9/16(金) ䷉ 天澤履(てんたくり) 二爻
【運勢】
相手を敬い尊重し、慎ましく過ごすのに良い時。平静を保つと良い。
安請け合いしてはいけない。
実力が伴わないと、相手からの信頼を失い事態を悪化させてしまう。
俗欲に惑わされる事なく、誠実に生きる事が大切である。
【結果】䷉◎二
天澤履(てんたくり) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 老陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[二爻]
【原文】
《卦辭》
虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨(とほ)る。
彖に曰く、履は柔、剛を履(ふ)む。說󠄁(よろこ)びて乾に應(わう)ず。ここを以て虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨る。剛中正。帝位を履(ふ)みて疚(やま)しからず。光明あるなり。
象に曰く、上天下澤は履。君子以て上下を辨(わきま)へ民の志を定む。
《爻辭》
九二。履の道󠄃坦坦たり。幽人貞なれば吉。
象に曰く、幽人貞なれば吉とは、自ら亂れざるなり。
【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
履は踏むことである。上卦は人で、下卦は虎とされる。下卦の虎が口を開いて人に噛みつこうとしている。人が虎の尾を履んで、大変危うい状況にあるが、機を見るに敏であり助かる。喜んで天命にしたがう心があれば無事に済む。
《爻辭》
[王弼]
履の道謙を尚び、盈つるに處るを喜ばず。務めて致誠に在り、夫の外に飾る者を惡むなり。而して二、陽を以て陰に處り、謙なるを履むなり。内に居りて中を履み、隱顯同じきなり。履道の美、斯に於いて盛をなす。故に道を履むこと坦坦たり。險厄なきなり。在りて幽に貞なり。宜しく其れ吉なるべきなり。
[東涯]
坦坦とは道が平󠄃らなことである。剛中で下に在る。上に応じるものがないが、履み行う所󠄃は道が平坦である。用いられても陥れられても心が乱れることはない。正しくしていれば良い。利害の絡む場合、どうしても予期せぬ事態に巻き込まれてしまう。一方で利害の外に超然としていれば、道は平坦である。天下が乱れている時は、隠れて正しさを守るのが吉である。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
下の兌の卦が虎で、虎は大臣の象である。革命の卦である沢火革では「虎変ず」とある。虎が乾の卦を履んで行く、つまり大臣が天子に咥ひ付くのである。天子が咥ひ付かれないようにするには、後ろに巡って虎の尾を履んで行けば良い。
[彖傳]
「履柔履剛也」は、乾が兌の前にある、つまり陰爻の兌=柔が陽爻の乾=剛を履んでいることである。虎は始めの内は従順であり、佞人(ねいじん:口先巧みにへつらう、心のよこしまな人)の巧言令色の卦である。天子の思召し通りに何でも其れを輔け、段々と立身し大臣と為ったが、いよいよ欲が深くなって君を侵す勢いとなり、天子は迂闊にしていると噛まれてしまう。そこで天子が虎の尾を履めば噛まれることはなく、道が亨るようになる。上九に「其旋元吉」とあり、上卦が下卦の下に旋(めぐ)って入れ替われば、沢天夬となり、虎の尾を履むことが出来る。そのため九五に「夬履」と云っている。沢天夬に「夬、揚于王庭。孚号、有厲」とあるのは、大臣を撃つことである。これを他の注解は全く書いておらず、下らない解釈ばかりである。
[象傳]
上に天があり、下に沢がある。沢は至って低い所であり、天地よりも天沢の方が猶低い所である。二・三・四爻目に離がある。離には礼儀の象意がある。そいて天沢の二字を用いて「辨上下」とある。つまり礼儀として上と下との区別を立てることである。上下の別を辨じて民の志を定めるのである。民は沢の如く、君は天の如きものであり、沢が上がって天に為るべき道は無い。「定民志」は、上を侵すべき道が無いという事が定まっていることである。
《爻辭》