坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。彖に曰はく、至れるかな坤元。萬物資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承く。坤厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。象に曰はく、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。六四。嚢を括る。咎もなく、譽れもなし。象に曰はく、嚢を括る。咎もなく、譽れもなしとは、慎めば害あらざるなり。
坤は地、臣、妻等の象である。
牝馬は柔順で無限にどこまでも走る。
坤德を有する有徳の賢臣が大志を抱いている。
臣下は何事も王命を待って行動するものである。
西南は陰の方角であり、友を得ることができる。
一方、東北は陽の方角で陰の友を失ふが、最終的には良い。
常に穏やかに正しくあれば吉である。
四爻は賢い宰相である。
物を袋に納めておくように、自分の能力を隠しているので、華々しい功績は得られないが、過ちもおかさない。
不安や迷いがある時、進むべきか止まるべきか選択を迫られる。
今は、世の中全体が不安定であるので進むべき時ではない。
そうすれば、褒められることもないが、災いも起きないだろう。