある。人の才分もそれぞれ違う。柔は下位にあって小事を治めるのが良い。それが分からなかった人が多く失敗してきたのである。易は中に適うことを尊ぶ。


〔根本通明の解釋〕
小過の卦は全体でみると
の卦になっている。三爻と四爻が鳥の体であり、一二、五六が翼である。何の鳥かといえば鶏である。二三四爻にがある。これが鶏である。この卦は陰が過ぎる卦である。陽は君で陰は臣下である。君が鳥の体で、臣が鳥の翼である。陰が過ぎるとは臣下が調子に乗っていることである。だから小事は行われ、大事は行われない。鶏が高く飛べる道理はない。声だけ高く上がっても、体は高く上がらない筈である。この場合、鷹に咥えられたとするとよい。飛び去ってしまい悲しむ声だけが残るのである。上に行かれてはもうどうしようもないが、下にいるのなら人でも何とか救出できるかもしれない。
[彖傳]
祭祀に於いて祭式の起居進退は小事であり、道徳は大事である。しかし、小なることを徹底して、良くなることもある。この卦は陰が多すぎる。二爻も五爻も陰である。だから大事をするには不利である。君は常に民と共にあらねばならない。
[象傳]
大いなる山を、小なる雷が過ぎて行く。君子はこの卦をもとに行いを恭しくする。


《之卦:
天火同人》
〔王弼の解釋〕
「同人野においてす。亨る。大川を涉るによろし」は、二爻の能くする所ではないこれが乾の行う所である。故に特に同人に曰くという。健を行うに武を使わずに、文明を使って之を用いる。相応してに邪を応じずに、中正によって応じる。君子の正しき事である。故に「君子、貞に利し」という。君子は文明をもって徳にする。天、上にあって、火の炎上げている。同人の意味である。君子、小人、各々同じくする所を得る。


〔東涯の解釋〕
同人とは人が互いに心を同じくすること、共に同じ目標を有することである。天(日)と火は同じ火の性である。野は広い場所のことで、狭い集団での友情も大切であるが、より広い範囲で人と交流することが、大きなことを成し遂げる際には必要である。そのためには正直で、正しい心を大切にしなければならない。


〔根本通明の解釋〕
同人は、人と人が互いに相親しくして、吉凶ともに同じくする。野は都から遠く離れた田舎で、山や谷の間に居る者までも親しくするという義である。これは乾の象である。天下一軒の家の如くして居れば、互いに亨らない所は無い。九五の天子は六二の賢人を深く信用して、之を用いて往く。
[彖傳]
六二は陰爻を以て陰位に居り、位を得て居る。また下卦の真ん中にあるので、中を得て居る。これは賢人で、中正なる道徳があり、天道に応じて居る。乾は上卦であり、上は外であるから、内から外へ旋って往く。人は道徳を以て普く進んで行う所の義である。之は仁者であり、君子である。天下皆悉く応じて来る。
[象傳]
「天興火」の興は親しむと訓む。また火と天は元は同じ物である。人間も天の分子であるから、御互に親しまなければならない。族を類するとは、分家が自分達の先祖である宗家の祭りへ聚って来ることである。物を辨ずるというのは、聚って来た者は皆代数や衣服などが異なり、其々仕分けて往く所を云う。

6/7(火) ䷰ 澤火革(たくかかく) 変爻無し

6/7(火) 澤火革(たくかかく) 変爻無し


【運勢】
取り巻く環境が変化する時。
現状を見直すと良い。
迷わず正しさを貫く事が大切である。
人との縁を第一に考えると良い。
相手を頭ごなしに否定してはいけない。
何事も広い心で受け止めて、自らの糧にすると良い。


