8/7 (金) ䷒ 地澤臨(ちたくりん) 三爻
【運勢】
とても勢いがあるので、どんな事でも上手く行くだろう。
こう言った好機は長く続かないので、備えておく必要がある。
はっきりと自分の意見を言う事で、その事を堅く守ることが出来る。
【原文】
《卦辭》
臨は元(おほ)いに亨(とほ)る。八月󠄃に至りて凶有り。彖に曰はく、臨は剛浸して長ず。
說󠄁(よろこ)びて順。剛中にして應ず。大いに亨りて以て正し。天の道󠄃なり。八月に至りて凶有りとは、消すること久しからず。
《爻辭》
六三。甘臨(かんりん)す。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。旣に之を憂ふ。咎(とが)无(な)し。
象に曰はく、甘臨(甘臨)すとは、位、當(あた)らざるなり。
【解釋】
〔王弼、通解の解釋〕
《卦辞》
臨は下を見下ろすこと、臨むことである。
下から陽が二つ目まできており、たいへん勢いがある。
また、上から下を見下ろす余裕がある。
今はとても運気が良い。
しかし、八月には悪いことが起きるので、そのための備えを忘れてはならない。
《王弼の爻辭》
甘は佞邪であり、媚びることである。
正しくないことである。
その位になく、剛の長の世にいて、邪説を利用してものに臨む。
それでは良いことはない。
もしそれが危険だと憂うことが出來たなら、道を修正することが出来る。
剛は正を害さない。
だから、その咎めは長くない。
《伊藤東涯の爻辭》
甘臨は甘を以て臨むことである。
この爻は臨の時に在り、陰柔で不中正である。
甘い言葉で人に臨む。
利はない。
ただしその志は剛を尊ぶので、自ずからその誤りに気付く。
憂えて改めれば問題ない。
人の上に立つ道は、剛でなければ物を鎮めることが出来ない。
正しくなければ、人を服させることは出来ない。
苟も剛正を失い、徒に温和な老婆の柔らかい態度で人心を籠絡しようなど考えたら、大変である。
速やかに反省し、咎めが無いようにすべきである。
〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
上卦の坤は岸である。
岸の高い所から、下の水に臨んでいる。
臨は望とは違う。
望は遠くを見ることで、臨は高所から下を見ることである。
天子が尊い位から、下の万民を見るのが臨の卦である。
一・二爻目の陽爻が段々盛んになっていく。
九二は時で言えば旧暦十二月、十二支では丑の月である。
次に三爻目が陽爻となれば地天泰、四爻目が陽爻となれば雷天大壮、五爻目が陽爻となれば沢天夬、上爻が陽爻となれば乾為天、初爻が陰爻となれば天風姤、二爻目が陰爻となれば天山遯、三爻目が陰爻となれば天地否となる。
つまり、二爻目から数えて八ヶ月目に至って凶の卦となる。
[彖伝]
初爻目のみが陽爻の時は一陽来復で、初めて陽気の出た所の卦、地雷復である。
続いて二陽になって此の臨となる。
さらに三陽、四陽と長じて盛んになる。
順は、心が說び行いにも現れる所で、天道に背き違う所の無い所である。
剛中の九二の君子は徳があり、それに六五の天子が応じ、陰陽相和する所がある。
そこで大いに亨る。
明君は己を虚しくして賢人に能く応じるから何事も行われる。
八ヶ月目で凶が出て来るのは、盛んなる中に予め戒めたのである。
[象伝]
地の上の高い所から下を俯瞰する。
君子は思慮深くして物を教える。
深く考えるのが兌の象である。
教えを思うのは兌、無窮というのは坤である。
萬物を生じるのに窮まりが無い。
坤の地は良く兌の水を容れて、能く萬物を生じさせる。
その様に上なる者が人民を能く保って往く所が尤疆である。
《爻辞》
六三は兌が主爻である。
兌は巧言令色の象があり、口先で人を說(よろこ)ばせて立身した。
しかしこれは長く続かない。
これを憂え改めるならば咎は無い。
[象伝]
三爻目は陰爻でありながら陽位に在り不中正である。
その位に在るべき人でないが、巧言令色を以て昇った。
これを憂うなら、咎は長くは続かない。