6/20 (土) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 三爻

【運勢】

最善の方法ではないが、協力して成果を上げる事が出来る。

目に見えて成果が上がるので、士気が高まるだろう。

備えを常にしておく事で、災害が起こった時に冷静に対処する事が出来る。

【原文】
《卦辭》
益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。

彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。

往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。

象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。

《爻辭》
六三。之れを益すに凶事を用てす。孚(まこと)有りて中行すれば、公(おほやけ)に吿して圭を用ふ。

象に曰く、「益すに凶事を用てす」とは固く之を有するなり。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辞》
益は増すこと、増やすことである。

䷋否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。

上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。

上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。

《爻辞》
凶事とは『通解』によると戦いや葬式である。

三爻は正しいものとは言えないが、上爻の陽と應爻の関係であるから、上爻の援助をうけて特に問題もなく成功する。

その場合、誠の心を以て中道を守って行動する必要がある。

公とは王に次ぐ存在であり、その者に誠心誠意尽くせば、王に見える恩恵を得る。

〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
この卦は、前の卦の山沢損と反対である。

山沢損は地天泰より来た。

そして地天泰は天地否から来た。

天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。

坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。

そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。

これで風雷益の卦になる。

これが下を益するという義である。

上卦の震は、農業の卦である。

人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。

それで「利有攸往」である。

こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。

よって「利渉大川」である。

[彖伝]
「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。

そこで民が説(よろこ)ぶ。

陽が段々進んで往けば兌の卦になる。

農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。

出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。

よって「其道光大」となる。

「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。

いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。

「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。

〔象伝〕
上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。

また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。

つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。

そして過ちがあれば速やかに改める。

震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。

雷山小過は霆(激しい雷)である。

雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。

これは往き過ぎである。

善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。

《爻辞》
「凶事」は飢饉のことである。

震の卦から巽の卦に移る間がちょうど麦の熟する所となる。

三爻目は震の卦の終わりで、春の終わりで夏に移った所となる。

そこへ雷雨が起こり大風が吹けば、麦の方へ害が来る。

すなわち飢饉が起これば、上の方が救わなければいけない。

「有孚」は、二・三・四爻に坤=地があり、これは孚という所がある。

「中行」は過不足の無い中庸の行いで、丁度良い加減で官より米を給わる。

これは国家の大事であり、神前に圭(けい:先端が三角になった玉器)を供えて「公に告ぐ」のである。

[象伝]
官に貯えられた御蔵米は皆人民の方から差上げたもので、固(もと)より人民の有する所の物である。

よって「固有之也」という。

戦争や飢饉に備え、官において九ヵ年分を貯えると定まっている。

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