7/21 (火) ䷦ 水山蹇(すいさんけん) 初爻

【運勢】

悩みを抱えるが、早急に解決しようと焦ってはいけない。

どの道を通っても厳しいのは、今が行くべき時では無いからである。

進んだ先で大成するので、その時に備え、学と徳を積むと良いだろう。

【原文】

《卦辭》

蹇(けん)は西南によろし。東北によろしからず。大人を見るによろし。貞にして吉。彖に曰はく、蹇は難󠄄なり。險(けん)前に在る。險を見てよく止まる。知なるかな。「蹇は西南によろし」とは、往きて中を得る。「東北によろしからず」とは、その道窮(きは)まるなり。「大人を見るによろし」とは、往きて功あるなり。蹇の時用大なるかな。象に曰はく、山上に水あるは蹇。君子以て身に反して德を修(をさ)む。

《爻辭》

往けば蹇(なや)み、來れば譽(ほまれ)あり。

象に曰はく、「往けば蹇み、來れば譽あり」とは、宜しく待つべきなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辭》

西南は地であり、東北は山である。

難󠄄しい平地を行けば解決は難しい。

難󠄄しい山地を行けば道󠄃が窮まる。

爻は全部位に当たっている。

正しきを履んでいるのが、邦を正す道である。

ただし、難に遇うと正を失う。

それは良くない。

小人には対処できない。

難󠄄を除くには德を高めるしかない。

《爻辭》

難の始めの所󠄃であり、止まるの始めである。

事前に危ないことが分かり、其時を待つ。

往けば難󠄄に遇い、来れば誉ありである。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

蹇は難である。

進みことができない。

前に難があり進めず、険難があるので止まる。蹇が変わると解になる。

解の二爻が外卦の五爻に行って中を得る。

だから、西南がよく、止まりて進まない。

東北に利なし。

五爻は位に当たって中正。

君を得て、國を正すことが出來る。

だから賢人に遇う時であるという。

世が乱れているので、蹇に遇えば身を滅ぼす。

時を待って行動せよ。

我が身を反省して、德を修めよ。

《爻辭》

君子は安全な場所にいて、天命の時を待つ。

小人は往きて難󠄄に遇い、破滅する。

時を待ちて動け。

名誉を求めない。

〔根本通明の解釋〕

《卦辭》

蹇は歩行が難󠄄しい状況である。

西南がよい、上卦が☵であるが、上に在る時は月󠄃である。

二三四爻の互卦にも☵がある。

これは三日月を表す。

旧暦の三日に西南から現れ、東北になくなる。

又西南は坤である。

草莽にいてどこまでも学問をして學藝を磨くのかよい。

何の能力もなく朝廷に出ようとしてはならない。

艮は朝󠄃廷を表す。

学問を修めたのなら、賢人に遇って、天下を経営するのに良い。

[彖傳]

☵の卦は大水であり、行けばおぼれてしまう。

☶は止まるであるから、大水に行かずにとどまった。

目の前に大水があるので、進めない。

止まるべきところで止まるのが知である。

西南に於いて学問を修めから、東北に行けば賢人に遇って、明君を得ることになる。

今は無学であるから、進んでも利なし。

険難の時代に生まれても大いに活躍できるのである。

[象傳]

君子は険難の時代には、良いことをしようとしてもうまく行かない。

そこで、己を正しくして、だんだんと德を修めると二爻から上爻までは正しい位にいるが、初爻だけは陽の位に陰でいる。

始めが正しくないといけない。

だから君子はまず自分の修身から始めるのである。

《爻辭》

外に行くのではなく、内に入ってとどまっておけば、それが誉であるという。

つまり、時を待つべきである。

[象傳]

時を待たねばならない。

無闇に進むのは良くない。

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