【結果】

澤火革(たくかかく) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
革は已る日乃ち孚あり。元いに亨る。貞に利し。悔い亡ぶ。
彖に曰く、革は水火相ひ息し。二女同居して、其の志相得ざるを革と曰ふ。已る日にして乃ち孚あり。革めて之れを信にす。文明にして以て說󠄁(よろこ)ぶ。大いに亨るに正を以てす。革(あらた)めて當る。其の悔い乃ち亡ぶ。天地革りて四時成る。湯武革命。天に順ひて人に應ず。革の時大なるかな。
象に曰く、澤中に火有るは革。君子以て歷を治めて時を明󠄃にす。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
民は常識を学ぶことを共にすることが可能であるが、変動に共に適応していくことは難しい。共に成功を喜ぶことは出来るが、共に事業を始めることを考えるのは難しい。だから革の道は、即日は誠なく、日が終わる時には誠がある。誠があって元亨利貞で悔いが滅ぶのである。日が終わるころに誠が無ければ革に当たらない。後悔が生じるのである。変動を生じるものである。革めて其の悔いに当たれば、悔いを無くせる。不合に變が生じ、変が生じるところに不合が生じる。だから不合は革である。息とは變を生じることである。火は上に昇ろうとし、澤は下に降りようとする。水と火が戦い、その後に變が生じる。二女が同居している。水と火が近くにあって互いに適合しない。革めるところとなり信があれば、文明の喜びである。正しいことを履み行う。そして改める。天に應じ民に遵う。大成功する正しいものである。革めて大成功する。必ず正しさを失ってはいけない。


〔東涯の解釋〕
革は変革である。已日は事を終える日のことである。澤は水である。火と水が互いに消しあっている。中女が下に居て、少女が上に居る。同居して志を一緒にしない。変革の兆候である。内は明るく外は喜びである。智があってよく和す。其れで革のはじめに居て、疑いを免れないが、最後まで達成できる。よく互いを信じることが出來、妨害や滞りがない。その正しさを失わない。革めて当を得ている。悔いは亡くなろう。非常の初めに在り、革の初めである。人々は旧習に安んじ、疑いや讒謗が生じる。非常の事をして、人心を察せず、軽挙妄動してはいけない。初めは疑われるが最後には信を得て悔いはなくなる。


〔根本通明の解釋〕
己は十干の土の弟で、五行の半ばを過ぎた所である。其所で、最早革命を行わなければならない勢いになって居る。また己は五行に於いて、仁義礼智信の信に当たる。即ち己日は、天下の人の信用が出て来た所でもある。其所で後悔も亡びる。
[彖傳]
革は水と火の卦で、互いに相害する所である。此の卦は丁度、水火既済の相和する所と反対である。同じ家に女が二人一所に居る。兌は何処迄も下へ下がり、離は何処迄も上に上る。其所で互いに衝突する。革命は殷の湯武に始まる。之は止むを得ずして行ったものであるが、併し逆賊と云うのが正しい所である。天下一同の求める所に従うのが、人に応じる所である。併し革命に当たっては、真に大いなる目的を以て行うべきである。
[象傳]
沢の中に火が有り、火気の動く所に依って色々なものが変わって来る。火の字には、物の変化する所の義がある。君子は暦を第一に治め、春夏秋冬の時を間違わない様にしなければいけない。

6/6(月) ䷴ 風山漸(ふうざんぜん) 上爻初爻

6/6(月) 風山漸(ふうざんぜん) 上爻初爻

【運勢】
細かく目標を立て、堅実に進めるのに良い時。
向上心を持ち成功者に倣うと良い。
地道に正しさを守り続ける事が大切である。
新たな試みには障害が付き物である。
周りから批判されても、自らを否定する必要はない。


【結果】
䷴◎上⚪︎初
風山漸(ふうざんぜん) 上爻初爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[上爻 優先][初爻]


【原文】
《卦辭》
漸は女歸いで吉。貞によろし。
彖に曰く、漸は進󠄃むなり。女歸いで吉なり。進みて位を得るは往きて功あるなり。進󠄃むに正を以てす。以て邦を正すべきなり。その位剛。中をえる。止りて巽。動いて窮まらず。
象に曰く、山上に木あるは漸。君子以て賢德にをりて風俗を善くす。


