8/14(日) ䷆ 地水師(ちすゐし) 初爻

8/14(日) 地水師(ちすゐし) 初爻


【運勢】
結果が求められる時。
皆を正しい道へ導く志操堅固な者が必要とされる。
何事も最初が肝心である。
気を引き締め目標を明確にし、迅速に行動する事が大切である。
初志貫徹。一度決めたら最後までやり遂げる事が大切である。


【結果】
䷆◎
地水師(ちすゐし) 初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 老陰]
《爻辭》
[初爻]


【原文】
《卦辭》
師は貞なり。丈人なれば咎なし。
彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以て正す。以て王たるべし。剛中にして應ず。險を行ひて順。此れを以て天下を毒し、而して民之に從ふ。吉又何の咎あらんや。
象に曰く、地中に水あれば師。君子以て民を容れ衆を畜(たくは)ふ。


《爻辭》
初六。師出づるに律を以てす。否なれば臧きも凶。
象に曰く、師出づるに律を以てす、律を失へば凶なり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
丈人とは莊󠄂嚴の称である。師の正しいものである。戦争が起こり民を動かす。功罪はない。だから吉。咎めはない。毒は戦争のことである。


《爻辭》
師の始め爲り。師を齊ふる者なり。衆を齊ふるに律を以てす。律を失へば則ち散る。故に師出づるに律を以てす。律、失ふべからず。律を失ひて臧ければ、何ぞ否に異ならん。令を失ひて功有るは、法の赦さざる所なり。故に師出づるに律を以てせざれば。臧からずして皆凶。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
師は衆のことである。古は陳では五人を伍とした。それを集めて二千五百人になると師といつた。だから師とは軍のことである。内卦は水で外卦は地である。二爻のみが陽である。衆陰をすべて下卦に居る。丈人は老成した人のこと。二爻は剛中で応じている。主爻である。険難の時にあり、柔順である。天下に戦争の危機があり、人々は従う。老成の優秀な人を得て成功する。古より兵法には二つある。暴徒を誅し、乱を平らげ、民の害を除くのが兵を用いる時の根本である。良將を任じればよく尽くしてくれるので兵の要である。だから先王は戦えば必ず勝利したのである。土地は人民が居るところである。君子は庶民をよく束ねて軍団を維持する。普段は生業を保証し、戦争の時は軍人として招集したのである。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
師は師(いく)さの卦である。師さには、軍と師と旅と三つある。軍(いく)さは一万ニ千五百人、その次の師さは二千五百人、その次の旅(いくさ)は五百人である。此処で師と云うのは、軍と旅とを内に兼ねる意味である。師さを用いるには、正当性がなければいけない。丈人は年の長じた人のことである。これは先に生まれたものであり、次男や三男でなく、長子であれば吉である。戦争に勝った上に、正しい師さである故、咎が無い。
[彖傳]
国内の人民を以て兵を組立て、以て無道なる者を討って、之を正しくする。そうして天下に王たるべき徳が成る。二爻目が陽爻であり、剛中を得て居る。中庸の徳があり、天下悉く応じる所がある。毒の字は馬融の解に「毒者治也」とある。毒薬を以て邪を除いて能く治まる所がある。師さに勝って、その正しき所を見れば、之を咎める者も無い。
[象傳]
外卦は坤で地、内卦は坎で水である。其所で地の中に水があるという象である。また坤は国であり、地中に水が含まれているように、国内の男子は皆兵隊である。君子は多くの民を能く畜(やし)なう。
《爻辭》

8/13(土) ䷅ 天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻

8/13(土) 天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻


【運勢】
道理に従い物事を整理できる時。
複雑な問題は、大局的な視点から中正を守り解決すると良い。
負の感情に流されてはいけない。争いに執着すれば禍根が残るだろう。
志を改め、前向きな視点を持つ事が大切である。


【結果】
䷅◎五⚪︎四
天水訟(てんすいしょう) 五爻四爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陽][四爻 老陽]
[三爻 少陰][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻 優先][四爻]


【原文】
《卦辭》
訟は孚有り。窒がる。惕(おそ)れ中するは吉。終はれば凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利しからず。
彖に曰く、訟は上剛下險。險にして、健なるは訟。訟は孚有り窒り、惕(おそ)れて中すれば吉とは、剛來たりて中を得るなり。終はれば凶とは、訟、成すべからざるなり。大人を見るに利しとは、中正を尚(たうと)ぶなり。大川を涉るに利しからずとは、淵に入るなり。
象に曰く、天と水と違ひ行くは訟。君子以て事を作(な)すに始を謀(はか)る。


《爻辭》
[五爻 優先]
九五。訟、元吉。
象に曰く、訟、元吉とは、中正を以てなり。
[四爻]
九四。訟を克くせず。復りて命に卽き、渝へて安貞なれば吉。
象に曰く、復りて命に卽く、渝へて安貞とは、失はざるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
訟は訴える、訴訟の意󠄃味である。外は剛健で、内は陰険である徳の無い人は訴訟を好む。結局のところ、訴訟に勝つことは出来ない。


