【運勢】
鼎は三足の銅鍋。周󠄃までは王位の証であった。
鼎の中に、中身たくさん有る様子のように、誠心誠意尽くしていれば最後には取り立てられるだろう。
ただ、自分からこれ見よがしに目立とうとすると周りから憎まれるだろう。慎んで行動していれば問題はない。
【原文】
《卦辭》
鼎は元(おほ)いに吉、亨(とほ)る。
彖に曰はく、鼎は象なり。木を以て火に巽れて、亨飪(かうじん)するなり。聖人亨(かう)して以て上帝を亨す。而して大いに亨して以て聖賢を養ふ。巽(そん)にして耳目(じもく)聡明(そうめい)。柔進みて上行す。中を得て剛に應ず。是を以て元いに亨る。
象に曰はく、木の上に火有るは鼎(てい)。君子以て位を正し、命を凝(あつ)む。
《爻辭》
九二。鼎に實有り。我が仇疾に有り。我に卽くこと能はず。吉。
象に曰はく、鼎に實有りとは之く所󠄃を愼しむなり。我が仇疾に有りとは、終に尤无きなり。
【解釈】
《卦辭》
[王弼、伊藤東涯の解釋]
古い制度が新しく刷新され、新しい制度が定着するので大吉である。さらに、それが長くなる持続するので亨るという。鼎(かなえ)は食べ物を煮炊きする器である。程子はこの卦自体が鼎の形を象っているとする。初爻が鼎の足で、二爻から四爻までが鼎の腹、五爻が口で、上爻が蓋であるとする。下が木德であり、上が火德であるから、物の煮炊きに良いので、鼎とされるのである。革の卦と対応しており、五爻と二爻が応じており、和順で聡明である。だから、大吉なのである。何かをする時に人の助けがあり、その人に任せられる。君臣の心が通じ合っている。おそらく、亨と烹は音が通じるので古代にはどちらも使われていたのであろう。
《爻辭》
[王弼の解釋]
陽質で鼎の中にある。實があるものである。加えてはいけない。これを益すると溢れてしまう。却って実を傷つけてしまう。我が仇とは五爻の事を言う。剛の上に乗ることの疾に悩む。
[伊藤東涯の解釋]
仇とは好敵手のことである。初爻を指している。陽剛で中に居る。五爻と応じている。五爻のもとに行くのが良い。陰陽は互いに求めるのは天地の大義である。陽が陰を求めると正しきを得る。陰が陽を求めれば正しくない。人の付き合いは慎重にしなければならない。