《爻辭》
[上爻 優先]
上九。鴻陸に漸む。その羽用ひて儀と爲すべし。吉。象に曰く、其の羽用ひて儀と爲すべし、吉とは、亂るべからざるなり。
[初爻]
初六。鴻干に漸む。小子厲うして言有れども、咎なし。
象に曰く、小子の厲は、義咎なきなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
漸は漸進の卦である。止まりて巽。だから適度に進む。巽に留まるから進󠄃む。だから女嫁いで吉なのである。進んで正しいものを用いる。進んで位を得るとは五爻を指す。この卦は進むことを主る。漸進して位を得る。
漸はようやく済むことや、順序良く進むことを言う。上卦は木德であり、下卦は山であるから山の上に木があり、順序正しい。また上卦は長女であり、下卦は小男であり、やはり順序が守られている。人生で最も重要な儀礼の一つが婚姻であり、順序正しく進めていくことが極めて重要である。秩序正しくあることが吉である。


《爻辭》
[上爻 優先]
進みて高潔に處り、位に累せず。以てその心を屈しその志を亂るべくの物なし。峨峨清遠にして、儀貴ぶべきなり。故に其の羽用ひて儀と爲すべし吉と曰ふ。
[初爻]
鴻は水鳥なり。適き進むの義、下なるに始まりて升る者なり。故に鴻を以て喩へと爲す。六爻皆以て進みて之を履み義と爲す。始めて進みて窮下に位し、また其の應ずるなし。干を履むが若きは、危くして以て安んずべからざるなり。始めて進みて未だ其の位を得ざれば、則ち小子に困しみ、謗言に窮まる。故に小子の厲は言有りと曰ふなり。小子の讒諛の言に困しめども、未だ君子の義を傷らず。故に咎なしと曰ふなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
漸は次順番通りに進むことである。巽は長女、進んで上に在る。進めることをゆつくりしなければならないのは、女が嫁ぐ時である。五爻が位を得て、剛が中にある。家を正し、功があるだろう。君子が仕えるときは、進󠄃むに礼を以てし、退󠄃くに義を以てする。五爻剛中の徳がある。
《爻辭》
[上爻 優先][初爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
漸は、小さな木が次第に成長して大木になるように、順序を立てて進んで往く意である。この卦は鴻雁(こうがん)の象を取っている。雁は水鳥で、陰鳥であるから、陽に能く従う。そのため婚礼の時には、雁を以て礼を行う。即ち、女が夫に従う義を取ったのである。また臣たるものは、必ず君に従う。国に生まれた者は、皆君に仕えなければならないと云う義も示している。
[彖傳]
女の嫁入りは、速やかにするものではない。六礼といって、六つの段に分かれており、順次進んで往って婚礼が成る。また天子は天下を治めるのに、先ず我が身を正しくする。正しい所を以て、国家を正しくすることが出来る。
[象傳]
山の上に木がある。君子はこの義を用いて、賢徳ある人物を高い所に据え、賢人の徳を以て社会風俗の悪い所を能く直して行く。
《爻辭》
[上爻 優先][初爻]

6/5(日) ䷍ 火天大有(かてんたいゆう)→䷭ 地風升(ちふうしょう)

6/5(日) 火天大有(かてんたいゆう)→ 地風升(ちふうしょう)


【運勢】
大事を行うのに良い時。
何事も積極的に臨むと良い。
順調な時こそ、冷静に土台を固める事が大切である。
先を見据えた選択をすると良い。
一貫した姿勢で取り組み、信頼を得る事が大切である。


【結果】

本卦:火天大有(かてんたいゆう)
之卦:地風升(ちふうしょう)
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陰][四爻 老陽]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[上爻][四爻][初爻]


【原文】
《本卦:
火天大有》
大有は元(おほ)いに亨る。
彖に曰く、大有は柔尊󠄄意位を得て、大中にして上下之に應ず。大有といふ。その徳剛健にして、文明。天に應じて、時に行く。是を以て元いに亨る。