《爻辭》
[五爻 優先]
尊󠄄位であり、訟の卦の主爻である。中正の考えに基づいて曲直を判断すれば、誤ることはない。公正であれば偏ることなく、邪になることもない。だから、大いに吉である。強すぎれば過酷過ぎ、弱すぎればいい加減になる。中正が第一である。
[四爻]
上に處りて下と訟ひ、以て改變するべき者なり。故に其の咎大ならず。若し能く反りて本の理に從ひ、前の命を變ふれば、貞に安んじて犯されず、其の道を不失はず。仁を爲すは己に由る。故に吉にして之に從ふ。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
五爻は王の位であるが、この王は物事の是非を弁えた裁判が出來る。大川とは内卦の
を表す。訴訟の結果、原告も被告も最終的には損をする。やらない方が良い。
《爻辭》
[五爻 優先][四爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
天水訟の前の卦の需は飲食の道である。飲食の次に生じるのは、慾による争いである。そこで訟の卦となる。『説文解字』によれば、訟は争である。鄭玄の解には「辨財曰訟」とあり、金から争いが生じ、裁判するのが訟である。訟は容易に起こすべきでなく、誰もが尤もと頷く所が必要である。つまり孚(まこと)が無ければならない。孚は坎の象で水である。水の潮汐は正確で間違いが無いことに由来する。また水は危険なものという象でもある。窒は塞ぐの義で、自分の争いの心を引きとめることである。一旦訟えても仲裁の流れが出て来たなら、中頃で止めるのが良い。剛情にして遂げ終えるのは凶である。
[彖傳]
訟の大なる所では上と下との争いになり、上は何処までも剛にして、下を圧制したり税を課したりする。三・四・五爻目の巽の卦は、利益を志向する象である。そうなれば下は抵抗し、危険で険悪なる心が生じてくる。一旦訟を持ち出すも、上から仲裁の諭しがあれば、中頃で訟を取り下げ止めるのが良い。五爻目は中を得ている陽爻で明君であるから、必ず喜んで服する所となるだろう。
[象傳]
天と水は本は分かれて反対になる所があるが、元来は同じものである。訟をするにも何事においても、抑々の始まりを考えてみなければいけない。


《爻辭》
[五爻 優先]
この五爻の天子は中正である。大いに吉。
[象傳]
天子がどこまでも中世の正しき所を以てするのである。それで中正なりという。
[四爻]

8/12(金) ䷖ 山地剥(さんちはく)→䷅ 天水訟(てんすいしょう)

8/12(金) 山地剥(さんちはく)→ 天水訟(てんすいしょう)


【運勢】
物事を前に進めるのが困難な時。
徳のない者を相手にせず、正しさは内に秘めておくと良い。
負の感情に流されてはいけない。争いに執着しても禍根が残るだけである。
認め合いの精神が大切である。


【結果】

本卦:山地剥(さんちはく)
之卦:天水訟(てんすいしょう)
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 老陰][四爻 老陰]
[三爻 少陰][二爻 老陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[五爻][四爻][二爻]


【原文】
《本卦:
山地剥》
剝は往く攸有るに利しからず。
彖に曰く、剝は剝なり。柔剛を變ずるなり。往く攸有るに利しからずとは、小人長ずるなり。順にして之を止む。象を觀るなり。君子は消息盈虚を尚ぶ。天の行なり。
象に曰く、山、地に附く剝。上以て下を厚うし宅を安ず。


《之卦:
天水訟》
訟は孚有り。窒がる。惕(おそ)れ中するは吉。終はれば凶。大人を見るに利し。大川を渉るに利ろしからず。
彖に曰く、訟は上剛下險。險にして、健なるは訟。訟は孚有り窒り、惕(おそ)れて中すれば吉とは、剛來たりて中を得るなり。終はれば凶とは、訟、成すべからざるなり。大人を見るに利しとは、中正を尚(たうと)ぶなり。大川を涉るに利しからずとは、淵に入るなり。
象に曰く、天と水と違ひ行くは訟。君子以て事を作(な)すに始を謀(はか)る。


【解釋】
《本卦:
山地剥》
〔王弼、東涯の解釋〕
剝は割くの意󠄃である。下から陰が侵食し、最後に上爻だけに陽が残っている。これは徳の無い者がはびこり、有徳者が衰退している時である。このような時は何か事を起こす時ではないと、強く戒めるべきである。


〔根本通明の解釋〕
剝は刀で削り取っていくという意味である。徳の無い者が削り取りながら有徳者にせまっていくところである。このような時には有徳者は遁れておくのが良いのである。
[彖傳]
剝にはものを破る、落とすという義もあるが、この場合は削り落とすの意󠄃である。小人が世の中の隅々にはびこっているので、君子たるものはどこにも行かない方が良い。そして正しい行いをつづけていかなければならない。今はすべてが陰になろうとしているが、固く道徳を守り、一陽来復に備えておくべきである。
[象傳]
地の上に山がある。地は民であり、山は君主である。地が厚ければ山は盤石であるように、民の生活基盤が盤石であってこそ、君主は盤石なのである。卦の形は牀のようである。牀とは今の机のことで、一番上の上爻が机で、五爻までの陰爻が足である。


《之卦:
天水訟》
〔王弼の解釋〕
訟は訴える、訴訟の意󠄃味である。外は剛健で、内は陰険である徳の無い人は訴訟を好む。結局のところ、訴訟に勝つことは出来ない。


〔東涯の解釋〕
五爻は王の位であるが、この王は物事の是非を弁えた裁判が出來る。大川とは内卦の
を表す。訴訟の結果、原告も被告も最終的には損をする。やらない方が良い。


