7/22 (水) ䷿ 火水未濟(かすいびせい) 上爻

【運勢】

何事にも恐れず、意欲的であるから、思った通りに物事が進むだろう。

素直な心を持ち続けているのでとても良い。

しかし、今の心持ちを忘れてしまうと、大きく転ずるので、注意しなければならない。

【原文】

《卦辭》

未濟は亨(とほ)る。小狐、汔(ほとん)ど濟(わた)る。其の尾を濡らす。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。

彖に曰はく、「未濟は亨る」とは、柔、中を得るなり。「小狐、汔(ほとん)ど濟(わた)る」とは、未だ中に出でざるなり。「其の尾濡らす利しき攸无し」とは、續いで終らざるなり。位に當たらざると雖も、剛柔應ずるなり。

象に曰はく、火、水上に在るは未濟。君子以て愼みて物を辨(わきま)へて方に居る。

《爻辭》

上九。飲酒に孚(まこと)あれば、咎(とが)なし。其の首を濡らせば孚有れども是を失ふ。

象に曰はく、「酒を飲みて首を濡らす」とは、亦節󠄄を知らざるなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辭》

柔が中にあり、剛に違わない。

よく剛健を納めるので、うまく行く。

小狐が大きな川を渡ることができない。

あと少しの所󠄃で実現できない。

剛健が難を抜き、その後に可能になる。

ほとんどわたれるが、危険を脱することができない。

小狐渡れるだろうが、余力がない。

もう少しで渡れるのであるが、力尽きる。

終わりまで続けられない。

今も険難の時である。

未濟はまだ険難の時が終わらないの意󠄃味である。

位に当たらないので未濟である。

剛柔が応ずれば済む。

《爻辭》

未濟の極みである。

既濟の逆である。

任ずるところは当たる。

任せるところが当たると、信じられる。

疑いなくして喜ぶ。

だから飲酒にまことがあり、咎められないという。

よく物を信じられるので、喜びを得る。

事が廃れるのを恐れないが、楽しみに耽ることが甚だしく、節󠄄を失するまでに至る。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

未濟は事が成就しないことである。

火が上に在り、水が下に在る。

上下交わらない。

互いに用いないので未濟という。

五爻は柔で中にいる。

ことはよく通󠄃るが、初爻は陰で一番下にいて中に到らない。

狐は陰の存在であり、積極的にやろうとすると失敗に終わる。

始めはうまく行く。

そして、下に止まっていればよいのである。

いたずらに難局を打開しようとすれば失敗する。

君子は外は時勢を見て、内は己の才をはかる。

上が陽で下が陰である。

互いに妨害しない。

《爻辭》

上爻は剛明󠄃の才を以て最上の位に居る。

不安が無いわけではないが、天命に任せているので楽しみがあり、不安を忘れる。

ただし、楽しみに耽るのが度を越せば、其の首を濡らすに至るという。

注意しなければならない。

〔根本通明の解釋〕

《卦辭》

下は水上は火である。

水は低きにあり火は上に昇るもので、居るべき場所にいるが、互いに和することが無い。

互いが作用しないので、萬物が創造されない。

しかし、両者あるべき場所に在る。

しかし、いずれは互いに動き出し、交わり始めるのである。

だから最終的には亨るのである。

☵坎は狐である。

この卦の場合、小さな狐である。

それが川を渡ろうとするが、終にはしっぽを濡らしてしまう。

狐は川を渡る時にしっぽを濡らさないようにあげている。

疲れてくるとしっぽが下がり、水につかって驚いて引き返してしまう。

忍耐力が無いのである。

忍耐力が無いと何事をしてもうまく行かない。

気力が無いと何事も達成できないのである。

[彖傳]

柔が中を得ている。

五爻のことである。これが主爻である。

また初爻に關しては、あと少しのところまでやって、忍耐力なく引き下がる。

この卦全体でみると、ことごとく全て位を外している。

陰は陽に居て、陽は陰に居る。

しかし、隣同士陰陽で相性が良く、うまく行っている。

また、初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻、それぞれ応じている。

最終的にはうまくいくのである。

[象傳]

火は南に居り、水は北に居る。

自分の居場所をはっきりとしていて、混じるところが無い。

何事もはっきりと分ける象である。

☲離はものを明󠄃らかにする。

それぞれが自分のいる場所にいることを示している。

《爻辭》

上爻は戦も終わって君臣相和らいで宴会を開いている。

宴会の時も君臣、よく身分を弁えていれば間違いがない。

安楽に耽って、だんだん増長するようではいけない。

[象傳]

飲酒が行き過ぎて節度が無くなる。

宴会もほどほどでやめなければならない。

折角太平になっても、節度を忘れて安楽に耽ってばかりいると、また乱世になってしまう。

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