2/16(水) ䷙ 山天大畜(さんてんたいちく) 上爻
【運勢】
蓄えていた力が溢れ、物事は大きく前進する。
地道な努力が報われる時である。
日々を無為に過ごしていた者は、蓄えなどないので、好機を逃してしまう。
堅実な目標を掲げて、己の信じる道を進む事が大切である。
【結果】䷙◎上
山天大畜(さんてんたいちく) 上爻
《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陽]
《爻辭》
[上爻]
【原文】
《卦辭》
大畜は貞に利(よろ)し。家食󠄃せざる吉。大川を渉るによろし。彖に曰く。大畜は剛健篤實輝光。日にその德を新たにす。剛上りて賢を尚ぶ。能く健を止むるは大正なり。家食󠄃せずして吉。賢を養ふなり。大川を渉るによろしとは、天に應ずるなり。象に曰く、天山中に在るは大畜。君子以て多く前言往行(わうこう)を識して、以てその德を畜(やしな)ふ。
《爻辭》
上九。何ぞ天の衢。亨る。象に曰く、何ぞ天の衢とは道󠄃大いに行はるるなり。
【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
大畜は大きく蓄へる、とどむることである。剛健篤実でますます徳が高くなることを表す卦である。剛い者が最上位に登り、賢者を尊んで賢者を養う。賢者は家から出て朝廷に仕えはじめた。吉である。大事業をするのに良い時である。
《爻辭》
畜の極みに居て、大いに亨る時に至り、どうして止める必要があろう。天衢は天の路である。空の中の広く障害がないことをいう。畜が極り變ずる。吉凶禍福は交互に起こるものである。極まれば通る。止まっていても永遠に留まり続けることはなく、泰であってもずっと泰であることはない。
〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
大畜は、君が臣を止めて畜(やしな)う卦である。大は君のことである。大畜とは反対に小畜という卦がある。小畜は、臣の方が君を止めるという卦である。小は臣のことである。上卦の艮は身体である。三・四・五爻目の震は仁である。また二・三・四爻目に兌は義である。つまり仁義の徳を身の内に具えていることになる。畜の字は、止めるというだけでなく、之を育てて善くするという義がある。徳を十分に養はねばならない。君は、臣の早く出世を求める心を抑えて、十分に学問を以て徳を養わせるのである。また養われる側も、貞所を守るのが良いので、「利貞」という。「不家食吉」とは、学問道徳のある人物は君に用いられ、禄を以て養われる所となる。そのため賢人は家に居って食することは無い。朝廷に招かれた賢人は、危険なことがあっても之を踏み越えて往くのが良い。そこで「利渉大川」という。
[彖傳]
天子に剛健なる徳が具わっている。政務を執っても疲れることがなく、篤実である。篤実は艮の卦の象である。また艮の陽爻が上にあり、光輝く所がある。「日新」というのは、乾の卦で象で、日々昇り沈んでいく太陽である。「其徳剛上」は、上九を指していう。上九は剛にして一番上に居る。
[象傳]
上卦の艮は山、其の山の中に天がある。山中には天の元気が十分に満ちている。火気と水気の働きで草木が良く生じ、禽獣も繁殖する。これが大畜である。「前言」は震の象である。また震は行くという事もある。
《爻辭》
「衢」は街の事であり、四方八方から集まって来る要路の事である。朝廷に出るのは、背中に天を荷う事であり、天に代わって万民を生育する。志が大いに行われ、亨る。
[象傳]
要路に坐って、天より禀けた道徳を十分に行う。道とは天の道であり、萬物を生じ萬物を育う所の道である。