〔根本通明の解釋〕
天水訟の前の卦の需は飲食の道である。飲食の次に生じるのは、慾による争いである。そこで訟の卦となる。『説文解字』によれば、訟は争である。鄭玄の解には「辨財曰訟」とあり、金から争いが生じ、裁判するのが訟である。訟は容易に起こすべきでなく、誰もが尤もと頷く所が必要である。つまり孚(まこと)が無ければならない。孚は坎の象で水である。水の潮汐は正確で間違いが無いことに由来する。また水は危険なものという象でもある。窒は塞ぐの義で、自分の争いの心を引きとめることである。一旦訟えても仲裁の流れが出て来たなら、中頃で止めるのが良い。剛情にして遂げ終えるのは凶である。
[彖傳]
訟の大なる所では上と下との争いになり、上は何処までも剛にして、下を圧制したり税を課したりする。三・四・五爻目の巽の卦は、利益を志向する象である。そうなれば下は抵抗し、危険で険悪なる心が生じてくる。一旦訟を持ち出すも、上から仲裁の諭しがあれば、中頃で訟を取り下げ止めるのが良い。五爻目は中を得ている陽爻で明君であるから、必ず喜んで服する所となるだろう。
[象傳]
天と水は本は分かれて反対になる所があるが、元来は同じものである。訟をするにも何事においても、抑々の始まりを考えてみなければいけない。

8/11(木) ䷑ 山風蠱(さんぷうこ) 変爻無し

8/11(木) 山風蠱(さんぷうこ) 変爻無し


【運勢】
現状に満足して堕落しがちな時。
悪い習慣を改め、良い習慣を取り入れる事が大切である。
規則正しい生活を心がけ、堅実に土台を築き、凛とした姿勢で臨むと良い。
変化を恐れず、受け入れて前に進む事が大切である。


【結果】

山風蠱(さんぷうこ) 変爻無し
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陽][二爻 少陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[変爻無し]


【原文】
蠱は元いに亨る。大川を渉るに利し。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。
彖に曰く、蠱は剛上りて柔は下る。巽にして止まるは蠱。蠱は元いに亨る。而して天下治まるなり。大川を渉るに利しとは、往きて事有るなり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日とは、終はる時は則ち始め有り。天の行なり。
象に曰く、山の下に風有るは蠱。君子以て民を振し、德を育(やしな)ふ。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
下の剛は制を断じ、上の柔は令を施すべし。旣に巽また止まり、競争しない。事有りて競争の煩いがない。だから為すことがある。為すことがあれば大いにうまく行く。天下を治める。蠱は事有りて、能力のあるものを待つ時である。物は喜び従う。德を進めて業を修めればうまく行く。甲とは創制の令である。古いものを以てしてはならない。甲に先立つこと三日、甲に後れること三日、治めさせて後、誅するのである。事によって令を述べる。終われば始まる。天の運行は四季のようである。


〔東涯の解釋〕
蠱は壊、腐敗のことである。この卦は變じて隨となる。隨の初爻が上って上爻となり、隨の上爻が下って初爻となる。だから、剛が上って柔が下るというのである。強者が弱者をしのぎ、衆寡敵せず、終に蠱壊を招く。内は巽順であり、よく物を止める。天に十日有り。甲に始まり癸で終わる。甲は事の始めである。甲に先んじるとは辛壬癸であり、統治が極まり乱れる。前󠄃の事が終わろうとする。腐敗を致す道である。甲に後れるとは乙丙丁である。乱が極まり治まるころである。腐敗を治める道である。治乱盛衰何度も反復するものであり、日が昇り暮れ、月󠄃が満ち欠け、寒暑が往来するようなものである。上下がうまく意思疎通しないと腐敗するので、巽順の道がこれを防がねばならない。そうすればうまく行くのである。


〔根本通明の解釋〕
政が大いに乱れた状態で天子が崩御し、位に即いた太子はこれを悉く一新し、天下を新たにするという卦である。蠱は器物の様な物や米などが、古くなって壊れて来る所を云う。三・四・五爻目に震の卦がある。これは長子、即ち皇太子である。上爻が父親で、初六は子であり、即ち父親は終わり子が始まるの象である。
[彖傳]
陽爻が一番上になって居るのを剛上る、陰爻が一番下になって居るのを柔下ると云う。巽は弱く姑息で敗れる。晩年の天子の周りでは、大臣の悪人が天下を紊し、朝廷には小人ばかりで、手の付けようが無い。そこで姑息にして放置して居り敗れたのが蠱である。元亨而治まるとは、新たに始めることで震の卦の象である。皇太子が即位して政を改め天下を治める。先甲は旧いものが終わり新しく始まって往くことである。後甲は辛壬癸が終わり、甲乙丙で始まっていくことである。
[象傳]
旧いものを悉く洗い除く。ニ・三・四爻目に兌の卦がある。兌は秋で、枯れた葉が山下からの風で吹き落される。これは旧弊の政事を除く義である。三・四・五爻目は震の卦である。震は春で、新しい芽がまた出てくる。

8/10(水) ䷛ 澤風大過󠄃(たくふうたいか)→䷐ 澤雷隨(たくらいずゐ)

8/10(水) 澤風大過󠄃(たくふうたいか)→ 澤雷隨(たくらいずゐ)


【運勢】
物事の土台が不安定になる時。
変化を見極める事が大切である。
熱い気持ちは内に秘め、先人に倣い謙虚に過ごすと良い。
行動には責任が伴う。
自らの役目を最後まで全うする事が大切である。


