【運勢】
道理に従うのなら、未だ動く時では無い。
物事の順序は、秩序を保つ為に重要なので、常に考える必要がある。
社会の秩序は、人間関係の秩序を守る事で、自然と強固なものになるだろう。
【原文】
《卦辞》
婦妹は征けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)无し。
彖に曰はく、歸妹は天地の大義なり。天地交はらざれば萬物興らず。歸妹は人の終始なり。說󠄁(よろこ)びて以て動く。妹を歸く所󠄃なり。征けば凶とは位に当たらざるなり。利しき攸无しとは、柔、剛に乘ずればなり。
象に曰はく、澤上に雷有るは歸妹。君子以て終を永くし敝(へい)を知る。
《爻辭》
六三。妹を歸くに須を以てす。反り歸りて娣(いもうと)を以てす。
象に曰はく、妹を歸くに須を以てすとは、未だ当たらざるなり。
〔王弼の解釋〕
《卦辞》
妹は少女のことである。
兌は小陰で、震は長陽である。
小陰が長陽を承けるので、よろこんで動く。
妹を嫁がせる象である。
陰陽が既に合って長と少が交わった。
天地の大義、人倫の終始と言える。
少女を長男に嫁がせる。
少女は嬉しくない。
不正を犯し、それを喜んで動くのは邪道である。
終には敝を知る。
《爻辭》
主が居るのに進もうとする。
進󠄃むがまだ時に当たっていないので、待たなければならない。
だから帰って時を待つのである。
〔伊藤東涯の解釋〕
《卦辞》
婦人のことを嫁とも歸ともいう。
兌は少女、震は長男である。
これは婦人が嫁ぐ時に礼を失している。
二爻から五爻まで位を得ていない。
三爻と五爻の陰爻が陽の上に居る。
これは陰として正しくない。
夫が先に声をかけて、それに妻は随うのである。
これは天地の大義である。
父母の命、媒酌の言を待ち、礼を尽くす。
その後にそれぞれがその道を尽くして家道󠄃がなる。
正しい道に由らないと、その夫婦は礼儀を乱し、制御できなくなる。
《爻辭》
須は卑しい妾のことである。
程子は須は待つである。
適したところがないという。
陰柔であり不中正。
下卦の一番上に居る。
また兌の主である。
この女は婦德を失っていて人のために取らないものである。
初爻の剛、妹で徳がある。
旣に嫁いだが帰る。
その徳が正しくないので帰るのである。
〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
上卦は震で長男、下卦は兌で少女である。
兄たる六五の天子は、六三の我が妹を以て、諸侯に嫁がせる。
兌は巧言令色で、男子を玩ぶ象がある。
しかし婚姻は必ず男子の方から求めるべきものだから、女子の方から征くのは凶である。
[彖伝]
夫婦の道は、天地陰陽の道である。
陰陽が正しく交わって、萬物が生じる。
天地の大義は、人の大倫である。
孟子も、男女室に拠るは、人の大倫と云う。
兌は說び、震は動く。
これは妹が帰ぐ所の義にあたる。
三爻目の陰が、一・二爻目の陽の上に乗っており、柔が剛を凌ぐ所がある。
これは戒めなければならず、この女が征けば凶である。
[象伝]
澤上に雷がある。
雷が動けば、澤も随って動く。
これは男子が動いて事を行い、女子がこれに応じる象である。
婚姻を終生の永いものとするには、後々弊害が出ないように能く対策し、始めを慎まなければならない。
《爻辞》
天子は妹を縁付けるにあたり、衣服を飾り立てさせず、却って姪娣の方へ譲らせる。
君の袂は、婦人の袂のことを云ったのであり、その美しさは姪娣のそれに劣る。
衣服を飾って寵愛を専らにするようではいけない。
また天子の女であっても、皇后より一等下るようにするのが礼である。
[象伝]
六五の天子は中庸の徳があり、過ぎたことはしない。
そこで天子の女は、なるべく謙遜をして、衣服等を姪娣より劣るようにして嫁入りする。