《之卦:
地風升》
升は元(おほ)いに亨(とほ)る。大人を見るに用う。恤(うれ)ふることなかれ。南征して吉。
彖に曰く、柔は時を以て升(のぼ)る。巽にして順。剛中にして應ず。是を以て大いに亨(とほ)る。「大人を見るに用う。恤ふることなかれ」とは、慶あるなり。南征して吉とは、志行はるるなり。
象に曰く、地中に木を生ずる升。君子以て德に順(したが)ひ、小を積みて以て高大なり。


【解釋】
《本卦:
火天大有》
〔王弼の解釋〕
大いに通らない。どういう理由で大有を得られよう。大有ならば必ず大吉である。五爻は尊󠄄位に柔でいる。中に居るのは大である。陰が一つしかない。上下応じている。德が天に應ずれば、行くに時を失わない。剛健は滞らない。文明犯さず。天に応じれば大。時行きて違わない。だから大いに通る。大有は包容の象である。だから勧善懲悪が美しいのである。天德を順奉し。ものの命を休す。


〔東涯の解釋〕
大有はそのあるところが大。五爻は柔中尊󠄄位にいる。上下の五つの陽がこれに応じている。盛大である。大とは陽のことで陽が沢山ある。五爻が二爻と応じている。これは智勇兼備である。五爻に澤山の賢人が集まり、天命も之を助ける。勝道󠄃というべきである。


〔根本通明の解釋〕
この卦は、大なる物多しと云うのは、天下皆賢人と云う義である。賢人が多ければ、何事も亨らないことが無い。「有」の字は富むという義、また多いという義にもなる。『詩経』の魚麗篇に「旨且有(うまくして、かつ、おおし)」とあり、多いという義である。「大有」は、「大いにある」と読んでは駄目で、「大なる物が多い」という義である。大なる物は五爻目以外の陽爻で、大人・君子・賢人のことである。しかしその様な人才は容易に得難く、盛んなる世であった堯舜の時で臣五人、周の国で十人しかなかった。
[彖傳]
賢人が多く朝廷に出で来、君は能く賢人の言を用いる。上に居る賢人も、下に居る賢人も、皆君に応じて来る。大中は、上卦が元は乾だったのが、真ん中に陰爻が出来たことを云う。この卦を一人の天子の徳で言えば、剛健であり、時に従って能く行う。
[象傳]
火気が地の底から十分に上に昇って居り、万物が盛んになる所である。下卦は乾の卦であるから十分に充ちている。天下は至って富んでおり、人民は生活に不足が無い。しかし三、四、五爻目には、兌の卦があり、楽しみに流れる傾向がある。其処で、盛んな時には悪い者を遏(とど)め、善を掲げる。何時の世でも、名君の時でも、悪人を無くすのは難しい。この卦では、九四が悪人である。この大臣は、君に諂う所を以て立身した人で、表面上は君子のようで君子では無い。


《之卦:
地風升》
〔王弼の解釋〕
巽順で以て上るべし。陽爻が尊󠄄位に当たらない。厳しい剛の正しさがないので憂えを免れない。大人にあうのに用いる。憂うるなかれ。柔で南に行けば、大きな明󠄃につく。柔は時により上ることを得られる。純柔であれば自分で上ることが出来ない。剛が思いあがれば人は従わない。旣に時であり上った。また巽順である。剛中で応じている。だから大いにとおるのである。巽順で上った。大きな明に至る。志が通ったことを言う。


〔東涯の解釋〕
升は変じて萃と通う。萃の内卦の三爻の陰が昇って外卦に行った。だから升という。内が巽で外が順。柔巽で人の心に從う。二爻は剛中で五爻と応じている。これは賢人が君を得た象である。その得失を憂うるなかれ。西南は坤
であり、上卦にある。だから前進して南に遠征する。進み上って吉である。君臣が遇うことは古來難󠄄しい。巽順の德を身につけ、柔中の君(五爻)に遇󠄄う。剛中の逸材(二爻)を重用して、賢人を好む時、進んで為すことがある。地中に木が生ずる象であるから、地道は木に敏感である。時に昇進する。もしその養いを得れば、長く続かないものはない。君子はこれを体してその徳に從う。次々に重ねて高明󠄃廣大となる。漸次進む。