【結果】

本卦:澤風大過󠄃(たくふうたいか)
之卦:澤雷隨(たくらいずゐ)
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 老陽][二爻 老陽][初爻 老陰]
《爻辭》
[三爻][二爻][初爻]


【原文】
《本卦:
澤風大過》
大過は棟(むね)撓(たわ)む。往くところ有るによろし。亨(とほ)る。
彖に曰く、大過は大なるものは過󠄃ぐるなり。棟撓むとは、本末弱ければなり。剛すぎて中。巽にして說󠄁(よろこ)びて行く。往くところ有るによろし。乃(すなは)ち亨る。大過の時、大なるかな。
象に曰く、澤木を滅するは大過。君子以て獨立して懼れず。世をのがれて悶(うれ)ふることなし。


《之卦:
澤雷隨》
隨は元いに亨(る。貞に利し。咎なし。
彖に曰く、隨は剛に來たりて柔に下る。動いて說󠄁(よろこ)ぶは隨。元いに亨り、貞。咎めなし。しかして天下時に隨(したが)ふ。時に隨(したが)ふの義、大なるかな。
象に曰く、澤中に雷あるは隨。君子以て晦(みそか)に嚮(むか)ひて入りて宴息(えんそく)す。


【解釋】
《本卦:
澤風大過》
〔王弼の解釋〕
大なるものはよく過ぎることが出來るものである。初爻が本であり、上爻が末である。初爻は陰に居て過ぎるのである。二爻は中。弱󠄃の極みであり、衰を興す。それでも中を失わない。巽順で喜び行く。だから難󠄄を逃れる。君子は為すことがある時である。大過は普通では及ぶところではない。


〔東涯の解釋〕
陽大であり、陰は小である。大過は大なる者が過󠄃ぎる。四つの陽が中心に集まって、二つの陰が外に居る。陽が過剰に盛んになる。棟の中心が太く、端が細く弱くなっている。二爻と五爻が陽剛の才があり、中に居る。巽順であり、喜びゆく。うまくいく。憂虞(ゆうぐ)の時にあれば、陽剛の才が必要である。或いは厳しすぎ、失うこともある。棟が撓む時に当たり、剛にして中に居る。人心が服すのを嫌うと、行きて利なし。


〔根本通明の解釋〕
上下の陰爻の間に陽爻が四つ連なっており、剛の方が多いため大に過ぎる。下卦の巽は五行では陰木である。堅く丈夫な陽木に対して、陰木は柔らかで弱い。棟ばかり多くても、受ける方の木が弱ければ、棟も撓んで来る。また兌の卦は水である。上の水が下に流れて来て、天下の人は皆水中に居るが如くに苦しむ。此れを救わなければいけない。進んで往けば志を遂げられる。
[彖傳]
君や役人が大なる事を好んで贅沢が過ぎて居り、其れを受ける方の人民が弱って居る。陽爻が多く剛が過ぎるが、二爻目も五爻目も中を得て居り、丁度世の中を治めるのに宜しき所がある。上卦の兌は悦びの象があり、和して人と共に行う。其処で人の助ける所があり、往く所あって宜しきを得る。上下共に奢り盛大なる方に過ぎる世であるから、遂に人民は奢りのために倒れるようになる。此の時に志あるものは大いに為すべき所がある。
[象傳]
楊(やなぎ)が水中に潜って居る。楊は陰木で水を好むが、過ぎれば害を為す。上下の陰爻に陽爻が包まれている。陰爻に挟まれた内側の陽爻を一つと見れば、坎(
)の卦の似体である。坎の卦は小人であり、洪水の如き世の中である。しかし君子は我れ一人独立し懼れることは無い。世を遯れても非望を抱かない。


《之卦:
澤雷隨》
〔王弼、通解の解釋〕
隨はしたがうの意󠄃味である。内卦は震で動き、外卦は兌であり、よろこぶの意󠄃である。君主が行動するとき、人々はよく協力してくれ、思い通りにできる。人々は時機にしたがい行動する。


〔根本通明の解釋〕
随は後ろに随って行く義である。同じ「したがう」でも、従の字は左に付いても右に付いても従うだが、随の字は後ろに附いて行くという義である。初九はニに随う。二は三に随う。三は四に随い、四は五に随い、五は六に随う。先の方に随うという象があるが、何でも随へば良いわけではない。仁義礼智に外れないようにすれば咎が無い。
[彖傳]
初九の陽爻が二・三爻目に随っているので、剛柔に随う。下卦の震は雷なので動く。動いた先の兌が說ぶ。随うには正しき所をもってすれば、必ず大いに亨る。二・三・四爻目の艮は時の象がある。時は重要で、必ず随わなければならない。
[象傳]
兌は秋、雷は春である。春に雷が出で、秋に沢中に潜む。これは時に随うの義である。君子は晦に嚮(むか)う。晦は日の暮れる所である。

8/9(火) ䷱ 火風鼎(かふうてい) 二爻

8/9(火) 火風鼎(かふうてい) 二爻


【運勢】
運気が好転し、順調に進む時。
功を焦ってはいけない。
自己管理を徹底し課題に取組むと良い。
柔軟な姿勢を心掛け、信頼する仲間との調和を大切にすると良い。
志高く、成果が出るまで堅実に努力を続ける事が大切である。


【結果】
䷱◎
火風鼎(かふうてい) 二爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 老陽][初爻 少陰]
《爻辭》
[二爻]


