7/28 (火) ䷁ 坤爲地(こんいち) 五爻

【運勢】

物事の土台がしっかりしており、秩序が乱れる事は無い。

人間社会での価値観に囚われると、先に進めなくなってしまうだろう。

率先して、物事に取り組む事で、人々に君子の道を説く事が出来る。

【原文】

《卦辭》

坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。彖に曰はく、至れるかな坤元。萬物、資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤、厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物、咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。象に曰はく、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。

《爻辭》

六五。黃裳は元吉なり。

象に曰はく、「黃裳元吉」とは、文、中に在るなり。

【解釋】

〔王弼の解釋〕

《卦辭》

坤は貞によろしい。

牝馬によい。

馬下にあって行く。

牝馬は柔順の至りである。

柔順を尽くして後にうまく行く。

牝馬の正しいものによろしい。

西南は人を養う地である。

坤の方角である。

だから友を得る。

東北は西南の逆である。

友を失う。

乾は龍を以て天を御し、坤は馬を以て地を行く。

地は形の名である。

坤は地を用いるものである。

両雄は並び立たない。

二人主が居るのは危うい。

剛健と對をなす。

長く領土を保つことが出来ない。

順を致していない、地勢が順わない。

その勢は順。

《爻辭》

黄色は中の色である。

裳は下を飾る。

坤は臣の道󠄃。

下を飾り、剛健さが無い。

そして物の情勢を極める。

理を通す。

柔順にして尊󠄄位にいる。

武を用いるのは良くない。

陰が盛んで、陽に変わられることも予想できない、文人が中を得る。

美の極みである。

大吉。

〔伊藤東涯の解釋〕

《卦辭》

坤の爻はすべて陰。

順の至りである。

牝馬は柔であり強く行く。

この卦は柔にして健である。

主に遇うとは、陽に遇うことである。

西南は陰、東北は陽。

順の至りでうまく行く。

君子まず行くところがあれば迷い、後に主を得る。

西南に行くと友を得て、東北に行くとその友は離れる。

正しいことだけをしていれば吉。

天の気を承け萬物を生ず。

陽に先んじてはならず、陽の後に行けばよい。

《爻辭》

黃は中の色である。

上を衣と言い下を裳という。

この爻は柔順中正で最尊󠄄位に居る。

自ら其の裳を着る。

元吉である。

君子の徳は人に承認されることを求めない。

盛徳の至りである。

坤は地の道󠄃である。

だから五爻だからと言って君主ではない。

ただ君子の道󠄃を言う。

〔根本通明の解釋〕

《卦辭》

坤は乾と對であり、乾は天、坤は地である。

牝馬の話が出るが、これは乾の方が牡馬であることをも示している。

臣たるもの、必ず朝󠄃廷に行って君に仕えなければならない。

しかし、無学では全く役に立たないから、そのためには朋(とも)をもって助け合わなければならない。

西南は坤である。

☴巽の卦、☲離の卦、☷坤の卦、澤兌の卦は陰の卦である。

そこで、西南に陰の友が集まっている。

朋は友と違う。

一緒に勉強するもののことを朋というのである。

友とは朋の中でも特に親しいものである。

朋の字は陰で、友の字は陽である。

始めのうちは陰の友達が必要である。

そこで西南が良いのである。

また、東北は朝󠄃廷を意味する。

乾の気で萬物は始まり、坤の気で萬物に形が備わる。

坤の卦は地の上に地を重ねているから、地盤は盤石である。

天の気がどこまでも拡大していくのに、陰の気はどこまでも従うのである。

牝馬が牡馬に従うように、臣下は君主に仕えるのである。

先に行こうとしてはいけない。

常に後ろについていくべきである。

臣下は朋友を失うことになるが、君主に仕えることでそれを克服するだけの喜びを得る。

慶(ケイ、よろこ)びは高級な臣下の卿(ケイ)に通じる字である。

上に鹿の字が附くが、昔は鹿の皮を以て喜びを述べた。

人々が集まってくるのである。

[大象傳]

地が二つも重なっているので盤石である。

物を載せても耐えられる。

つまり様々なことを任されても耐えられる存在なのである。

《爻辭》

鄭玄(じょうげん)の説に従うと、舜が堯に試されて政治をし、周󠄃公が成王が幼少だったので政をしたことを表すという。

坤は臣たるべきものであり、五爻の君主の座にいるはずがない。

それなのに鄭玄は臣下が君子を代行したという。正しいことではない。

鄭玄は『書経』の注釈で周󠄃公旦が王位についたかのような書き方をしているほどである。

この坤は陰であるから、皇后を表すとするのが正しい。

腰より下に着るものを裳といい、腰より上に着るものを衣という。

衣裳の衣が天子、裳が皇后である。

黄色は五行の土の色である。

乾爲天の五爻の王の配偶の皇后である。

だから元吉である。

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