8/31 (月) ䷑ 山風蠱(さんぷうこ) 上爻

【運勢】
一つの時代が終わりを迎えるが、いつまでも時代に縛られて居てはいけない。

広い視野を持つ事で、潔く終わりの時を迎える事が出来るだろう。

今後は社会の良心として、次なる時代の手本となる事が大切である。

【結果】 ䷑◎上
山風蠱(さんぷうこ) 上爻

《卦辭》
[上爻 老陽][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陰]

《爻辭》
[上爻]

【原文】
《卦辭》
蠱は元いに亨る。大川を渉るに利し。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。

彖に曰はく、蠱は剛上りて柔は下る。巽にして止まるは蠱。蠱は元いに亨る。而して天下治まるなり。大川を渉るに利しとは、往きて事有るなり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日とは、終はる時は則ち始め有り。天の行なり。

象に曰はく、山の下に風有るは蠱。君子以て民を振し、德を育(やしな)ふ。

《爻辭》
上九。王侯に事(つか)へず。其の事を高尚にす。

象に曰はく、王侯に事へずとは、志則るべきなり。

【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
下の剛は制を断じ、上の柔は令を施すべし。

旣に巽また止まり、競争しない。

事有りて競争の煩いがない。

だから為すことがある。

為すことがあれば大いにうまく行く。

天下を治める。

蠱は事有りて、能力のあるものを待つ時である。物は喜び従う。

德を進めて業を修めればうまく行く。

甲とは創制の令である。

古いものを以てしてはならない。

甲に先立つこと三日、甲に後れること三日、治めさせて後、誅するのである。

事によって令を述べる。

終われば始まる。

天の運行は四季のようである。

《爻辭》
最上位にゐて位に縛られない。

王侯に仕えない。

その事を高尚とするのである。

〔伊藤東涯の解釋〕
《卦辭》
蠱は壊、腐敗のことである。

この卦は變じて隨となる。

隨の初爻が上って上爻となり、隨の上爻が下って初爻となる。

だから、剛が上って柔が下るというのである。

強者が弱者をしのぎ、衆寡敵せず、終に蠱壊を招く。

内は巽順であり、よく物を止める。

天に十日有り。

甲に始まり癸で終わる。

甲は事の始めである。

甲に先んじるとは辛壬癸であり、統治が極まり乱れる。

前󠄃の事が終わろうとする。

腐敗を致す道である。

甲に後れるとは乙丙丁である。

乱が極まり治まるころである。

腐敗を治める道である。

治乱盛衰何度も反復するものであり、日が昇り暮れ、月󠄃が満ち欠け、寒暑が往来するようなものである。

上下がうまく意思疎通しないと腐敗するので、巽順の道がこれを防がねばならない。

そうすればうまく行くのである。

《爻辭》
蠱にあり、陽剛の才で無位の地位に居る。

そして下に応じるものがない。

この賢者、事に当たる時、仕えることをしない。

其の志を降ろさず、吉凶に無干渉である。

治まるべきことがあり、おさめる能力を持っている者󠄃は進み躍り出る。

時に自分を知る者がいない。

ただ一人のみをおさめ、務めには出ない。

その抱負は悪くない。

〔根本通明の解釋〕
《卦辞》
政が大いに乱れた状態で天子が崩御し、位に即いた太子はこれを悉く一新し、天下を新たにするという卦である。

蠱は器物の様な物や米などが、古くなって壊れて来る所を云う。

三・四・五爻目に震の卦がある。

これは長子、即ち皇太子である。

上爻が父親で、初六は子であり、即ち父親は終わり子が始まるの象である。

[彖伝]
陽爻が一番上になって居るのを剛上る、陰爻が一番下になって居るのを柔下ると云う。

巽は弱く姑息で敗れる。

晩年の天子の周りでは、大臣の悪人が天下を紊し、朝廷には小人ばかりで、手の付けようが無い。

そこで姑息にして放置して居り敗れたのが蠱である。

元亨而治まるとは、新たに始めることで震の卦の象である。

皇太子が即位して政を改め天下を治める。

先甲は旧いものが終わり新しく始まって往くことである。

後甲は辛壬癸が終わり、甲乙丙で始まっていくことである。

[象伝]
旧いものを悉く洗い除く。

ニ・三・四爻目に兌の卦がある。

兌は秋で、枯れた葉が山下からの風で吹き落される。

これは旧弊の政事を除く義である。

三・四・五爻目は震の卦である。

震は春で、新しい芽がまた出てくる。

《爻辞》
上九は道徳の高い賢人である。

王侯には事えず、世を離れている。

山澤の間に遁れて居り、傍らから道徳を振起する。

[象伝]
親の晩年になって政の敗れた時から世を避けて、幾ら朝廷に出よと命じられても出ない。

上卦は艮で高さ、下卦は巽で潔さの象がある。

道徳が高く潔白な志は、後世まで手本として行うべき所である。

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