6/17 (水) ䷉ 天澤履(てんたくり) 四爻

【運勢】

目的と手段を間違えてはいけない。

柔軟な対応をして、時には、目的の為に重役を降りる事なども考えなければならない。

様々な要因によって、危ない状況に陥る可能性があるが、誠実に生きれば大丈夫である。

【原文】
《卦辭》
虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨(とほ)る。彖に曰はく、履は柔、剛を履(ふ)む。說󠄁(よろこ)びて乾に應(わう)ず。ここを以て虎の尾を履(ふ)む。人をくらはず。亨る。剛中正。帝位を履(ふ)みて疚(やま)しからず。光明あるなり。象(しやう)に曰はく、上天下澤は履。君子以て上下を辨(わきま)へ民の志を定む。

《爻辭》
九四。虎の尾を履む。愬愬(さくさく)たり。終(つひ)に吉なり。象に曰はく、「愬愬(さくさく)たり。終ひに吉なり」とは、志行はるるなり。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辞》
履は踏むことである。

上卦は人で、下卦は虎とされる。

下卦の虎が口を開いて人に噛みつこうとしている。

人が虎の尾を履んで、大変危うい状況にあるが、機を見るに敏であり助かる。

喜んで天命にしたがう心があれば無事に済む。

《爻辞》
虎の尾を履むような恐ろしい状況であるが、常に恐れを持って行動している。

その慎しみが上に伝わり目的を達成できる。

〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
下の兌の卦が虎で、虎は大臣の象である。

革命の卦である沢火革では「虎変ず」とある。

虎が乾の卦を履んで行く、つまり大臣が天子に咥ひ付くのである。

天子が咥ひ付かれないようにするには、後ろに巡って虎の尾を履んで行けば良い。

[彖伝]
「履柔履剛也」は、乾が兌の前にある、つまり陰爻の兌=柔が陽爻の乾=剛を履んでいることである。

虎は始めの内は従順であり、佞人(ねいじん:口先巧みにへつらう、心のよこしまな人)の巧言令色の卦である。

天子の思召し通りに何でも其れを輔け、段々と立身し大臣と為ったが、いよいよ欲が深くなって君を侵す勢いとなり、天子は迂闊にしていると噛まれてしまう。

そこで天子が虎の尾を履めば噛まれることはなく、道が亨るようになる。

上九に「其旋元吉」とあり、上卦が下卦の下に旋(めぐ)って入れ替われば、沢天夬となり、虎の尾を履むことが出来る。

そのため九五に「夬履」と云っている。

沢天夬に「夬、揚于王庭。孚号、有厲」とあるのは、大臣を撃つことである。

これを他の注解は全く書いておらず、下らない解釈ばかりである。

[象伝]
上に天があり、下に沢がある。

沢は至って低い所であり、天地よりも天沢の方が猶低い所である。

二・三・四爻目に離がある。

離には礼儀の象意がある。

そいて天沢の二字を用いて「辨上下」とある。

つまり礼儀として上と下との区別を立てることである。

上下の別を辨じて民の志を定めるのである。

民は沢の如く、君は天の如きものであり、沢が上がって天に為るべき道は無い。

「定民志」は、上を侵すべき道が無いという事が定まっていることである。

《爻辞》
九四は天子を輔ける者である。

乾は兌の下に旋(め)ぐる。

四爻目は初爻の下に、五爻目は旋ぐった四爻目の下に、上爻は旋ぐった五爻目の下に旋ぐる。

このように旋ぐると四爻目が虎の尾を履む位置となる。

虎である九三の大臣を撃つのに、九四が手を下す象になる。

危険な所であるから、懼れなければいけない。

「愬」には懼れるという意味がある。

しかし逆賊を除く所であるから、一旦懼れ慎みはするが、終(つい)には虎を撃つことになる。

そこで「終吉志行也」となるのである。

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