8/22(月) ䷆ 地水師(ちすゐし)→䷍ 火天大有(かてんたいゆう)
【運勢】
厳しく結果が求められる時。
力強く目標を掲げ、模範を示すと良い。
初志貫徹。一度決めたら最後までやり遂げる事が大切である。
善事を勧め、悪事を懲らす。価値観を遍く共有する事が大切である。
【結果】䷆→䷍
本卦:地水師(ちすゐし)
之卦:火天大有(かてんたいゆう)
《卦辭》
[上爻 老陰][五爻 少陰][四爻 老陰]
[三爻 老陰][二爻 少陽][初爻 老陰]
《爻辭》
[上爻][四爻][三爻][初爻]
【原文】
《本卦:䷆ 地水師》
師は貞なり。丈人なれば咎なし。
彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以て正す。以て王たるべし。剛中にして應ず。險を行ひて順。此れを以て天下を毒し、而して民之に從ふ。吉又何の咎あらんや。
象に曰く、地中に水あれば師。君子以て民を容れ衆を畜(たくは)ふ。
《之卦:䷍ 火天大有》
大有は元(おほ)いに亨る。
彖に曰く、大有は柔尊󠄄意位を得て、大中にして上下之に應ず。大有といふ。その徳剛健にして、文明。天に應じて、時に行く。是を以て元いに亨る。
【解釋】
《本卦:䷆ 地水師》
〔王弼の解釋〕
丈人とは莊󠄂嚴の称である。師の正しいものである。戦争が起こり民を動かす。功罪はない。だから吉。咎めはない。毒は戦争のことである。
〔東涯の解釋〕
師は衆のことである。古は陳では五人を伍とした。それを集めて二千五百人になると師といつた。だから師とは軍のことである。内卦は水で外卦は地である。二爻のみが陽である。衆陰をすべて下卦に居る。丈人は老成した人のこと。二爻は剛中で応じている。主爻である。険難の時にあり、柔順である。天下に戦争の危機があり、人々は従う。老成の優秀な人を得て成功する。古より兵法には二つある。暴徒を誅し、乱を平らげ、民の害を除くのが兵を用いる時の根本である。良將を任じればよく尽くしてくれるので兵の要である。だから先王は戦えば必ず勝利したのである。土地は人民が居るところである。君子は庶民をよく束ねて軍団を維持する。普段は生業を保証し、戦争の時は軍人として招集したのである。
〔根本通明の解釋〕
師は師(いく)さの卦である。師さには、軍と師と旅と三つある。軍(いく)さは一万ニ千五百人、その次の師さは二千五百人、その次の旅(いくさ)は五百人である。此処で師と云うのは、軍と旅とを内に兼ねる意味である。師さを用いるには、正当性がなければいけない。丈人は年の長じた人のことである。これは先に生まれたものであり、次男や三男でなく、長子であれば吉である。戦争に勝った上に、正しい師さである故、咎が無い。
[彖傳]
国内の人民を以て兵を組立て、以て無道なる者を討って、之を正しくする。そうして天下に王たるべき徳が成る。二爻目が陽爻であり、剛中を得て居る。中庸の徳があり、天下悉く応じる所がある。毒の字は馬融の解に「毒者治也」とある。毒薬を以て邪を除いて能く治まる所がある。師さに勝って、その正しき所を見れば、之を咎める者も無い。
[象傳]
外卦は坤で地、内卦は坎で水である。其所で地の中に水があるという象である。また坤は国であり、地中に水が含まれているように、国内の男子は皆兵隊である。君子は多くの民を能く畜(やし)なう。
《之卦:䷍ 火天大有》
〔王弼の解釋〕
大いに通らない。どういう理由で大有を得られよう。大有ならば必ず大吉である。五爻は尊󠄄位に柔でいる。中に居るのは大である。陰が一つしかない。上下応じている。德が天に應ずれば、行くに時を失わない。剛健は滞らない。文明犯さず。天に応じれば大。時行きて違わない。だから大いに通る。大有は包容の象である。だから勧善懲悪が美しいのである。天德を順奉し。ものの命を休す。
〔東涯の解釋〕
大有はそのあるところが大。五爻は柔中尊󠄄位にいる。上下の五つの陽がこれに応じている。盛大である。大とは陽のことで陽が沢山ある。五爻が二爻と応じている。これは智勇兼備である。五爻に澤山の賢人が集まり、天命も之を助ける。勝道󠄃というべきである。
〔根本通明の解釋〕
この卦は、大なる物多しと云うのは、天下皆賢人と云う義である。賢人が多ければ、何事も亨らないことが無い。「有」の字は富むという義、また多いという義にもなる。『詩経』の魚麗篇に「旨且有(うまくして、かつ、おおし)」とあり、多いという義である。「大有」は、「大いにある」と読んでは駄目で、「大なる物が多い」という義である。大なる物は五爻目以外の陽爻で、大人・君子・賢人のことである。しかしその様な人才は容易に得難く、盛んなる世であった堯舜の時で臣五人、周の国で十人しかなかった。
[彖傳]
賢人が多く朝廷に出で来、君は能く賢人の言を用いる。上に居る賢人も、下に居る賢人も、皆君に応じて来る。大中は、上卦が元は乾だったのが、真ん中に陰爻が出来たことを云う。この卦を一人の天子の徳で言えば、剛健であり、時に従って能く行う。
[象傳]
火気が地の底から十分に上に昇って居り、万物が盛んになる所である。下卦は乾の卦であるから十分に充ちている。天下は至って富んでおり、人民は生活に不足が無い。しかし三、四、五爻目には、兌の卦があり、楽しみに流れる傾向がある。其処で、盛んな時には悪い者を遏(とど)め、善を掲げる。何時の世でも、名君の時でも、悪人を無くすのは難しい。この卦では、九四が悪人である。この大臣は、君に諂う所を以て立身した人で、表面上は君子のようで君子では無い。