3/19(土) ䷟ 雷風恆(らいふうこう)→䷹ 兌爲澤(だゐたく)
【運勢】
切磋琢磨し、喜びを分かち合うのに良い時。
何事にも意欲を持ち、限りある時間を有意義に使う事が大切である。
百聞は一見にしかず。どんな道も、歩まずに語る事は出来ない。
挑戦する事に価値がある。
【結果】䷟→䷹
本卦:雷風恆(らいふうこう)
之卦:兌爲澤(だゐたく)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 老陰][四爻 少陽]
[三爻 老陽][二爻 少陽][初爻 老陰]
《爻辭》
[五爻][三爻][初爻]
【原文】
《本卦:䷟ 雷風恆》
恒は亨る。咎めなし。貞に利ろし。往く攸あるに利ろし。
彖に曰く。恒は久なり。剛上りて柔下る。雷風相ひ與す。巽にして動き、剛柔皆應ず。恒。恒は亨る。咎めなし。貞によろしとは、その道に久しきなり。天地の道󠄃は恒久にしてやまず。往くところあるによろしとは、終れば則ち始まり有るなり。日月は天を得てよく久しく照らす。四時は変化して、よく久しく成󠄃る。聖人はその道を久しくして天下化成す。その恒とするところをみて、天地萬物の情󠄃見るべし。
象に曰く、雷風は、恆なり。君子以て立ちて方を易へず。
《之卦:䷹ 兌爲澤》
兌(だ)は亨(とほ)る。貞によろし。彖に曰く、兌は說󠄁(よろこ)ぶなり。剛は中にして柔は外。說󠄁(よろこ)びて貞によろし。ここを以て天に順(したが)ひて人に應ず。說󠄁(よろこ)びて以て民に先(さきだ)てば、民その労をわする。よろこびて以て難󠄄を犯せば、民その死をわする。說󠄁の大、民勧むかな。象に曰く、麗澤(れいたく)は兌。君子以て朋友講習す。
【解釋】
《本卦:䷟ 雷風恆》
〔王弼の解釋〕
恒であり享る。恒の道は通り、咎めなく通る。正しくしていれば良い。常道を修めることが終われば、また始まりがある。行って間違いはない。剛が尊く柔が卑しいの順序が得られる。長く陽で長く陰である。互いに成就する。動いて間違えることなく、よく連れ合い、長く続く。窮まることがない。
〔東涯の解釋〕
恒は常、久しいの意である。卦は変じて咸となる。咸の三爻が上に行き四爻となった。上爻が下って初爻となった。剛が昇り柔が下る。雷も風も共に鼓動する。内外全て応じる。だから久しく続き不易である。咎めなく、正しくしておけば良い。作為や粉飾は恒の道でない。必ず駄目になり、長く続くことはない。正しくなければ恒であっても善でない。恒で善であれば何をしても良い。伊尹が畝の中に居て堯舜の道を楽しんだことは、身を終えたことはまさに恒と言えよう。
〔根本通明の解釋〕
「つね」は常と恒の二つがある。「常」の方は幾万年経っても少しも変わる所が無い。しかし「恒」の方は毎日変わり続けて居るが幾万年経っても易わらない所が有る。是は日月の象になり、常の字は日、恒の字は月である。太陽は幾万年経っても大小変化せず、何時も変わらない。しかし月は毎日形が変わって居る。この卦は夫婦の卦である。夫婦は一旦婚姻を結んだ上は何処までも全うすべきものである。しかし人の身の上というものは毎日変わって往く。初爻目は下卦の主であり、四爻目は上卦の主である。また初爻目と四爻目は互いに相応じて居る。其処で正しい所が良い。夫婦力を合わせ心を同じくして事を為せば、一家は段々盛んになり先に進んで往く。
[彖傳]
この卦は元は地天泰で、一番下の陽爻が四爻目に上り、また四爻目の陰爻が一番下に下った。其処で陰陽相交わり雷風恆の卦になった。雷が鳴って動けば、風が従って雷を助ける。雷と風は相離れず、互いに相與しめ、万物を生じさせる。初爻目と四爻目、二爻目と五爻目、三爻目と上爻目、皆剛柔応じて居る。男女の道は天地陰陽の道である。
[象傳]
雷が春に起こって風が是を助ける。雷気の滞る所を風が一帯に吹き散らし、能く気が循環して万物が育つ所がある。君子は陽が外、陰が内という在り方を易えない。
《之卦:䷹ 兌爲澤》
〔王弼、東涯の解釋〕
兌は喜ぶこと、嬉しいことである。この卦は☱が二つ重なってできている。☱は内に强い意志を持ち、外に対しては温和な態度で臨むので、人との付き合いはうまく行き、人間関係は良好である。内に强い意志を持ち、外に対して温和な態度の人は、天道にも、人道にも逆らわない良い人である。喜びを大切にすれば、他の人はどんな労力も厭わずに協力してくれる。
〔根本通明の解釋〕
兌は喜びである。自然と出る喜びが本当のもので、私心からの喜びは偽りである。立心偏のない「兌」が本来のもので、立心偏を添えた「悅」や言偏を添えた「說」になるのは後の事である。彖伝が「說」の字で書くのは、喜びを言葉で表すからである。上卦下卦とも兌であるのは、己と他者が互いに喜ぶ象である。互いに相助ける所があるので、何事も亨るのである。『中庸』に「致中和天地位」とある。この中和が兌の卦にあたる。中庸の道を行い、人がそれに服し、親しみ和合するなら、天地陰陽の気までも調和する。あくまで作られた喜びでなく、正しい所が無ければいけない。そこで「貞利」なのである。
[彖傳]
「兌悅也」というのは、沢山咸の「咸感也」と同様に、「心」の字の有無と同じである。「剛中」は二爻目、五爻目が陽爻で、それぞれ上卦下卦の中を得ていることを云う。「柔外」は三爻目、上爻が陰=柔らかであることを云う。つまり剛は明らかにして正しく、外の人には穏やかで柔らかに交わるのである。それによって自他ともに喜ぶのであり、正しい所にあるのがよろしい。この卦を天地人の三才に分けてみると、上の二爻が天、下の二爻が地、中の二爻が人となる。「天に順い」というのは、五爻目は天の正しい位で、其れに上六が陰爻で順っていることである。また「人に応ずる」は、人にあたる三爻目が陰爻で、地にあたる二爻目が陽爻であるから、人に応じているのである。己が先ず喜びを起こすことで、民も喜び順う。上下和順しているから、民は労苦を忘れて働き、戦争が起これば難を犯して戦ひ、死をも忘れて尽くすのである。
[象傳]
兌の卦を澤と言う。澤は潤うという義で物に湿潤の気を含んでいる。『国語』の「周語」に、澤は美(水)を鐘(あつ)めるとある。これが麗澤である。