9/21(水) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 上爻
【運勢】
益の極。私欲にまみれ、公に尽くす気持ちを失ってしまう時。
周りから信頼されず、物事は次第に上手く行かなくなるだろう。
献身的な行動が周りを感化する。
相手に寄り添い、誠意を持って正しさを守る事が大切である。
【結果】䷩◎上
風雷益(ふうらいえき) 上爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻]
【原文】
《卦辭》
益(えき)は、往く攸(ところ)有るに利し。大川を涉るに利し。
彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。
象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。
《爻辭》
上九。之を益すことなく、或いは之を撃つ。心を立つること恆勿し。凶。
象に曰く、之を益すことなしとは、偏の辭なり。或いは之を撃つとは、外自り來るなり。
【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
益は増すこと、増やすことである。䷋否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。
《爻辭》
益の極に處り、盈に過ぎる者なり。益を求めて己なく、心恆なき者なり。厭ふなくして之求むれば、人與せざるなり。獨り唱へて和するなし。是れ偏の辭なり。人の道は盈つるを惡み、怨む者は一に非ず。故に或いは之を撃つと曰ふなり。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は、前の卦の山沢損と反対である。山沢損は地天泰より来た。そして地天泰は天地否から来た。天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。これで風雷益の卦になる。これが下を益するという義である。上卦の震は、農業の卦である。人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。それで「利有攸往」である。こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。よって「利渉大川」である。
[彖傳]
「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。そこで民が説(よろこ)ぶ。陽が段々進んで往けば兌の卦になる。農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。よって「其道光大」となる。「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。
[象傳]
上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。そして過ちがあれば速やかに改める。震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。雷山小過は霆(激しい雷)である。雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。これは往き過ぎである。善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。
《爻辭》