【原文】
《卦辭》
鼎は元(おほ)いに吉、亨(とほ)る。
彖に曰く、鼎は象なり。木を以て火に巽れて、亨飪(かうじん)するなり。聖人亨(かう)して以て上帝を亨す。而して大いに亨して以て聖賢を養ふ。巽(そん)にして耳目(じもく)聡明(そうめい)。柔進みて上行す。中を得て剛に應ず。是を以て元いに亨る。
象に曰く、木の上に火有るは鼎(てい)。君子以て位を正し、命を凝(あつ)む。


《爻辭》
九二。鼎に實有り。我が仇疾に有り。我に卽くこと能はず。吉。
象に曰く、鼎に實有りとは之く所󠄃を愼しむなり。我が仇疾に有りとは、終に尤なきなり。


【解釋】
〔王弼、東涯の解釋〕
《卦辭》
古い制度が新しく刷新され、新しい制度が定着するので大吉である。さらに、それが長くなる持続するので亨るという。鼎(かなえ)は食べ物を煮炊きする器である。程子はこの卦自体が鼎の形を象っているとする。初爻が鼎の足で、二爻から四爻までが鼎の腹、五爻が口で、上爻が蓋であるとする。下が木德であり、上が火德であるから、物の煮炊きに良いので、鼎とされるのである。革の卦と対応しており、五爻と二爻が応じており、和順で聡明である。だから、大吉なのである。何かをする時に人の助けがあり、その人に任せられる。君臣の心が通じ合っている。おそらく、亨と烹は音が通じるので古代にはどちらも使われていたのであろう。


《爻辭》
[王弼]
陽質で鼎の中にある。實があるものである。加えてはいけない。これを益すると溢れてしまう。却って実を傷つけてしまう。我が仇とは五爻の事を言う。剛の上に乗ることの疾に悩む。
[東涯]
仇とは好敵手のことである。初爻を指している。陽剛で中に居る。五爻と応じている。五爻のもとに行くのが良い。陰陽は互いに求めるのは天地の大義である。陽が陰を求めると正しきを得る。陰が陽を求めれば正しくない。人の付き合いは慎重にしなければならない。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
鼎は三足の鍋で、天下の宝器であり、王の象徴である。日本でいうところの三種の神器である。鼎は五味を調和することが出來る。だから肉であれ、魚であれ、釜で煮た後、最後は鼎に移して味を調えたのである。天地宗廟の祭祀に用いる神饌は鼎で調理され、賓客への御馳走も鼎が用いられた。伏羲の時代には、一つの鼎が宝器であった。もとより天地万物は一つのものから生じたわけで、天地人の三才は鼎の三足、それが鼎により調和されるのである。それが黄帝の時代に三つの鼎になった。三才を表すためであるという。堯舜までは三つであった。その後、夏王朝初代の禹王の時代に九つになった。なぜなら、九州(漢󠄃土全体は九つの國に分かれていた)を象徴するためである。周代まで九つであった。政治も料理と同じで、五味を調和して誰にとってもおいしいものでなければならない。だから鼎が王の象徴なのである。王を助けるのは宰相であるが、この宰の字は肉を盛って料理をこしらえるという意味である。そして十翼に鼎を主るのは長子であるとする。つまり、皇太子が皇統を継ぐべきであるというのである。それでこそ元吉なのである。
[彖傳]
初爻が鼎の足、二から四までに
があるが、これは物が入る部分である。五爻が耳、上爻が持ち運びのためのひもにあたる。五爻の耳に通すのである。元来、鼎は門外で煮炊きするもので、宗廟の門外東である。
[象傳]
木の上に火がある。火は物を煮炊きするのに必要であり、強すぎても弱すぎてもいけない。火にも陰陽があり、陽の火は強すぎて、すぐにものが焦げてしまう。逆に弱すぎると火が通らないで生のままである。陰陽が程よい状態ではじめて煮炊きが可能である。牛羊豚で鼎を分ける。是を三鼎という。三鼎は日月星を表す。心は巽順で耳目がしっかりしている。五爻の王は二爻の賢人を用いて大いに栄えるのである。


《爻辭》
九二は、二・三・四爻目に乾の卦があるから、丁度鼎の中に實を入れた所である。九二の仇である初六は、陰爻を以て陽位にあり位を得ていない。其所で賢人を嫉んで害する所の疾があり、趾(あし)を顚(さかさ)まにして上を侵そうとする。乍併、二・三・四爻目に賢人等が連なって居り、初六は迚(とて)も彼らを害するだけの力は無い。初六は四爻目に応じて居るが、其の間に陽爻が二つあり、四爻目と相合う事は出来ない。九二は六五と位が応じて居り、我が身にある学問道徳を以て、六五の天子に盡す。其所で鼎の中の實は、何処迄も六五へ往かなければいけない。其所で、之(ゆ)く所を慎むと云う。我が仇が嫉み害する所があっても、我には一点の隙も無いから、終には咎を受けない。

8/8(月) ䷌ 天火同人(てんかどうじん) 初爻

8/8(月) 天火同人(てんかどうじん) 初爻


【運勢】
尻込みせず、力強く一歩を踏み出すのに良い時。
多くの経験を積み、視野を広げる事が大切である。
志を同じくする者と親交を深め、協力して物事を進めると良い。
献身的な姿勢で、様々な人と関わる事が大切である。