〔根本通明の解釋〕
升は升(のぼ)って進むという義がある。昇と同じである。三・四・五爻の震の卦は陽木、下卦の巽は陰木である。地に陽木と陰木の芽が出ている。それが天を貫くまでに段々進んで往くのが升である。元亨の元は震で、亨は兌である。また震は仁で、兌は義であるから、この卦には仁義の象がある。震は長子で、仁義の徳が段々と上って行けば、天子の位に即(つ)く所があり、心配には及ばない。南に征くとは、南面の位に即くことをいう。
[彖傳]
太子は升るべき時を以て天子の位に升る。皇太子が二爻目になると陽爻であるから剛である。内卦の皇太子が剛で中庸の徳を備えているから、外卦の坤=天下皆その徳に応じて服する。心配には及ばない。必ず天子の位を相続して大いなる慶びが出てくる。
[象傳]
地の中に巽と震の卦がある。木が次第に上の方に進んで伸びて往く。君子はこの卦の象を用いて徳を順にする。巽は『説卦伝』に「高し」とある。

6/4(土) ䷷ 火山旅(かざんりょ) 二爻初爻

6/4(土) 火山旅(かざんりょ) 二爻初爻


【運勢】
意志の弱い者は大成しない。
苦難の中にあっても、努力を続ける事が大切である。
基礎が不安定なものは長く続かない。
目標を定めて、歩み始めると良い。
成功者に倣い謙虚に人と接し、信頼関係を築く事が大切である。


【結果】
䷷◎二⚪︎初
火山旅(かざんりょ) 二爻初爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 老陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[二爻 優先][初爻]


【原文】
《卦辭》
旅は小(すこ)し亨(とほ)る。旅、貞なれば吉。
彖に曰く、旅は小し亨る。柔、中を外に得て、剛に順ふ。止まりて明󠄃に麗(つ)く。是を以て小し亨る。旅、貞なれば吉なり。旅の時義、大なるかな。
象に曰く、山上に火有るは旅。君子以て明󠄃に慎みて、刑を用ゐて、獄を留めず。


《爻辭》
[二爻 優先]
六二。旅、次󠄄に卽(つ)く。その資を懐き、童僕の貞を得たり。
象に曰く、童僕の貞を得たりとは、終ひに尤なきなり。
[初爻]
初六。旅瑣瑣。斯れ其の災を取る所なり。
象に曰く、旅瑣瑣とは、志窮りて災あるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
貞吉(ていきち)であることには達しておらず、ただ遠くに行くという状況に於いて貞吉なだけである。だから、特に重ねて「旅貞吉」とあるのである。物がその主を失うと散る。柔が剛に乘る。五爻は剛位に乘り、また外卦の中を得ている。陰は陽に従って、陽は尊󠄄位を得ていない。小し亨る。旅は大いに散る時で、物は元の場所󠄃を失う時である。


《爻辭》
[二爻 優先]
次󠄄は旅先で安んずることである。二爻は位にあたっており、旅で必ず宿舎を得る。資金も懐にある。童僕の正しい者を得る。
[初爻]
最も下極に處り、寄旅して安んずる所を得ず。而して斯賎の役を爲し、災を致すを取る所なり。志窮まり且つ困しむ。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
旅は旅行である。五爻は陰で、順の徳がある。安全な場所で、命を待つ状況にないと言っても、柔順の徳がある。少しはうまく行くのである。旅で生き抜くには、ただ正しいだけでなく、智略も必要である。旅の時には、助けてくれる人も必要である。信用できない人に頼ってはならない。


