5/31(火) ䷻ 水澤節󠄄(すいたくせつ) 初爻
【運勢】
世の中が大いに複雑化する時。
複雑な状況の解決には、偏らない視点が大切になる。
正しい事とは何か問い続ける事が、過ちを防ぐ。
急いては事を仕損ずる。
節度を弁え、冷静に手の届く範囲で努力する事が大切である。
【結果】䷻◎初
水澤節󠄄(すいたくせつ) 初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[初爻]
【原文】
《卦辭》
節󠄄は亨(とほ)る。苦節貞(てい)すべからず。
彖に曰く、節󠄄は亨(とほ)る。剛柔(ごうじゅう)分かれて、剛中を得る。「苦節は貞すべからず」とは、その道窮(きは)まるなり。よろこびて以て險(けん)を行き、位にあたりて以て節󠄄(せつ)す。中正にして以て通ず。天地節󠄄して四時成り、節󠄄して以て度を制すれば財を傷(そこな)はず、民を害せず。
象に曰く、澤上に水あるは節󠄄。君子以て數度(すうど)を制し、德行を議(ぎ)す。
《爻辭》
初九。戶庭を出でず。咎なし。
象に曰く、戶庭を出でずとは、通塞を知るなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
坎は陽で兌は陰である。陽が上で陰が下である。剛柔が分かれている。剛柔が分かれて乱れない。剛が中を得て制となる。主節󠄄の義である。節󠄄で最大は剛柔が分かれている時である。節󠄄で苦を過ぎれば堪えられない。それでは正に復せない。喜んで險を冒さず、中を過ぎて節󠄄となれば道󠄃が窮まる。
《爻辭》
節󠄄の初めであり、離散したものを整えて、制度を立てるものである。故に通則を明らかにし、険偽を熟慮する。戶の外の庭に出ず、謹慎を續ける。その後には事は整ってきて問題が無くなる。
〔東涯の解釋〕
《卦辭》
節󠄄は分かれて度がある。竹の節のことである。陰陽が均等である。二爻と五爻が剛中である。節󠄄があれば通り、及ばないという弊害がない。上爻は陰柔で正を得て窮まれば、節󠄄を過ぎて窮まる。君子の道は中に適うを貴しとする。人は剛で折れず、柔で撓まなければよろしい。又偏ることがない。うまく行く。及ばないことを恐れるのでなく、行き過ぎることに注意すべきである。
《爻辭》
内卦を戶といい、外卦を門という。戸外の庭は中門の内側にある。だから庭を戶庭という。初爻は陽で一番下に居る。上に正応があり、無暗に上に進む事は無い。達成できることが無くても、行き過ぎることもない。己の才能が外に出て達成できることがあっても、時勢が合わなければ、自分の場所󠄃をくらまし、時を待って行動すべきである。せっかちに先を急いでは禍にあってはいけない。伊尹が畎畝の中に居て、堯舜の道を楽しみ、終身したようなものである。君子の道である。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
節は竹の節に由来する。中が空洞で通っているが、所々に節があり止まって堅く動かない。上卦は坎で水が流れて通じるが、下卦は兌で水が止まり、節の象がある。総ての事は竹の節の様に分限がある。天地の間にも、君と臣の間にも、一家の中にも各々身分に応じて為す所がある。しかし己の分を守るということも、度を越せば苦節となる。孟子に陳仲子という人物がおり、節義を守ることを徹底する余り、無道の君から受ける禄を穢れると言って嫌悪する。しかしそれでは生きていくことは出来ない。我が身を苦しめ無理をしてまで節を守ろうとしてはいけない。
[彖傳]
下卦が陰=柔で、上卦が陽=剛である。上卦の主爻は五爻目で、下卦の主爻は三爻目である。剛と柔が上下に分かれ、陽爻は皆中を得ている。「苦節不可貞」は行う所の道が窮して行えなくなることである。陳仲子の様に窮することになる。
[象傳]
沢の上に水が流れる。沢は四方に堤防があって水を溜めている。これが節である。程好い所に止まっている。君子は節に則って政を行う。
《爻辭》
約象(三四五爻)は艮で、互體(二三四爻)は震である。震の卦徳は動であるが、上には山があり、また下には沢があるから、出ようとして止める。其所で家の戸口、庭の門から外へ出ない。初九は陽爻を以て、陽位にあるから動かないのが正しい。
[象傳]
道徳の通る時と塞がって行われない時がある。今は道徳の行われない時であるから、外へ出ずに道を楽しんで居る方が宜しい。世間へ出ない為に咎を受け様が無い。