11/15(月) ䷾ 水火旣濟(すいかきせい)→䷁ 坤爲地(こんゐち)
【運勢】
堅実に成功を求めるなら、明確な目標を持って行動し、その上で今ある環境を最大限活用する事が大切である。
何気ない積み重ねが大きな力となる。
頼まれた事は素直に引き受け、信頼を得ると良い。
【結果】䷾→䷁
本卦:水火旣濟(すいかきせい)
之卦:坤爲地(こんゐち)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陽][四爻 少陰]
[三爻 老陽][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[五爻][三爻][初爻]
【原文】
《本卦:䷾ 水火旣濟》
旣濟は亨(とほ)る。小、貞に利し。初めには吉、終はりには亂る。
彖に曰はく、旣濟は亨るとは、小なる者、亨るなり。貞に利しとは、剛柔正して位當たる。初めは吉とは、柔、中を得るなり。終に止まれば則ち亂る。其の道󠄃窮まるなり。
象に曰はく、水、火の上に有るは旣濟。君子以て患を思ひて豫め之を防ぐ。
《之卦:䷁ 坤爲地》
坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。彖に曰はく、至れるかな坤元。萬物、資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤、厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物、咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。象に曰はく、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。
【解釋】
《本卦:䷾ 水火旣濟》
〔王弼の解釋〕
旣濟は完全に渡り切ったという意味である。
小は残らず渡り切った。五爻と二爻が位に当たっているので、邪悪なことは出来ない。ただ正しければ上手く行くのである。柔が中を得たら、小はとおるのである。柔は中を得ていないならば、小はまだ通らない。小はまだうまく行っていない。剛で正を得ているといっても、まだ旣に渡り切れていないのである。だから旣濟の要は柔が中を得るにあるのである。旣濟を安定となすのは、道󠄃が窮まり進めないからである。止まるから乱れるのである。存續している時に亡びることを忘れない。旣濟は未濟を忘れてはいけない。
〔東涯の解釋〕
濟は交わり作用しあうことである。火が下に在って炎上し、水は上に在って下を潤す。陰陽が互いに作用していることである。陰陽六爻がそれぞれ正しいところにある。二爻は陰で中を得て、上には坎つまり止がある。だから始めは吉を得て、終には止まってしまい、衰乱の時代になる。治乱盛衰は永遠に互いに作用し続ける。陰陽が交わり互いに作用し、日が南中しているようであり、月󠄃が満月に近い状態である。よくうまく行くといっても、ただ小のみである。大吉ではない。ただ正しさを守るべきである。そうしなければ始めはうまく行っても、終いには乱れるのである。易の戒めるところである。
〔根本通明の解釋〕
水火相和して、萬物悉く生育する。
何事も亨り達する。
小なるものの二爻目は、主爻となり、陰爻を以て陰位にある。
よって中を得て居り、小なるものが正しくして居る。
内卦は始まりで、萬物が盛んになって来るが、半ばを過ぎれば衰えが出て来るから、油断をせずに対策しなければならない。
[彖傳]
二爻目は柔で陰位にあり、九五は剛で陽位にあり、正しく剛柔である。
険難が除けて、天下泰平になる。
安楽になれば人は動かず、為すべきことを怠って、乱れが起って来る。
[象傳]
水火相和しているというものの、性質で言えば分かれる所がある。
水は火の上に在れば宜しいが、水の性質は下を好む。
又火の氣が何処までも上がり、互いに反対に為って相害する所が出て来る。
安楽なる内に災の出ない様に之を防がなければならない。
《之卦:䷁ 坤爲地》
〔王弼の解釋〕
坤は貞によろしい。牝馬によい。馬下にあって行く。牝馬は柔順の至りである。柔順を尽くして後にうまく行く。牝馬の正しいものによろしい。西南は人を養う地である。坤の方角である。だから友を得る。東北は西南の逆である。友を失う。乾は龍を以て天を御し、坤は馬を以て地を行く。地は形の名である。坤は地を用いるものである。両雄は並び立たない。二人主が居るのは危うい。剛健と對をなす。長く領土を保つことが出来ない。順を致していない、地勢が順わない。その勢は順。
〔東涯の解釋〕
坤の爻はすべて陰。順の至りである。牝馬は柔であり強く行く。この卦は柔にして健である。主に遇うとは、陽に遇うことである。西南は陰、東北は陽。順の至りでうまく行く。君子まず行くところがあれば迷い、後に主を得る。西南に行くと友を得て、東北に行くとその友は離れる。正しいことだけをしていれば吉。天の気を承け萬物を生ず。陽に先んじてはならず、陽の後に行けばよい。
〔根本通明の解釋〕
坤は乾と對であり、乾は天、坤は地である。牝馬の話が出るが、これは乾の方が牡馬であることをも示している。臣たるもの、必ず朝󠄃廷に行って君に仕えなければならない。しかし、無学では全く役に立たないから、そのためには朋(とも)をもって助け合わなければならない。西南は坤である。☴巽の卦、☲離の卦、☷坤の卦、澤兌の卦は陰の卦である。そこで、西南に陰の友が集まっている。朋は友と違う。一緒に勉強するもののことを朋というのである。友とは朋の中でも特に親しいものである。朋の字は陰で、友の字は陽である。始めのうちは陰の友達が必要である。そこで西南が良いのである。また、東北は朝󠄃廷を意味する。乾の気で萬物は始まり、坤の気で萬物に形が備わる。坤の卦は地の上に地を重ねているから、地盤は盤石である。天の気がどこまでも拡大していくのに、陰の気はどこまでも従うのである。牝馬が牡馬に従うように、臣下は君主に仕えるのである。先に行こうとしてはいけない。常に後ろについていくべきである。臣下は朋友を失うことになるが、君主に仕えることでそれを克服するだけの喜びを得る。慶(ケイ、よろこ)びは高級な臣下の卿(ケイ)に通じる字である。上に鹿の字が附くが、昔は鹿の皮を以て喜びを述べた。人々が集まってくるのである。
[大象傳]
地が二つも重なっているので盤石である。物を載せても耐えられる。つまり様々なことを任されても耐えられる存在なのである。