《爻辭》
[二爻 優先]
旅の途中、柔順で中正である。必要な資金は懐にあり、さらに心が正しい童僕を得た。両方とも、道中大変ありがたいものである。道中最も安定ているといえる。
[初爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は諸侯でいえば国を失い、大夫でいえば家を失ったものにあたる。一つ前に
雷火豐があるが、これが転倒してしまったのである。贅沢が過ぎて、身を滅ぼしてしまったのである。その後、旅に出る。旅に出ると、威張っていてはどうしようもないので、身を小さくしておくのが良い。謙遜の態度を守って、正しくしていればうまく行くのである。
[彖傳]
この卦の五爻の陰爻は、元々は
雷火豐の時には、内卦にいた。それが外に出たので、旅をするというのである。旅に出たはいいが、陰であり独立自尊の気概がない。そこで、上爻と四爻に依存している。このようにただ縮こまっていてはいけない。旅は大変危険なものであるから、ちゃんとした助けが必要で、公明正大な人間についていくべきである。怪しい人間は避けた方が良い。
[象傳]
山は動かず、火は行き過ぎる。この二つが同居しているのが旅である。君子は刑罰を慎まねばならない。なぜなら、旅に出て、家を離れ、國を離れたものが罪を犯すことがある。それはその土地の法をよく知らないから、無意識に犯しがちである。君子は一人一人を大切にしなければならないので、旅人だからと言っていい加減に裁いてはならない。慎重に刑罰を行うべきである。


《爻辭》
[二爻 優先]
二爻は旅の卦の中で一番安定している。次とは宿のことで、旅人が宿を得たということである。そればかりではなく、懐には資金があり、童僕もいる。童僕とは若い召使と年を取った召使である。二人とも忠誠心があり、旅の友としては最適である。お金をたくさん持っていても安心である。
[象傳]
童僕が良く尽くしてくれるので、憂えが無くなるのである。
[初爻]

6/3(金) ䷱ 火風鼎(かふうてい) 上爻四爻

6/3(金) 火風鼎(かふうてい) 上爻四爻


【運勢】
運気が好転し、何事も順調に進む時。
柔軟な姿勢を心掛け、人との調和を大切にすると良い。
広い視野を持ち、謙虚に努力を続ける事が大切である。
規則を破った者や過ちを犯した者は、しっかりと処罰する必要がある。


【結果】
䷱◎上⚪︎四
火風鼎(かふうてい) 上爻四爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陰][四爻 老陽]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[上爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
鼎は元(おほ)いに吉、亨(とほ)る。
彖に曰く、鼎は象なり。木を以て火に巽れて、亨飪(かうじん)するなり。聖人亨(かう)して以て上帝を亨す。而して大いに亨して以て聖賢を養ふ。巽(そん)にして耳目(じもく)聡明(そうめい)。柔進みて上行す。中を得て剛に應ず。是を以て元いに亨る。
象に曰く、木の上に火有るは鼎(てい)。君子以て位を正し、命を凝(あつ)む。


《爻辭》
[上爻 優先]
上九。鼎玉鉉。大吉にして利しからざるなし。
象に曰く、玉鉉上に在り、剛柔節するなり。
[四爻]
九四。鼎足を折り、公の餗(そく)を覆(くつがへ)す。その形渥たり。凶。
象に曰く、公の餗(そく)を覆すとは信に如何ぞや。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
古い制度が新しく刷新され、新しい制度が定着するので大吉である。さらに、それが長くなる持続するので亨るという。鼎(かなえ)は食べ物を煮炊きする器である。程子はこの卦自体が鼎の形を象っているとする。初爻が鼎の足で、二爻から四爻までが鼎の腹、五爻が口で、上爻が蓋であるとする。下が木德であり、上が火德であるから、物の煮炊きに良いので、鼎とされるのである。革の卦と対応しており、五爻と二爻が応じており、和順で聡明である。だから、大吉なのである。何かをする時に人の助けがあり、その人に任せられる。君臣の心が通じ合っている。おそらく、亨と烹は音が通じるので古代にはどちらも使われていたのであろう。


