10/3(月) ䷪ 澤天夬(たくてんかい) 二爻

10/3(月) 澤天夬(たくてんかい) 二爻


【運勢】
力強く決断し過ちを正すのに良い時。
思い悩み立ち止まれば、進退極まる結果となるだろう。
迷わず、憂えず、恐れず。智仁勇の三徳を守り行動で示す事が大切である。
常に相手を思いやり、堅実に信頼関係を築くと良い。


【結果】
䷪◎
澤天夬(たくてんかい) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 老陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[二爻]


【原文】
《卦辭》
夬は王庭に揚ぐ。孚(まこと)有りて號ぶあやふきこと有り。吿ぐること邑よりす。戎に卽くによろしからず。往くところ有るに利し。
彖に曰く、夬は決なり。剛、柔を決するなり。健にして說󠄁(よろこ)ぶ。決して和す。「王庭に揚ぐ」とは、柔五剛に乘ずればなり。「孚有りて號ぶ、あやうきこと有り」とは、それ危めば乃ち光るなり。「吿ぐること邑よりす。戎に卽くによろしからず」とは、尚ぶ所󠄃乃ち窮まるなり。「往くところ有るによろし」とは、剛長じて乃ち終るなり。
象に曰く、澤、天に上るは夬。君子以て禄を施して下に及ぼす。德に居りて則ち忌む。


《爻辭》
九二。惕れて號ぶ。莫夜に戎むること有り、恤ふること勿れ。
象に曰く、戎むること有り、恤ふること勿れとは、中道を得るなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
夬は決める、引き裂くの意󠄃味である。形は
剝の反対である。君子が勢いを持ち、徳のないもの(上爻)を征伐する象である。五陽に一陰が載っている。危うい状態に耐えきったら大きな功をなす。徳の無い者と戦うときはただ武力のみに頼るのでなく、誠実さを以て臨むべきである。終には徳の無い者は除かれ、平和になる。


《爻辭》
健に居りて中を履み、斯を以て事を決す。能く己の度を審かにして、疑はざる者なり。故に惕れて號呼すること有り、莫夜に戎むること有りと雖も、憂へず惑はず。故に恤ふること勿れとなり。

〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
夬は円(まる)い物を欠いて割るという義である。上六の陰爻は大奸物(だいかんぶつ:悪知恵のはたらく心のひねくれた人間)である。それが九五の天子に近接している。巧言令色をもって諂って居るのが、段々と蔓延(はびこ)って害を為す。必ず上六を撃たねばならない。「揚于王庭」とは、この大臣の悪を明らかにして皆に告げる所である。「孚号」は、大臣を除くにあたり誠心をもって協力を呼び掛けるのに号(さけ)ぶ所である。天下はこれを信じ、協力は得られる。しかし兵を挙げて撃つのではない。早まってはいけない。
[彖傳]
密接している悪を斬って除く。一番上の陰爻を切り離す。剛が柔を決する。柔の小人は五人の賢人君子の上に上がって権勢を専らにしているので、その罪を揚げるのである。厲(あやう)い所があるから容易に手を出してはならない。危ぶみ慎しんで、人民が騒がしくならないように能く鎮撫する。孚(まこと)を尊び、時を見て動かなければならない。早く往き過ぎると却って窮する所が出てくる。剛が次第に長じてくる所であるから、終(つい)には事を終え遂げることが出来る。
[象傳]
沢の水の気が、乾の天の上にあり、水気がまた下に戻ってくる。君子は恩沢を下々の方まで汎く施す。恩沢を上の方で置き蓄えて、吝(おし)み下へ及ぼさないのは君子にとって忌み嫌う所である。
《爻辭》

10/2(日) ䷖ 山地剥(さんちはく) 変爻無し

10/2(日) 山地剥(さんちはく) 変爻無し


【運勢】
脅威が差し迫り、物事を前に進めるのが困難な時。
徳のない者を相手にせず、正しさは内に秘めておくと良い。
消息盈虚。過去に囚われず、ありのまま受け入れる事が大切である。
心身の余裕を保ち変化に備えると良い。


【結果】

山地剥(さんちはく) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
剝は往く攸有るに利しからず。
彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。
象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
剝は割くの意󠄃である。下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。


〔根本通明の解釋〕
剝は刀で削り取っていくという意味である。徳の無い者が削り取りながら有徳者にせまっていくところである。このような時には有徳者は遁れておくのが良いのである。
[彖傳]
剝にはものを破る、落とすという義もあるが、この場合は削り落とすの意󠄃である。小人が世の中の隅々にはびこっているので、君子たるものはどこにも行かない方が良い。そして正しい行いをつづけていかなければならない。今はすべてが陰になろうとしているが、固く道徳を守り、一陽来復に備えておくべきである。
[象傳]
地の上に山がある。地は民であり、山は君主である。地が厚ければ山は盤石であるように、民の生活基盤が盤石であってこそ、君主は盤石なのである。卦の形は牀のようである。牀とは今の机のことで、一番上の上爻が机で、五爻までの陰爻が足である。