【結果】
䷌◎
天火同人(てんかどうじん) 初爻
《卦辭》
[上爻 少陽][五爻 少陽][四爻 少陽]
[三爻 少陽][二爻 少陰][初爻 老陽]
《爻辭》
[初爻]


【原文】
《卦辭》
同人野に于てす。亨る。大川を渉るに利ろし。君子の貞に利ろし。
彖に曰く、同人は柔位を得、中を得る。而して乾に應ず。同人といふ。「同人野においてす。亨る。大川を涉るによろし。」とは、乾行くなり。文明にして以て健。中正にして應ず。君子の正なり。
象に曰く、天と火とは同人なり。君子は以て族を類し物を辨す。


《爻辭》
初九。同人は門においてす。咎(とが)なし。
象に曰く、門を出でて人に同じくす。又誰か咎めんなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
「同人野においてす。亨る。大川を涉るによろし」は、二爻の能くする所ではないこれが乾の行う所である。故に特に同人に曰くという。健を行うに武を使わずに、文明を使って之を用いる。相応してに邪を応じずに、中正によって応じる。君子の正しき事である。故に「君子、貞に利し」という。君子は文明をもって徳にする。天、上にあって、火の炎上げている。同人の意味である。君子、小人、各々同じくする所を得る。


《爻辭》
同人の始めに居て、同人の首となる。上に応じることが、心に吝を係ることもない。夫の大いに同じくするに通じ、門を出づること皆同じくする。故に人に「同人、門に于いてす」という。門を出づるに人と同じくすれば、誰とともに吝をなす。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
同人とは人が互いに心を同じくすること、共に同じ目標を有することである。天(日)と火は同じ火の性である。野は広い場所のことで、狭い集団での友情も大切であるが、より広い範囲で人と交流することが、大きなことを成し遂げる際には必要である。そのためには正直で、正しい心を大切にしなければならない。


《爻辭》
「門においてす」とは、門から出て交わることである。私心の無いことをいう。この爻は同人にあって、初めであり、上に、繋がって応じているものがいない。故に「同人、郊(こう)においてす」の象があり、咎めなしなのである。思うに人と交わることは、偏っている所に流れやすい。それははっきりと現れている。私事に関わらず、人に交わる。何の咎めがあるのだろうか。


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
同人は、人と人が互いに相親しくして、吉凶ともに同じくする。野は都から遠く離れた田舎で、山や谷の間に居る者までも親しくするという義である。これは乾の象である。天下一軒の家の如くして居れば、互いに亨らない所は無い。九五の天子は六二の賢人を深く信用して、之を用いて往く。
[彖傳]
六二は陰爻を以て陰位に居り、位を得て居る。また下卦の真ん中にあるので、中を得て居る。これは賢人で、中正なる道徳があり、天道に応じて居る。乾は上卦であり、上は外であるから、内から外へ旋って往く。人は道徳を以て普く進んで行う所の義である。之は仁者であり、君子である。天下皆悉く応じて来る。
[象傳]
「天興火」の興は親しむと訓む。また火と天は元は同じ物である。人間も天の分子であるから、御互に親しまなければならない。族を類するとは、分家が自分達の先祖である宗家の祭りへ聚って来ることである。物を辨ずるというのは、聚って来た者は皆代数や衣服などが異なり、其々仕分けて往く所を云う。
《爻辭》

8/7(日) ䷵ 雷澤歸妹(らいたくきまい) 二爻初爻

8/7(日) 雷澤歸妹(らいたくきまい) 二爻初爻


【運勢】
多くの困難に直面し、過ちを犯しやすい時。
大きな過ちを犯す前に、自らの行いを省みる事が大切である。
物の順序を守り、やるべき事を堅実に進め、好機が来るのを待つと良い。
控えめに過ごす事が大切である。


【結果】
䷵◎二⚪︎初
雷澤歸妹(らいたくきまい) 二爻初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陽]
[三爻 少陰][二爻 老陽][初爻 老陽]
《爻辭》
[二爻 優先][初爻]


【原文】
《卦辭》
婦妹は征けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)なし。
彖に曰く、歸妹は天地の大義なり。天地交はらざれば萬物興らず。歸妹は人の終始なり。說󠄁(よろこ)びて以て動く。妹を歸く所󠄃なり。征けば凶とは位に当たらざるなり。利しき攸なしとは、柔、剛に乘ずればなり。
象に曰く、澤上に雷有るは歸妹。君子以て終を永くし敝(へい)を知る。


《爻辭》
[二爻 優先]
九二。眇能く視る。幽人の貞に利し。
象に曰く、幽人の貞に利しとは、未だ常を變ぜざるなり。
[初爻]
初九。妹を歸くに娣を以てす。跛能く履む。征けば吉。
象に曰く、妹を歸くに娣を以てすとは、恒を以てするなり。跛能く履む吉とは、相承くるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
妹は少女のことである。兌は小陰で、震は長陽である。小陰が長陽を承けるので、よろこんで動く。妹を嫁がせる象である。陰陽が既に合って長と少が交わった。天地の大義、人倫の終始と言える。少女を長男に嫁がせる。少女は嬉しくない。不正を犯し、それを喜んで動くのは邪道である。終には敝を知る。


