4/26(火) ䷵ 雷澤歸妹(らいたくきまい)→䷽ 雷山小過(らいさんしょうか)
【運勢】
多くの困難に直面し、過ちを犯しやすい時。無理せず控えめに過ごすと良い。
変な拘りを持たず、謙虚に進める事が大切である。
礼節を守り地道に努力を続ければ、道は大きく開けるだろう。
【結果】䷵→䷽
本卦:雷澤歸妹(らいたくきまい)
之卦:雷山小過(らいさんしょうか)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 老陰][二爻 老陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[三爻][二爻][初爻]
【原文】
《本卦:䷵ 雷澤歸妹》
婦妹は征けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)なし。
彖に曰く、歸妹は天地の大義なり。天地交はらざれば萬物興らず。歸妹は人の終始なり。說󠄁(よろこ)びて以て動く。妹を歸く所󠄃なり。征けば凶とは位に当たらざるなり。利しき攸なしとは、柔、剛に乘ずればなり。
象に曰く、澤上に雷有るは歸妹。君子以て終を永くし敝(へい)を知る。
《之卦:䷽ 雷山小過》
小過は亨る。貞に利ろし。小事に可にして、大事に可ならず。飛鳥之れが音を遺す。上るに宜しからず、下るに宜し。大吉。
彖に曰く、小過は小なる者󠄃過ぎて亨るなり。過ぎて以て貞に利し。時とともに行ふなり。柔、中を得たり。是を以て小事に吉なり。剛、位を失ひて不中。是を以て大事に可ならざりなり。飛鳥の象有り。飛鳥之が音をのこす。上るに宜しからず、下るに宜し。大吉とは、上るは逆にして下るは順なるなり。
象に曰く、山上に雷有るは小過。君子以て行は恭に過ぎ、喪は哀に過󠄃ぐ。用は儉に過ぐ。
【解釋】
《本卦:䷵ 雷澤歸妹》
〔王弼の解釋〕
妹は少女のことである。兌は小陰で、震は長陽である。小陰が長陽を承けるので、よろこんで動く。妹を嫁がせる象である。陰陽が既に合って長と少が交わった。天地の大義、人倫の終始と言える。少女を長男に嫁がせる。少女は嬉しくない。不正を犯し、それを喜んで動くのは邪道である。終には敝を知る。
〔東涯の解釋〕
婦人のことを嫁とも歸ともいう。兌は少女、震は長男である。これは婦人が嫁ぐ時に礼を失している。二爻から五爻まで位を得ていない。三爻と五爻の陰爻が陽の上に居る。これは陰として正しくない。夫が先に声をかけて、それに妻は随うのである。これは天地の大義である。父母の命、媒酌の言を待ち、礼を尽くす。その後にそれぞれがその道を尽くして家道󠄃がなる。正しい道に由らないと、その夫婦は礼儀を乱し、制御できなくなる。
〔根本通明の解釋〕
上卦は震で長男、下卦は兌で少女である。兄たる六五の天子は、六三の我が妹を以て、諸侯に嫁がせる。兌は巧言令色で、男子を玩ぶ象がある。しかし婚姻は必ず男子の方から求めるべきものだから、女子の方から征くのは凶である。
[彖傳]
夫婦の道は、天地陰陽の道である。陰陽が正しく交わって、萬物が生じる。天地の大義は、人の大倫である。孟子も、男女室に拠るは、人の大倫と云う。兌は說び、震は動く。これは妹が帰ぐ所の義にあたる。三爻目の陰が、一・二爻目の陽の上に乗っており、柔が剛を凌ぐ所がある。これは戒めなければならず、この女が征けば凶である。
[象傳]
澤上に雷がある。雷が動けば、澤も随って動く。これは男子が動いて事を行い、女子がこれに応じる象である。婚姻を終生の永いものとするには、後々弊害が出ないように能く対策し、始めを慎まなければならない。
《之卦:䷽ 雷山小過》
〔王弼の解釋〕
飛ぶ鳥がその声を残して、悲しみながら場所󠄃を求める。上には適当な場所がなく、降れば安住できる。上に行けば行くほど悪くなる。飛ぶ鳥と同じである。小過の小はおよそ小事全般を言う。小事を過ぎて、うまく行く。過ぎれば正しくしていればよい。時宜にかなうのである。恭しく儉約󠄃していればよい。大事をなすは必ず剛がいる。柔で大を犯すのは、剝の道である。上に昇ってはならず、降るのが良い。これは飛ぶ鳥の象である。
〔東涯の解釋〕
陽は大であり、陰は小である。四つの陰が外に在り、二陽が内に在る。陰が陽に勝っているので小過という。陽が陰に勝るのが道理であるが、陰が勝って問題ない時もある。二五は柔が中を得て、三四は剛であり、中でない。卦の形は鳥が翼を広げているようである。上に向って鳴くので、下には聞こえない。下は順調で容易であるが、上昇は逆行するので難しい。任務にも大小があり、位にも上下がある。人の才分もそれぞれ違う。柔は下位にあって小事を治めるのが良い。それが分からなかった人が多く失敗してきたのである。易は中に適うことを尊ぶ。
〔根本通明の解釋〕
小過の卦は全体でみると☵の卦になっている。三爻と四爻が鳥の体であり、一二、五六が翼である。何の鳥かといえば鶏である。二三四爻に☴がある。これが鶏である。この卦は陰が過ぎる卦である。陽は君で陰は臣下である。君が鳥の体で、臣が鳥の翼である。陰が過ぎるとは臣下が調子に乗っていることである。だから小事は行われ、大事は行われない。鶏が高く飛べる道理はない。声だけ高く上がっても、体は高く上がらない筈である。この場合、鷹に咥えられたとするとよい。飛び去ってしまい悲しむ声だけが残るのである。上に行かれてはもうどうしようもないが、下にいるのなら人でも何とか救出できるかもしれない。
[彖傳]
祭祀に於いて祭式の起居進退は小事であり、道徳は大事である。しかし、小なることを徹底して、良くなることもある。この卦は陰が多すぎる。二爻も五爻も陰である。だから大事をするには不利である。君は常に民と共にあらねばならない。
[象傳]
大いなる山を、小なる雷が過ぎて行く。君子はこの卦をもとに行いを恭しくする。