9/14 (月) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 五爻

【運勢】

誠意が有れば、周りから信頼を得られるので、協力して成果を上げる事が出来る。

大事を行うのにとても良い時である。

中正を守る為には、相手の心情も踏まえて行動する事が大切である。

【結果】 ䷩◎五

風雷益(ふうらいえき) 五爻

《卦辭》

[上爻 少陽][五爻 老陽][四爻 少陰]

[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]

《爻辭》

[五爻]

【原文】

《卦辭》

益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。

彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。

往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。

象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。

《爻辭》

九五。孚有りて惠心。問ふこと勿くして元吉。孚有りて我が德を惠とす。

象に曰はく、孚有りて惠心とは、之を問ふこと勿(な)し。我が德を惠とすとは、大いに志を得るなり。

【解釋】

〔王弼と東涯の解釋〕

《卦辞》

益は増すこと、増やすことである。

䷋否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。

上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。

上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。

《爻辞》

[王弼の爻辞]

位を得て尊󠄄位にある。

益の主爻である。

益の大で、信より大なるものはない。

惠の大で、心より大なるものはない。

民の利する所󠄃によって、これを利す。

恵んで費やさない。

惠の心である。

信は惠の心を以てする。

願いを尽くす。

だから問う前に元吉。

誠があって我が德を恵む。

誠を以て恵む。

そしてこれに応じる。

[伊藤東涯の爻辞]

惠の心は仁恵の心である。

この爻は益があって、陽剛中正である。

尊󠄄位にある。

下の二爻の賢者が応じ、明君が賢臣をえる。

民を利する。

誠の心があり、愛を下に恵む。

至善大吉である。

問うまでもない。

下もまた誠の心があって上に感じる。

その德を以て、恩恵とする。

徳で仁を行うものが王であり、力を以て仁を借りるのが覇である。

仁政を民に及ぼす。

もし至誠の心があれば、天下を益せば、天下の人敬服する。

親は父母を超え、尊󠄄神明を超える。

その心が固まり解けない。

いたずらにそのことがあり、内に誠が無ければ、暫くは服従しても、実は離れる。

五爻にはまことの惠があり、物に及ぼす。

君臣が出合い、天下を益す。

大変な吉である。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

この卦は、前の卦の山沢損と反対である。

山沢損は地天泰より来た。

そして地天泰は天地否から来た。

天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。

坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。

そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。

これで風雷益の卦になる。

これが下を益するという義である。

上卦の震は、農業の卦である。

人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。

それで「利有攸往」である。

こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。

よって「利渉大川」である。

[彖伝]

「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。

そこで民が説(よろこ)ぶ。

陽が段々進んで往けば兌の卦になる。

農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。

出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。

よって「其道光大」となる。

「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。

いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。

「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。

[象伝]

上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。

また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。

つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。

そして過ちがあれば速やかに改める。

震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。

雷山小過は霆(激しい雷)である。

雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。

これは往き過ぎである。

善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。

《爻辞》

九五の天子は、底からの孚があって、民を恵む志が真に厚い。

これを占いで問うには及ばない。

天子は我が徳を以て普く人民を恵む。

[象伝]

天子は我が徳を以て普く民を恵めば、大いに志を得る事が出来る。

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