《爻辭》
[二爻 優先]
其の位を失ふと雖も、内に居りて中に處り。眇猶ほ能く視る。以て常なるを保つに足るなり。内に在りて中を履みて、能く其の常を守る。故に幽人の貞に利しなり。
[初爻]
少女にして長男と耦を爲す。敵するに非ざるの謂なり。是れ娣從ふの義なり。妹は少女の稱なり。少女の行、善きこと娣に若くはなし。夫れ嗣を承くるに君の子を以てすれば、幼きと雖も妄りに行かず。少女娣を以てすれば、跛と雖も能く履む。斯れ乃ち恒久の義、吉にして相承くるの道なり。斯を以て進めば、吉なること其れ宜なるなり。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
婦人のことを嫁とも歸ともいう。兌は少女、震は長男である。これは婦人が嫁ぐ時に礼を失している。二爻から五爻まで位を得ていない。三爻と五爻の陰爻が陽の上に居る。これは陰として正しくない。夫が先に声をかけて、それに妻は随うのである。これは天地の大義である。父母の命、媒酌の言を待ち、礼を尽くす。その後にそれぞれがその道を尽くして家道󠄃がなる。正しい道に由らないと、その夫婦は礼儀を乱し、制御できなくなる。
《爻辭》
[二爻 優先][初爻]


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
上卦は震で長男、下卦は兌で少女である。兄たる六五の天子は、六三の我が妹を以て、諸侯に嫁がせる。兌は巧言令色で、男子を玩ぶ象がある。しかし婚姻は必ず男子の方から求めるべきものだから、女子の方から征くのは凶である。
[彖傳]
夫婦の道は、天地陰陽の道である。陰陽が正しく交わって、萬物が生じる。天地の大義は、人の大倫である。孟子も、男女室に拠るは、人の大倫と云う。兌は說び、震は動く。これは妹が帰ぐ所の義にあたる。三爻目の陰が、一・二爻目の陽の上に乗っており、柔が剛を凌ぐ所がある。これは戒めなければならず、この女が征けば凶である。
[象傳]
澤上に雷がある。雷が動けば、澤も随って動く。これは男子が動いて事を行い、女子がこれに応じる象である。婚姻を終生の永いものとするには、後々弊害が出ないように能く対策し、始めを慎まなければならない。
《爻辭》
[二爻 優先][初爻]

8/6(土) ䷁ 坤爲地(こんゐち) 三爻

8/6(土) 坤爲地(こんゐち) 三爻


【運勢】
能ある鷹は爪を隠す。
目立たず受け身でいるのに良い時。
無理は続かない。ゆっくりと時間をかけて成長して行く事が大切である。
何気ない積み重ねが大きな力となる。
周りからの期待に応え、素直な気持ちで努力すると良い。


【結果】
䷁◎
坤爲地(こんゐち) 三爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 老陰][二爻 少陰][初爻 少陰]
《爻辭》
[三爻]


【原文】
《卦辭》
坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。
彖に曰く、至れるかな坤元。萬物、資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤、厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物、咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。
象に曰く、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。


《爻辭》
六三。章を含み貞にすべし。或ひは王事に從ひ、成ることなくして終有り。
象に曰く、章を含み貞にすべしとは、時を以て發するなり。或ひは王事に從ふとは、知光大なるなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
坤は貞によろしい。牝馬によい。馬下にあって行く。牝馬は柔順の至りである。柔順を尽くして後にうまく行く。牝馬の正しいものによろしい。西南は人を養う地である。坤の方角である。だから友を得る。東北は西南の逆である。友を失う。乾は龍を以て天を御し、坤は馬を以て地を行く。地は形の名である。坤は地を用いるものである。両雄は並び立たない。二人主が居るのは危うい。剛健と對をなす。長く領土を保つことが出来ない。順を致していない、地勢が順わない。その勢は順。


《爻辭》
三は下卦の極に處りて、陽に疑はれず。斯の義に應ずる者なり。事の始めを爲さず、唱ふるを須ちて乃ち應じ、命を待ちて乃ち發す。美を含みて正しかるべき者なり。故に章を含み貞にすべしと曰ふなり。事有れば則ち從ひて、敢へて首と爲らず。故に或ひは王事に從ふと曰ふなり。事の主と爲らず、命に順ひて終ふ。故に成ることなくして終有りと曰ふなり。
知慮光大なり。故に其の美を擅にせず。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
坤の爻はすべて陰。順の至りである。牝馬は柔であり強く行く。この卦は柔にして健である。主に遇うとは、陽に遇うことである。西南は陰、東北は陽。順の至りでうまく行く。君子まず行くところがあれば迷い、後に主を得る。西南に行くと友を得て、東北に行くとその友は離れる。正しいことだけをしていれば吉。天の気を承け萬物を生ず。陽に先んじてはならず、陽の後に行けばよい。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
坤は乾と對であり、乾は天、坤は地である。牝馬の話が出るが、これは乾の方が牡馬であることをも示している。臣たるもの、必ず朝󠄃廷に行って君に仕えなければならない。しかし、無学では全く役に立たないから、そのためには朋(とも)をもって助け合わなければならない。西南は坤である。
巽の卦、離の卦、坤の卦、澤兌の卦は陰の卦である。そこで、西南に陰の友が集まっている。朋は友と違う。一緒に勉強するもののことを朋というのである。友とは朋の中でも特に親しいものである。朋の字は陰で、友の字は陽である。始めのうちは陰の友達が必要である。そこで西南が良いのである。また、東北は朝󠄃廷を意味する。乾の気で萬物は始まり、坤の気で萬物に形が備わる。坤の卦は地の上に地を重ねているから、地盤は盤石である。天の気がどこまでも拡大していくのに、陰の気はどこまでも従うのである。牝馬が牡馬に従うように、臣下は君主に仕えるのである。先に行こうとしてはいけない。常に後ろについていくべきである。臣下は朋友を失うことになるが、君主に仕えることでそれを克服するだけの喜びを得る。慶(ケイ、よろこ)びは高級な臣下の卿(ケイ)に通じる字である。上に鹿の字が附くが、昔は鹿の皮を以て喜びを述べた。人々が集まってくるのである。
[大象傳]
地が二つも重なっているので盤石である。物を載せても耐えられる。つまり様々なことを任されても耐えられる存在なのである。
《爻辭》