《爻辭》
[上爻 優先]
鼎の終りに處り、鼎道の成るなり。鼎の成るに居り、剛を體して柔を履む。勁きを用ひて鉉を施し、斯を以て上に處り、高くして亢なるを誡めず。夫の剛柔の節を得、能く其の任ずる者を舉ぐるなり。應は一に在らざれば、則ち舉げざる所靡し。故に大吉にして利しからざるなしと曰ふなり。
[四爻]
[王弼]
四爻は上卦の土台にあたり、初爻と応じている。その任に耐えられないので、足が折れるという。そのせいで、尊󠄄位のひとの食事をこぼしてしまった。床が食べ物で濡れている。
[東涯]
諸本には「形渥」を「刑屋刂」とつくる。重い刑である。陰の位なのに陽でいる。この大臣は天下の賢人と力を合わせて行動しなければならない。そこで応じている初爻を登用したが、実力がなく任に堪えなかった。それで公(四爻)に大恥をかかせることになる。それを鼎の足が折れて、公の食事をこぼすと表現しているのである。気が合うからと言って小人を用いてはならない。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
鼎は三足の鍋で、天下の宝器であり、王の象徴である。日本でいうところの三種の神器である。鼎は五味を調和することが出來る。だから肉であれ、魚であれ、釜で煮た後、最後は鼎に移して味を調えたのである。天地宗廟の祭祀に用いる神饌は鼎で調理され、賓客への御馳走も鼎が用いられた。伏羲の時代には、一つの鼎が宝器であった。もとより天地万物は一つのものから生じたわけで、天地人の三才は鼎の三足、それが鼎により調和されるのである。それが黄帝の時代に三つの鼎になった。三才を表すためであるという。堯舜までは三つであった。その後、夏王朝初代の禹王の時代に九つになった。なぜなら、九州(漢󠄃土全体は九つの國に分かれていた)を象徴するためである。周代まで九つであった。政治も料理と同じで、五味を調和して誰にとってもおいしいものでなければならない。だから鼎が王の象徴なのである。王を助けるのは宰相であるが、この宰の字は肉を盛って料理をこしらえるという意味である。そして十翼に鼎を主るのは長子であるとする。つまり、皇太子が皇統を継ぐべきであるというのである。それでこそ元吉なのである。
[彖傳]
初爻が鼎の足、二から四までに
があるが、これは物が入る部分である。五爻が耳、上爻が持ち運びのためのひもにあたる。五爻の耳に通すのである。元来、鼎は門外で煮炊きするもので、宗廟の門外東である。
[象傳]
木の上に火がある。火は物を煮炊きするのに必要であり、強すぎても弱すぎてもいけない。火にも陰陽があり、陽の火は強すぎて、すぐにものが焦げてしまう。逆に弱すぎると火が通らないで生のままである。陰陽が程よい状態ではじめて煮炊きが可能である。牛羊豚で鼎を分ける。是を三鼎という。三鼎は日月星を表す。心は巽順で耳目がしっかりしている。五爻の王は二爻の賢人を用いて大いに栄えるのである。


《爻辭》
[上爻 優先]
[四爻]
四爻は大臣である。この大臣は自分と気が合うという理由だけで、徳の無い初爻を用いてしまった。それで、任に堪えず国政は混乱する。丁度鼎の足が重みに堪えず、折れてしまい、中に入っていた料理がこぼれてしまうようなものである。その料理というのが、宗廟に捧げる神饌で、八珍である。八珍とは八つの珍味という意味で豪華な料理である。八の数字にこだわらなくてよく、四方八方から極上の食材が集まったということである。極上の料理も、それを担当する人間のせいで台無しになる。政治も大臣の私心のせいで、変な人間に任せると大変なことになるのである。その大臣に対する刑は至極ひどいもので、屋刂という。小さな小屋で行われ、人に見せないために屋刂というもので覆いながら行われる。駄目な人間を私心で雇ったら、大臣が罰を受けるのである。
[象傳]
政治の混乱が起こってはどうしようもない。その悪人を私事で用いた大臣には極刑が施行されるのである。