12/18(土) ䷉ 天澤履(てんたくり) 上爻初爻
【運勢】
志がどれだけ高くても、実力が伴わない様だと事態を悪化させてしまう。
今迄の行いを省み、出来る事を誠実に進めると良い。
柔軟な対応が必要な時は、相手に対して意志を隠さず、ありのままを伝える事が大切である。
【結果】䷉◎上⚪︎初
天澤履(てんたくり) 上爻初爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[上爻 優先][初爻]
【原文】
《卦辭》
虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨(とほ)る。彖に曰はく、履は柔、剛を履(ふ)む。說󠄁(よろこ)びて乾に應(わう)ず。ここを以て虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨る。剛中正。帝位を履(ふ)みて疚(やま)しからず。光明あるなり。象(しやう)に曰はく、上天下澤は履。君子以て上下を辨(わきま)へ民の志を定む。
《爻辭》
[上爻 優先]
上九。履を視て祥を考ふ。其れ旋れば元吉なり。
象に曰く、元吉、上に在りとは、大いに慶び有るなり。
[初爻]
初九。素履(そり)す。往くときは咎なし。
象に曰く、素履の往くは、獨(ひとり)願を行ふなり。
【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
履は踏むことである。上卦は人で、下卦は虎とされる。下卦の虎が口を開いて人に噛みつこうとしている。人が虎の尾を履んで、大変危うい状況にあるが、機を見るに敏であり助かる。喜んで天命にしたがう心があれば無事に済む。
《爻辭》
[上爻 優先]
禍福の祥、履む所に生ず。履の極に處り、履道成る。故に履を視て祥を考ふべきなり。極に居りて説くに應じ、高くして危ふからず。是れ其れ旋るなり。履の道大いに成る。故に元吉なり。
[初爻]
履の初に處り、履の始めなり。履の道華を惡む。故に素の咎なきなり。履に處るに素を以てす。何ぞ往きて從はざらん。必ず獨り其の願ひを行ふ。物犯すなきなり。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
下の兌の卦が虎で、虎は大臣の象である。革命の卦である沢火革では「虎変ず」とある。虎が乾の卦を履んで行く、つまり大臣が天子に咥ひ付くのである。天子が咥ひ付かれないようにするには、後ろに巡って虎の尾を履んで行けば良い。
[彖傳]
「履柔履剛也」は、乾が兌の前にある、つまり陰爻の兌=柔が陽爻の乾=剛を履んでいることである。虎は始めの内は従順であり、佞人(ねいじん:口先巧みにへつらう、心のよこしまな人)の巧言令色の卦である。天子の思召し通りに何でも其れを輔け、段々と立身し大臣と為ったが、いよいよ欲が深くなって君を侵す勢いとなり、天子は迂闊にしていると噛まれてしまう。そこで天子が虎の尾を履めば噛まれることはなく、道が亨るようになる。上九に「其旋元吉」とあり、上卦が下卦の下に旋(めぐ)って入れ替われば、沢天夬となり、虎の尾を履むことが出来る。そのため九五に「夬履」と云っている。沢天夬に「夬、揚于王庭。孚号、有厲」とあるのは、大臣を撃つことである。これを他の注解は全く書いておらず、下らない解釈ばかりである。
[象傳]
上に天があり、下に沢がある。沢は至って低い所であり、天地よりも天沢の方が猶低い所である。二・三・四爻目に離がある。離には礼儀の象意がある。そいて天沢の二字を用いて「辨上下」とある。つまり礼儀として上と下との区別を立てることである。上下の別を辨じて民の志を定めるのである。民は沢の如く、君は天の如きものであり、沢が上がって天に為るべき道は無い。「定民志」は、上を侵すべき道が無いという事が定まっていることである。
《爻辭》
[上爻 優先]
[初爻]