6/29 (月) ䷋ 天地否(てんちひ) 上爻

【運勢】

道理に合わない物事が多くなり、世の中が欲で乱れてしまう。

徳を重んじる考えは理解されづらく、更に非難を浴びる可能性すらある。

志高い者達が否を正して行く事で、最後には平和を取り戻すだろう。

【原文】
《卦辭》
否は之(こ)れ人に匪ず。君子の貞によろしからず。大は往き、小は來る。

彖に曰はく、「否は之れ人に匪ず。大は往き小は來る」とは、則ち是れ天地交はらずして、萬物通ぜざるなり。上下交はらずして天下邦无(な)きなり。内、陰にして外、陽。内、柔にして外剛。内小人にして外君子なり。小人は道󠄃長じ、君子は道󠄃消ゆるなり。

象に曰はく、天地交はらざるは否。君子以て德を儉し難を避け、榮するに禄を以てすべからず。

《爻辭》
上九。否を傾く。先には否にして後には喜ぶ。象に曰はく、否終はるときは則ち傾く。何ぞ長かるべきや。

【解釋】
〔王弼、通解の解釋〕
《卦辞》
否は塞がる、匪人は悪人の意󠄃味である。

天地が通じず、上下の意思が通わない様を表す。

世の中が乱れる時である。

君子が正しくしていても、臣下や国民には伝わらない。

悪人が栄え、有徳者は德を隠す。

このような時には、徳のある者は徳を隠し、控えめにするのが良い。

《爻辞》
長く世が乱れていたが、漸く否の時が終わりそうである。

始めは傾いているが、後には通じて喜びにかわる。

否の時は長続きしないものである。

〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
否は塞がるの義である。

天地陰陽の気が塞がっている。

これは地天泰と反対である。

こうした隔絶をつくったのは匪人である。

匪人は人間でなく、悪の最も大なるものである。

君子が正しい政治を行っても災を受け、小人が権力を握る。

このような状態では咎を無くし、誉も出ないように謹慎しなければ危うい。

大往小来は、陽が外の方へ往ってしまい、陰ばかりが内側に来ることである。

[彖伝]
天の気が上にあり下に降ってこない。

地の気は下に滞って上に騰がっていかない。

天地の気が交わらなければ、萬物は生長して往かない。

上は上で高振って下を顧みず、下は下で上を上と思わず尽くす所が無い。

君臣の道も、親子の道も無く、禽獣の住む所と変わらず、人間の国ではない。

外卦は陽爻で内卦は陰爻である。

これを一人の小人とすれば、内の心は柔弱で陰、外は無理に剛を偽って拵える。

朝廷とすれば、内にばかり在って政務を執るのは小人、外に出て遠くの田舎にまで往くのは君子である。

世の中が欲ばかり盛んになれば、道徳は廃れ、君子の正しい道は段々と消滅してくる。

それを小人の道が長じて、君子の道が消するという。

[象伝]
天地陰陽の気が調和せず、萬物は害を受け、人間の身体も病弱になる。

君子は我が身を全うすることを心掛け、なるべく徳を内に仕舞込んで用いない。

徳を外に顕すと小人に憎まれて必ず害を受ける。官から禄を与えるといっても、出れば害に遭うから賢人は出てこない。

そこで営するに禄をもってすべからず。

後世の本には「栄」の字で書いてあるが、古い方の「営」が正しい。

《爻辞》
人が否を傾け泰平にする。

先には否であるが、後には喜びが出る。

[象伝]
否が終わるのは自然に終わるのではなく、人の力で傾けたのである。

乱れた天下を志あるものが力を合わせて治めなければいけない。

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