11/21(日) ䷩ 風雷益(ふうらいえき) 三爻初爻
【運勢】
信頼出来る仲間と一致団結して、大事を行うのにとても良い時である。
中正を守る為には、相手の心情も踏まえた行動をする事が大切である。
常に備えをしておく事で、災害が起こった時に冷静に対処する事が出来る。
【結果】 ䷩◎三⚪︎初
風雷益(ふうらいえき) 三爻初爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 少陰]
[三爻 老陰][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[三爻 優先][初爻]
【原文】
《卦辭》
益(えき)は、往く攸(ところ)有るによろし。大川を涉るに利し。
彖に曰く、益は上を損して下を益す。民說󠄁(よろこ)ぶこと疆(かぎ)りなし、上より下に下る。其道󠄃大に光なり。
往く攸(ところ)有るに利(よ)しとは、中正(ちうせい)にして慶(けい)有り。大川を涉るに利しとは、木道(もくどう)乃ち行く。益は動いてしかして巽(したが)ふ、日に進むこと疆(かぎ)りなし。天施し地生(しょう)ず。其益方(かた)なし。凡そ益の道󠄃は、時と偕(とも)に行ふ。
象に曰く、風雷は益。君子以て善を見れば則ち遷(うつ)り、過(あやまち)有れば則ち改む。
《爻辭》
[三爻 優先]
六三。之れを益すに凶事を用てす。孚(まこと)有りて中行すれば、公(おほやけ)に吿して圭を用ふ。
象に曰く、「益すに凶事を用てす」とは固く之を有するなり。
[初爻]
初九。大作を爲すに用ふるによろし。元吉。咎なし。
象に曰く、元吉、咎なしとは、下厚事せざるなり。
【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
益は増すこと、増やすことである。
䷋否の上卦の四爻が陽から陰となり、下爻の初爻が陰から陽になっているので、上が損をして下が得をした象である。
上の者が損をして、下の者󠄃を助けることはとても良いことで、また二爻が陰、五爻が陽で、中正であるので、大事業をするのに好機である。
上の者が動けば(震)、下の者が従う(巽)象である。
《爻辭》
[三爻 優先]
凶事とは『通解』によると戦いや葬式である。
三爻は正しいものとは言えないが、上爻の陽と應爻の関係であるから、上爻の援助をうけて特に問題もなく成功する。
その場合、誠の心を以て中道を守って行動する必要がある。
公とは王に次ぐ存在であり、その者に誠心誠意尽くせば、王に見える恩恵を得る。
[初爻]
益の初めに處り、動の始めに居る。夫の剛德を體して、以て其の事に莅む。而して巽に之き、斯を以て大作すれば、必ず大いなる功を獲る。それ下に居りて事を厚くするの地にあらず、卑に在りて重きを任ずるの地にあらず、大作して小功の濟す所にあらず。故に元いに吉にして、乃ち咎なきを得るなり。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
この卦は、前の卦の山沢損と反対である。
山沢損は地天泰より来た。
そして地天泰は天地否から来た。
天地否は、上卦は乾、下卦は坤である。
坤は空しさの象で、人民の困窮する卦である。
そこで九四の陽爻が下りて、初六の陰爻が上る。
これで風雷益の卦になる。
これが下を益するという義である。
上卦の震は、農業の卦である。
人民を富ますのは農業であり、これは何処までも推奨される。
それで「利有攸往」である。
こうして人民が富んでいれば、如何なる大難が起こっても踏み越えて往く所となる。
よって「利渉大川」である。
[彖傳]
「損上益下」とは、天地否の九四の陽爻を一つ損(へ)らして、代わりに初六の陰爻を益すことである。
そこで民が説(よろこ)ぶ。
陽が段々進んで往けば兌の卦になる。
農事が盛んになればなるほど、人民は利益を得る。天の気が地の底に下って万物が生じる。
出で来たものは大きくなって花が咲き草木に光を生じる。
よって「其道光大」となる。
「中正にして慶(よろこ)び有り」とは、中正(二爻が陰、五爻が陽で、爻が定位通りであること)の五爻目の天子に、同じく中正の二爻目が応じることである。
いわば名君と忠臣が相助けて人民を生育する所に、慶びが出で来る。
「木道乃行」とは、震と巽に対応する五行が双方とも木であり、万物が盛んになることである。
[象傳]
上卦が巽=風で、下卦は震=雷である。雷が起こると、風はこれを助ける。
また巽は外卦であり、修飾して能(よ)く齊(ととの)えるという所がある。
つまり外の人が行いを修めて行く所を見れば、周囲の者も自ずから其の方へ従って遷って往く。
そして過ちがあれば速やかに改める。
震には過ぎるという象があり、もし往き過ぎれば、物を害してしまう。
雷山小過は霆(激しい雷)である。
雷は下から上に昇るが、霆は上から打ってくる。
これは往き過ぎである。
善い事も過ぎると害を為すから、これを改めなければいけない。
《爻辭》
[三爻 優先]
「凶事」は飢饉のことである。
震の卦から巽の卦に移る間がちょうど麦の熟する所となる。
三爻目は震の卦の終わりで、春の終わりで夏に移った所となる。
そこへ雷雨が起こり大風が吹けば、麦の方へ害が来る。
すなわち飢饉が起これば、上の方が救わなければいけない。
「有孚」は、二・三・四爻に坤=地があり、これは孚という所がある。
「中行」は過不足の無い中庸の行いで、丁度良い加減で官より米を給わる。
これは国家の大事であり、神前に圭(けい:先端が三角になった玉器)を供えて「公に告ぐ」のである。
[象傳]
官に貯えられた御蔵米は皆人民の方から差上げたもので、固(もと)より人民の有する所の物である。
よって「固有之也」という。
戦争や飢饉に備え、官において九ヵ年分を貯えると定まっている。
[初爻]