恒は亨る。咎めなし。貞に利ろし。往く攸あるに利ろし。彖(たん)に曰はく。恒は久なり。剛上りて柔下る。雷風相ひ與す。巽にして動き、剛柔皆應ず。恒。恒は亨る。咎めなし。
貞によろしとは、その道に久しきなり。
天地の道󠄃は恒久にしてやまず。
往くところあるによろしとは、終れば則ち始まり有るなり。
日月は天を得てよく久しく照らす。
四時は変化して、よく久しく成󠄃る。
聖人はその道を久しくして天下化成す。
その恒とするところをみて、天地萬物の情󠄃見るべし。
九三。その徳を恒にせず。
或いはこれが羞を承く。
貞なれども吝なり。
恒は変わらないこと、久しいこと。
何事も長く続けることで、邪悪に誘われて横道に逸れることもなく、変化しつつも変わらないことが大切である。
太陽や月、四季が恒久的に維持されることから、天地万物が生育する意󠄃味を知る。
三爻は有力者に従って利を得ようとするばかりで、恒の徳を守らず、節操がない。
こういう人は根本から心を改めなければならない。
そうしないと恥をかくことになる。
事なかれ主義は、大切な処世術の一つだ。
しかし、これでは八方美人になり、信頼は得られない。
信頼を得る為には、芯を持った発言や行動が重要になる。
一度決めた道は貫き通す、そういった強い意志が必要である。