8/13 (木) ䷖ 山地剥(さんちはく) 二爻

【運勢】

世の中は、酷く衰弱し、耐え難い時にある。

道理に従い、正しさを主張しても良い方に転じないのでとても悪い。

徳のない者を相手にせず、正しさは内に秘めておくと良い。

【原文】
《卦辭》
剝は往く攸有るに利しからず。

彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。

往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。

象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。

《爻辭》
牀(しょう)を剝(はく)するに辨(べん)を以てす。貞を蔑(ないがし)ろにす。凶。

象に曰はく、牀を剝するに辨を以てすとは、未だ與(とも)有らざるなり。

【解釋】
〔王弼、伊藤東涯の卦辭〕
剝は割くの意󠄃である。

下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。

これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。

このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。

〔王弼の爻辞〕
蔑ろは極めて甚だしい言葉である。

辨は足の上である。

剝の道が深刻化している。

転じて物のあるところを滅そうとしている。

柔が長じて正を削る。

物が棄損される。

〔伊藤東涯の解釋〕
辨は牀の幹である。

上下を分辨する。

この爻は剝があって、内卦の中にある。

上に応じる爻がない。

陰が徐々に剝して上る。

進んで牀の幹に及んだ。

また、小人がどんどん盛んになる。

もし君子があって、ともに力を尽くし、志を同じくすれば、小人に勝てる。

その友が居ないので、正しくしていても悪くなる段階となる。

〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
剝は刀で削り取っていくという意味である。

徳の無い者が削り取りながら有徳者にせまっていくところである。

このような時には有徳者は遁れておくのが良いのである。

[彖傳]
剝にはものを破る、落とすという義もあるが、この場合は削り落とすの意󠄃である。

小人が世の中の隅々にはびこっているので、君子たるものはどこにも行かない方が良い。

そして正しい行いをつづけていかなければならない。

今はすべてが陰になろうとしているが、固く道徳を守り、一陽来復に備えておくべきである。

[象傳]
地の上に山がある。

地は民であり、山は君主である。

地が厚ければ山は盤石であるように、民の生活基盤が盤石であってこそ、君主は盤石なのである。

卦の形は牀のようである。

牀とは今の机のことで、一番上の上爻が机で、五爻までの陰爻が足である。

《爻辞》
辨の字平の字と通じており、平らかな板は一番上の陽爻である。

その板までも段々と破って往く。

つまり正しい道を滅ぼして往くから、凶である。

[象伝]
牀(しょう:寝台)の上まで、害するものが上に昇って来るが、未だ正しい者を助けて呉れる者が無い。

其処で何処までも進んで害して往く。

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