8/5(金) ䷁ 坤爲地(こんゐち) 初爻

8/5(金) 坤爲地(こんゐち) 初爻


【運勢】
周りからの期待に応え、素直な気持ちで努力するのに良い時。
無理は続かない。ゆっくりと時間をかけて成長して行く事が大切である。
何気ない積み重ねが大きな力となる。
些細な事だと侮らず、問題の芽は早めに摘むと良い。


【結果】
䷁◎
坤爲地(こんゐち) 初爻
《卦辭》
[上爻 少陰][五爻 少陰][四爻 少陰]
[三爻 少陰][二爻 少陰][初爻 老陰]
《爻辭》
[初爻]


【原文】
《卦辭》
坤は元(おほ)いに亨(とほ)る。牝馬の貞に利(よ)ろし。君子往くところ有り。先(さきだ)つときは迷ひ、後るるときは主を得るに利あり。西南には朋を得る。東北には朋を失ふ。安貞にして吉。
彖に曰く、至れるかな坤元。萬物、資(よ)りて生ず。乃ち順にして天を承(う)く。坤、厚くして物を載す。德无疆に合ふ。含弘光大にして品物、咸(ことごと)く亨る。牝馬は地類。地を行くこと疆なし。柔順利貞は君子の行ふところ。先だつときは迷ひて道󠄃を失ひ、後るるときは順にして常を得る。西南には朋を得る。乃はち類と行く。東北には朋を喪ふ。すなはち終に慶有り。安貞の吉は地の无疆に應ず。
象に曰く、地勢は坤。君子以て厚德者物を載す。


《爻辭》
初六。霜を履みて堅冰至る。
象に曰く、霜を履む堅冰とは、陰始めて凝るなり。其の道を馴致して堅冰に至るなり。


【解釋】
〔王弼の解釋〕
《卦辭》
坤は貞によろしい。牝馬によい。馬下にあって行く。牝馬は柔順の至りである。柔順を尽くして後にうまく行く。牝馬の正しいものによろしい。西南は人を養う地である。坤の方角である。だから友を得る。東北は西南の逆である。友を失う。乾は龍を以て天を御し、坤は馬を以て地を行く。地は形の名である。坤は地を用いるものである。両雄は並び立たない。二人主が居るのは危うい。剛健と對をなす。長く領土を保つことが出来ない。順を致していない、地勢が順わない。その勢は順。


《爻辭》
霜を履むに始まり、堅冰に至る。所謂る至柔にして動くや剛なり。陰の道爲るや、卑弱を本とし、而る後に積著に至る者なり。故に霜を履むに取りて、以て其の始を明らかにす。陽の物爲るや、始に基づくに非ずして、以て著に至る者なり。故に出處を以て之を明らかにす。則ち初を以て潛と爲す。


〔東涯の解釋〕
《卦辭》
坤の爻はすべて陰。順の至りである。牝馬は柔であり強く行く。この卦は柔にして健である。主に遇うとは、陽に遇うことである。西南は陰、東北は陽。順の至りでうまく行く。君子まず行くところがあれば迷い、後に主を得る。西南に行くと友を得て、東北に行くとその友は離れる。正しいことだけをしていれば吉。天の気を承け萬物を生ず。陽に先んじてはならず、陽の後に行けばよい。
《爻辭》


〔根本通明の解釋〕
《卦辭》
坤は乾と對であり、乾は天、坤は地である。牝馬の話が出るが、これは乾の方が牡馬であることをも示している。臣たるもの、必ず朝󠄃廷に行って君に仕えなければならない。しかし、無学では全く役に立たないから、そのためには朋(とも)をもって助け合わなければならない。西南は坤である。
巽の卦、離の卦、坤の卦、澤兌の卦は陰の卦である。そこで、西南に陰の友が集まっている。朋は友と違う。一緒に勉強するもののことを朋というのである。友とは朋の中でも特に親しいものである。朋の字は陰で、友の字は陽である。始めのうちは陰の友達が必要である。そこで西南が良いのである。また、東北は朝󠄃廷を意味する。乾の気で萬物は始まり、坤の気で萬物に形が備わる。坤の卦は地の上に地を重ねているから、地盤は盤石である。天の気がどこまでも拡大していくのに、陰の気はどこまでも従うのである。牝馬が牡馬に従うように、臣下は君主に仕えるのである。先に行こうとしてはいけない。常に後ろについていくべきである。臣下は朋友を失うことになるが、君主に仕えることでそれを克服するだけの喜びを得る。慶(ケイ、よろこ)びは高級な臣下の卿(ケイ)に通じる字である。上に鹿の字が附くが、昔は鹿の皮を以て喜びを述べた。人々が集まってくるのである。
[大象傳]
地が二つも重なっているので盤石である。物を載せても耐えられる。つまり様々なことを任されても耐えられる存在なのである。
《爻辭》