明夷は艱貞に利し。彖に曰はく、明󠄃地中に入るは明󠄃夷。内文明にして外柔順。以て大難を蒙る。文王之を以てす。艱貞に利しとは、その明りをくらますなり。内難󠄄にしてよくその志を正す。箕子(きし)を以てす。六二。明󠄃夷。左股をやぶる。用て拯(すく)ふ。馬壮なり。吉。
明󠄃夷は光明がくらまされることである。
明徳ある人が外面に柔順であるので、徳のないものに傷つけられてしまったのである。
昔、殷代の末期、暴君の紂王が聖人の文王を羑里(ゆうり)というところに幽閉したのと同じである。
また殷の名臣であった箕子(きし)は、紂王の暴政に、心中多くの辛いことを抱えながらも、志を正し続けたのである。
二爻は左の股を傷つけたとある。
これはまだ軽傷であり、幸い馬は元気なので、困難を克服できるとする。
大きな障害を受けて、自力ではどうする事も出来無い。
けれど心配は要らない。
志を同じくする仲間に協力してもらい、最後には報われるだろう。