【運勢】
明るく振舞う者は、意「欲」的になりがちで、正しさを暫し忘れてしまう。
明るく、そして「誠」意的である者は、どんな時でも使命を全う出来るだろう。
明るくある事よりも、正しくある事を常に優先すれば良い。
【原文】
《卦辭》
離は貞に利(よろ)し。亨(とほ)る。牝牛を畜(やしな)へば吉。
彖に曰はく、離は麗なり。日月は天に麗(つ)き、百穀草木は地に麗き、重明󠄃以て正に麗く。乃(すなは)ち天下を化成す。柔、中正に麗く。故に亨る。是を以て牝牛を畜へば吉なり。
象に曰はく、明󠄃兩たび作るは離。大人以て明󠄃を繼ぎ、四方を照らす。
《爻辭》
九四。突如、其れ來如。焚如。死如。棄如。
象に曰はく、突如。其れ來如とは、容るる所󠄃无きなり。
【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
離は柔であることが正しい。
だから、必ず正しくして後にうまく行く。
陰爻が卦の真ん中にある。
牝の善いものである。
外は強くて内は柔らかい。
牛の善いものである。
柔順を良しとする。
凶暴な動物を飼ってはならない。
牝牛を飼うのが良い。
それぞれのものが、あるべき場所にあるのが良い。
陰爻が真ん中に在ればうまく行く。
吉。
強暴な動物を飼うべきでない。
《爻辭》
明道が始めて変わるところである。
黄昏になって始めて暁となり、日没になって始めて日の出となる。
だから突如という。
その明るさが始めて進み、炎がはじめて盛んになる。
尊位の五爻に近接し、その位にない。
盛んなところに進もうとする。
その上を炎上させる。
命は必ずしも終わらない。
離の義に違い、応ずるものなく、承けるものもない。
民衆が受け入れない。
〔伊藤東涯の解釋〕
《卦辭》
離は附くということである。
一陰が二陽の間についている。
火であり、日であり、電気であり、德としては明󠄃である。
皆柔順であることを知っている。
明󠄃は正しくあるのに良い。
世の中で明󠄃を用いれば、正を失いがちである。
明󠄃が二つ重なる状態で正を忘れなければ、天下を化成することが可能である。
坤では牝馬の貞によいとあったが、この離では牝牛である。
柔順の徳というより、柔順な人に服するのが良い。
智の至りである。
明󠄃とは日のことである。
前の日が没しても、次の日の出がある。
君子はこれを体現し、前の王の明徳を継いでいくのである。
《爻辭》
四爻は不中正で応じるものがない。
人心は服さないし、必ず災いあり。
凶であることは言うまでもない。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
離はつくの意󠄃味である。
正しくあればどこまでもよい。
陰が陽爻二つの間についている。
この陰爻は坤からきた。
牝牛は柔順であり、温厚である。
二爻と五爻が牝牛であるから、柔順の徳をやしなうべきである。
[彖傳]
乾の卦の二爻と五爻に陰爻がついたのである。
日月は天について天下をあまねく照らす。
また百穀草木は地に附いて盛んである。
明󠄃の上に明󠄃が重なっているので、重明󠄃という。
それが皆正しい位置についている。
日月が天下を照らすように、君主も今日も明日も正しさを失わずにいれば、あまねく天下を化すことが出来る。
中正なる所󠄃に居るのは二爻である。
牝牛というのは二爻のことである。天子は每日明徳を以て政治をしなければならない。
《爻辭》
四爻は陽なのに陰に居るので良くない。
九四は親に背くものであり、親不孝である。
親を弑すなどということがあるべき道理はないが、それがたまに突然起こることがある。
昔漢󠄃土には火葬がなく、親不孝者に施される刑罰であった。
[象傳]
親不孝から起こった事件は最も重い罪である。
そんなことを犯した者には居場所はない。
今日はこの人につき、明日はあちらにつく。
行いに定まりがない。
不孝と不信は置くべきところがないのである。