10/1(土) ䷲ 震爲雷(しんゐらい) 変爻無し

10/1(土) 震爲雷(しんゐらい) 変爻無し


【運勢】
状況が一変し緊張感が漂う時。
場の空気に流されず、冷静に対応できれば大事には至らない。
物事の根幹を整え、困難に立ち向かう事が大切である。
不測の事態に心患う必要はない。完璧を求めず、継続を求めると良い。


【結果】

震爲雷(しんゐらい) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
震は亨(とほ)る。震の來たるとき虩虩(げきげき)たり。笑言啞啞(ああ)たり。震百里を驚かす。匕鬯(ひちょう)を喪はず。
彖に曰く、「震は亨(とほ)る。震の來たるとき虩虩(げきげき)たり」とは、恐れて福を致すなり。「笑言(しょうげん)啞啞(ああ)たり。」とは、後に則あるなり。「震百里を驚かす」とは、遠きを驚かして邇(ちかき)を懼(おそ)れしむるなり。出でて以て宗廟社稷を守りて、以て祭主と爲すべきなり。
象に曰く、しきりに雷するは震。君子以て恐懼(きょうく)脩省(しゅうせい)す。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
震は雷鳴を表す。上下両方とも震であり、雷鳴が轟くときは傲慢になった人々も恐れ、敬意を取り戻す。人々が恐れ敬いの心を取り戻せば、規則が守られ、幸福になる。雷鳴は遠方まで轟きわたり、人々を驚かせるが、そんな中でも先祖を祭り、神々を祭る人は重い責任にたえられる人である。


〔根本通明の解釋〕
前の卦は火風鼎である。鼎(かなえ)は天子の宝器のことで、日本では三種の神器にあたる。皇統一系は天道であって万世不易のものであるから、革命が起こっても必ず皇統一系に引き戻さなければならない。そのため火風鼎が示すように、皇后に子が無ければ、妾の子であっても皇位を嗣がせなければならない。こういう理由で鼎の卦の次に、震の卦を置いたのである。『序卦伝』にも「器を主(つかさ)どる者は長子にしくはなし。故にこれを受くるに震(しん)をもってす」とある。この震は皇太子の象である。皇太子はどのような困難に遭っても、何所までも忍耐して必ず位を嗣がなければならない。震は剛(つよ)いから亨る。また震は雷であり、この卦は雷を以て説く。卦全体の主になるのは初爻目である。虩虩(げきげき)とは恐懼する姿である。激しい雷には聖人といえども恐れ慎む。『論語』にも「迅雷風烈は必ず変ず」と出ている。大いなる災難が来るが、恐れ慎めば後には必ず福を得ることになる。天が天下を委任するに相応しい人だと思えば、禍(わざわい)を降して其の人の心身を苦しめる。艱難辛苦を経ることで忍耐力が養われて、後に大事を為せるのである。「笑言唖唖」とは、はじめ難に遭って苦しむが、後には安楽となり喜び笑う所となることである。「匕鬯(ひちょう)」は、宗廟の祭祀のときに天子自ら使う道具である。匕(ひ)は鼎の中の肉を掬(すく)い取る匙(さじ)である。鬯(ちょう)は鬱金草(うこんそう)という香草を入れて醸した酒のことである。この酒を地に撒くと香気が立ち上り、これによって神を降ろすのである。このように匕と鬯は、祭祀に於いて最も重要であることから、この卦で取り上げられるのである。身を砕くほどの雷が鳴っても、匕鬯を行える忍耐力が無ければいけない。
[彖傳]
「震亨、震来虩虩」と云うのは、災難に見舞われるも、恐れ慎んで徳を修めることで、遂に天の福を招く所となる。「笑言唖唖、後有則也」には、「後」という字が加えてあり、難と福の順序を失わないようになっている。雷により胆力を養い徳を修めた所で、皇太子が御殿から出て天子の位を継ぎ、宗廟社稷を守って祭る所の主人となることが出来る。乾為天四爻目の「或いは躍る」がこれにあたる。つまり天子が健在でも時によって皇太子が出て、宗廟社稷の祭祀を代わりに行えるだけの準備が出来ていることを意味する。
[象傳]
この卦は震が二つある。二度も三度も打ち重なって雷鳴が響く。君子は難に遭うことで、恐れ慎んで徳を修めて、我が身を省みる所が出てくるのである。