【運勢】
様々な困難があり悩みが絶えないが、そこから逃げてはいけない。
解決するには進むしかない。
良く考え、悩み、進む事で、新しい道が見えて来るだろう。
【原文】
《卦辭》
屯(ちゅん)は元(おほ)いに亨(おほ)る。貞(てい)によろし。往くところ有るに用ゐるなかれ。侯(こう)を建つるによろし。彖(たん)に曰はく、屯は剛柔始めて交はりて難生ず。険中に動く。大いに亨(とほ)りて貞し。雷雨の動く滿盈(まんえい)。天造󠄃草昧(てんぞうそうまい)。侯を建つるによろしくして、寧せず。象に曰はく、雲雷は屯。君子以て經綸(けいりん)す。
《爻辭》
上六、馬に乘ること班如(はんじょ)たり。泣血漣如たり。
象に曰く、泣血漣如たり。何ぞ長かるべきなり。
【解釋】
〔王弼、通解の解釋〕
《卦辞》
屯はなやみある象、また草が萌芽しはじめたところである。
なやんで通ずることが出来ない状況である。
ただし、時が至れば険難を脱して安泰な境地に至る。
そのためには、正しさを固く守らねばならない。
現在は草創期であり、社会の秩序がまだ整わない時である。
こういう時は、適材適所で良い人材を登用しなければならない。
《爻辞》
上爻は険難の極みであり、煩わしいことが多い。
助けてくれる人もなく、泣くほかない。
憐れであるが、どうしようもない。
その位に留まることも、長くはない。
〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
屯は止まり艱(なや)むという義である。
下卦の震は、出で進んで往く所の卦であるが、目の前には大いなる水があり、往こうとしても往かれない。
水は険難の象で、外の世界は力の支配する恐ろしい状態で、軽々しく進めば難に遭う。
天下を治めるには、仁義礼智を具えた侯を建てなければならない。
[彖伝]
震は雷で気力が強く、如何なる険難に遭っても落胆して止まることは無い。
険難の中に在っても動いて出る所があり、始終は大いに亨る。
初九は侯となるべき人物で、仁徳を具えている。
この人が進んで遂に侯になる所の卦である。雷が動いている中に、雨が降って来て、天地の間には萬物が一杯に生まれる。
真っ暗な世の中に侯を建て治めなければならない。
服し集まった者を以て治めれば良く、抵抗する様な者は勝手にさせておけばよい。
世の中の始まりは細やかに事を行ってはいけない。
[象伝]
経綸の経は縦糸、綸は横糸で、世を治めるのは一匹の布を織り立てる如きものである。
また雷は雷気が四方に敷き施し、ちょうど縦糸を竝べる所である。
綸は物を撚り合わせて集める方で、厚く集まった雲の象である。
この雲雷の象によって世の中を治める。
《爻辞》
上六は尊い位を失ってしまった所で、遁(に)げようとするが往く所が無い。
そこで復た馬を回(か)えして唯立って泣いているより他ない。
涙が尽きて血を流して泣いている。
[象伝]
ここに至って婦女子の如く唯泣いて居た所で仕方が無い。
ここで一つ考えをもって気力を振るって為す所が無ければいけない。
其処で何ぞ長うすべきという。