8/12(金) ䷖ 山地剥(さんちはく)→䷅ 天水訟(てんすいしょう)

8/12(金) 山地剥(さんちはく)→ 天水訟(てんすいしょう)


【運勢】
物事を前に進めるのが困難な時。
徳のない者を相手にせず、正しさは内に秘めておくと良い。
負の感情に流されてはいけない。争いに執着しても禍根が残るだけである。
認め合いの精神が大切である。


【結果】

本卦:山地剥(さんちはく)
之卦:天水訟(てんすいしょう)
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 老陰]
[三爻 少陰][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻][四爻][二爻]


【原文】
《本卦:
山地剥》
剝は往く攸有るに利しからず。
彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。
象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。


《之卦:
天水訟》
訟は孚有り。窒がる。惕(おそ)れ中するは吉。終はれば凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利ろしからず。
彖に曰く、訟は上剛下險。險にして、健なるは訟。訟は孚有り窒り、惕(おそ)れて中すれば吉とは、剛來たりて中を得るなり。終はれば凶とは、訟、成すべからざるなり。大人を見るに利しとは、中正を尚(たうと)ぶなり。大川を涉るに利しからずとは、淵に入るなり。
象に曰く、天と水と違ひ行くは訟。君子以て事を作(な)すに始を謀(はか)る。


【解釋】
《本卦:
山地剥》
〔王弼、東涯の解釋〕
剝は割くの意󠄃である。下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。


〔根本通明の解釋〕
剝は刀で削り取っていくという意味である。徳の無い者が削り取りながら有徳者にせまっていくところである。このような時には有徳者は遁れておくのが良いのである。
[彖傳]
剝にはものを破る、落とすという義もあるが、この場合は削り落とすの意󠄃である。小人が世の中の隅々にはびこっているので、君子たるものはどこにも行かない方が良い。そして正しい行いをつづけていかなければならない。今はすべてが陰になろうとしているが、固く道徳を守り、一陽来復に備えておくべきである。
[象傳]
地の上に山がある。地は民であり、山は君主である。地が厚ければ山は盤石であるように、民の生活基盤が盤石であってこそ、君主は盤石なのである。卦の形は牀のようである。牀とは今の机のことで、一番上の上爻が机で、五爻までの陰爻が足である。


《之卦:
天水訟》
〔王弼の解釋〕
訟は訴える、訴訟の意󠄃味である。外は剛健で、内は陰険である徳の無い人は訴訟を好む。結局のところ、訴訟に勝つことは出来ない。


〔東涯の解釋〕
五爻は王の位であるが、この王は物事の是非を弁えた裁判が出來る。大川とは内卦の
を表す。訴訟の結果、原告も被告も最終的には損をする。やらない方が良い。


〔根本通明の解釋〕
天水訟の前の卦の需は飲食の道である。飲食の次に生じるのは、慾による争いである。そこで訟の卦となる。『説文解字』によれば、訟は争である。鄭玄の解には「辨財曰訟」とあり、金から争いが生じ、裁判するのが訟である。訟は容易に起こすべきでなく、誰もが尤もと頷く所が必要である。つまり孚(まこと)が無ければならない。孚は坎の象で水である。水の潮汐は正確で間違いが無いことに由来する。また水は危険なものという象でもある。窒は塞ぐの義で、自分の争いの心を引きとめることである。一旦訟えても仲裁の流れが出て来たなら、中頃で止めるのが良い。剛情にして遂げ終えるのは凶である。
[彖傳]
訟の大なる所では上と下との争いになり、上は何処までも剛にして、下を圧制したり税を課したりする。三・四・五爻目の巽の卦は、利益を志向する象である。そうなれば下は抵抗し、危険で険悪なる心が生じてくる。一旦訟を持ち出すも、上から仲裁の諭しがあれば、中頃で訟を取り下げ止めるのが良い。五爻目は中を得ている陽爻で明君であるから、必ず喜んで服する所となるだろう。
[象傳]
天と水は本は分かれて反対になる所があるが、元来は同じものである。訟をするにも何事においても、抑々の始まりを考えてみなければいけない。

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