7/16 (木) ䷮ 澤水困(たくすいこん) 四爻

【運勢】

困難に遭っても、焦らずに、「冷静沈着でいる事」を心掛けると良い。

言葉では無く、「行動で示す事」が信頼に繋がるだろう。

困難な時こそ真価が問われるので、「努力を惜しまない事」が大切である。

【原文】

《卦辭》

困は亨(とほ)る。貞なり。大人は吉にして咎なし。言ふ有り。信ぜられず。

彖に曰はく、困は剛、揜(おほ)はるるなり。險以て說󠄁(よろこ)ぶ。困みてその亨るところを失はず。それただ君子のみか。貞なり。大人は吉。剛中を以てなり。言有り。信ぜられずとは、口を尚(たうと)べば乃ち窮まるなり。

象に曰はく、澤に水なきは困。君子以て命を致して志を遂ぐ。

《爻辭》

九四。來ること徐々。金車(きんしや)に困(くる)しむ。吝(りん)なれども終はり有り。

象に曰はく、來ること徐々とは、志下に在るなり。位に當(あた)らずと雖(いへど)も、與(とも)有るなり。

【解釋】

〔王弼、伊藤東涯の解釋〕

《卦辞》

困は苦しむことである。

しかし、最後は苦しいながらも屈することなく困難から脱出できるだろう。

正しく生きるということは元々困難なものである。

それでも正しいことを続けていかなければならない。

徳のない人にはできないことである。

口で立派なことを言っているだけでは駄目である。

行動が伴わないと信用されない。

《爻辭》

四爻は初爻を志しているが、二爻の金車(堅い車)に邪魔されている。

金車とは二爻である。

陽爻で剛く、物を載せるのによい車である。

気の合う者󠄃がいても、間に障害があってなかなか会えないで困っている。

しかも、初爻と二爻とは相性が良い。

しかし、四爻は初爻と応じており、我慢すれば最終的には初爻と会うことが出來る。

〔根本通明の解釋〕

《卦辞》

上卦の兌は堤防で水を止めて置く所である。

他方、下卦の坎は流れる水である。

つまり堤防の底から水が流れており、貯えた水が尽きて無くなる。

即ち水不足による困となる。

『説文解字』には、古廬(古き家)とあり、家の用を為さないことが困とある。

しかし人というものは、困難に遭うことで益々奮発し気力が振るう。

其れで大いに亨る所がある。

孟子にも、天が国家の大事を任せ得ると思う人間に対しては、天の方から困難を与えるとある。

九二は剛中で中を得ており大人(たいじん)であるが、初爻と三爻目の二陰=小人(しょうじん)に一陽が挟まれている。

つまり君子が小人の為に苦しめられる所の象である。

もし讒言に罹っても、正しきを弁ずるのはいけない。

ここで君子は争わずに時を待たねばならない。

[彖伝]

「剛弇(おお)はるる」というのは、二爻目が陰爻に挟まれていることである。

「険以説」というのは、困難の中にあって困らず、身が苦しくても心は道を失わず、亨る所となる。

「言あるも信ぜられず」というのは、困難に遭った時に正しい所を弁じてはかえって窮する。

それで言わない方が良いのである。

[象伝]

水が無くなり窮する所となるが、君子は天より享けた命=道徳を行う。

何処までも履(ふ)んで行こうとする志を遂げるのである。

《爻辭》

四爻は初爻と応じており、四爻は陽爻、初爻は陰爻で陰陽も応じていて、非常に相性が良い。

しかし、初爻は小人である。

徳が無い。

その諸初爻が助けを求めるので四爻は助けに向おうとするが、何分初爻は信用できないので、二の足を踏んでいる。

しかも、二爻の賢人が初爻のところに行ってはならないと教え諭す。

初爻を助けたいという気持ちに悩まされるが、二爻の諫めもあって、初爻のところに行かず小人と関わらずに済んだ。

[象傳]

志が下に在るというのは、四爻が初爻を助けようとすることである。

四爻は陰の位に陽でいるが、二爻の賢人の助けを得て、世の中を救うことが出來る。

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