同人野に于てす。亨る。大川を渉るに利ろし。君子の貞に利ろし。彖に曰はく、同人は柔位を得、中を得る。而して乾に應ず。同人といふ。「同人野においてす。亨る。大川を涉るによろし。」とは、乾行くなり。文明にして以て健。中正にして應ず。君子の正なり。九四。其の墉に乗る。攻むる克(あた)はず。吉。象に曰はく、「其の墉に乘る」は、義あたはざるなり。其の吉はすなはち困みて則にかへるなり。
同人とは人が互いに心を同じくすること、共に同じ目標を有することである。
天(日)と火は同じ火の性である。
野は広い場所のことで、狭い集団での友情も大切であるが、より広い範囲で人と交流することが、大きなことを成し遂げる際には必要である。
そのためには正直で、正しい心を大切にしなければならない。
四爻は城の塀に登って五爻に攻めかかろうとしたが、この同人の卦の五爻は道理にかなって堂々としているから、攻撃を断念せざるを得なかった。
しかし、それがかえって良かった。
道理にかなった者を攻撃することは間違いである。
四爻は法則に遵う正しい在り方に戻ったのである。
新しい事を始める時、最初は勝手が分からないので、上手く進めるために、皆で協力して取り掛かる。
しかし、暫くして勝手が分かると、一人でできる様になる。
力を出し合っていた者達は、自分の能力が不要になったと思い、不安になるかもしれないが、案ずる事は無い。